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ABM(Apple Business Manager)とは?できることや登録手順を解説【画像つき】

ビジネスでApple製のデバイスを利用している人も多いのではないでしょうか。iPhoneは連絡手段として、MacBookは作業用機器として、そして最近ではiPadもPCの代替として幅広く活用されています。
しかし、これらの端末を法人で運用する際にはどのような管理方法がとられているのでしょうか。端末は企業の資産であり、盗難や紛失、セキュリティ、運用に関するコストなど、さまざまな課題が浮上します。
そこで今回は、これらの課題を軽減するために有益な、Appleから提供されている「Apple Business Manager」を紹介します。
この記事の目次[表示する]
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ABM(Apple Business Manager)とは
Apple Business Manager(以下、ABM)は、企業のIT管理者がApple製デバイス、アカウント、そしてコンテンツを統合管理できるWEBポータルサイトです。費用は無料で利用できます。
デバイス :iPhoneやiPad、MacやApple TVなど
アカウント:個人が使うApple IDとは異なり、企業用のApple ID(後述、詳しく)
コンテンツ:アプリケーションや本などのライセンス購入から各デバイスへの配信
ABMは法人利用を前提としており、オンラインでの登録を行い、WEBポータルにログインして利用します。
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ABM(Apple Business Manager)でできること
ABMは、2018年にADE(旧称:DEP)とVolume Purchase(旧称:VPP)を統合する形で誕生しました。これにより、ADEのキッティング効率化やセキュリティ機能の向上、Volume Purchaseのアプリライセンス購入・管理の機能が利用できるようになりました。
さらに、「管理対象Apple ID(Managed Apple ID)」という法人向けのApple IDを活用することで、企業におけるApple IDの管理コストを大幅に軽減することができます。
それではそれぞれ詳しく紹介します。
アプリやブックの管理
ABMでは、App StoreやカスタムAppのアプリ、ブックストアにあるブックのライセンスを一括購入できます。そして、各アプリごとのライセンス合計や端末へのインストール数を把握することが可能です。アプリは有償・無償を問わず対象となりますが、無償の場合でも購入として処理されます。
企業が選定したアプリを一括購入・管理し、MDMを通じて端末にアプリを配布することが一連の流れです。ただし、ABM自体はアプリの配布機能を持っていないため、各端末へのアプリ配布にはMDMとの連携が必要です。
セキュリティの観点から一部の企業では、ユーザーがApp Storeアプリを使用することを禁止しているところもあります。そのため、ABMのアプリや書籍の管理は重要な機能となっています。
また、アプリの配布を行うMDMによっては、企業独自のアプリカタログ(アプリの一覧)を作成し、ユーザーが任意でインストールすることも可能です。さらに、アプリの自動割り当て機能を活用することで、管理コストを軽減できるメリットもあります。
詳しくは以下の記事でも解説しています。
≫Volume Purchase(旧:VPP)でアプリ管理を簡単に!
デバイスの割当
ABMの大きなメリットの一つは、デバイスの割り当てによるキッティングの効率化です。ゼロタッチとも呼ばれるこの機能では、端末を箱から開封し、電源をONにすると、事前に管理者が設定した内容とアプリのインストールが自動で行われます。ABMを利用することで、通常手動で行われる必要のある作業を効率化できるため、大規模な台数を導入する企業では特に、作業時間の短縮のためにもこの機能を積極的に活用することが重要です。
本サイトでは、iPad30台を使用して実際にキッティングを行う作業時間について、MDMあり・なしで検証した動画も公開しています!
Apple IDの管理
Apple IDを管理する方法として、通常のApple IDで管理するという方法もありますが、企業がこのやり方をする場合には以下のような管理面の課題があります。
【AppleIDの主な管理課題】
- 同一IPから大量に作成できない仕様のため、Appleに連絡をし、都度制限解除をしてもらう必要がある
- 各従業員にIDを作ってもらった際に共有してもらい台帳管理となる(※パスワード忘れ、変更などの際も共有が必要)
- 従業員各自の判断で自由にアプリのインストールが可能(セキュリティリスクが潜んでいる)
- 有償アプリやブックなどを購入した際に各従業員での経費精算などが発生する
- 退職や異動などの際にコンテンツがIDに紐づいているため、他者に変更することができない
上記のような問題に都度対応していくのは、管理側にとって現実的ではありません。こうしたID管理の問題も、ABMであれば解決できます。
ABMでは、管理対象Apple ID(Managed Apple ID)という特別なApple IDを使用して集中管理が可能です。通常のApple IDとの違いは、管理者が組織内のApple IDを一括作成・管理できる点です。端末利用者が個別に企業のメールアドレスを使用してApple IDを作成する手間がなくなります。
このように、効率的な管理にもABMが貢献することがよくご理解いただけたのではないでしょうか。
ADE(旧:DEP)をABMと併用して利用するメリット
ADE(旧称:DEP)とABMを併用することの利点について見ていきましょう。まずはADEの特徴を踏まえ、ADEとABMの関係性や利用メリットを探っていきます。
ADE(旧:DEP)の特徴
ADE(旧称:DEP)は、Automated Device Enrollmentの略称であり、Appleが提供している法人向けiOS端末の導入支援サービスです。企業はADEを利用することで、大量の端末を導入する際にキッティング作業を簡素化し、それまで費やしていた時間や負荷を大幅に削減できます。また、ADEを利用することで、以下のようなことも可能になります。
- デバイスを「監視モード」に置くことができる(※後ほど詳しく解説します)
- 標準アプリを非表示にする(AppStoreを削除)
- 指定した1つのアプリのみ起動(ホームボタン無効化、キオスク端末化とも言われる)
- 各端末にアプリを通知無しでインストール(サイレントインストール)
- 初期化されても元のインストール状態に自動で復元(悪用防止)
- MDM構成プロファイルがデバイスの初期設定の段階で自動的にインストールされる
- MDMプロファイルを削除を防止できる
ADEとABMとの関係性、併用するメリット
企業がデバイス運用を行う上で多くのメリットをもたらすADEですが、単体で利用することは容易ではありません。ADEを利用するには、事前にAppleへの登録手続きが必要であり、ABMのポータルサイトから利用申請を行い登録する必要があります。
さらに、ADEを利用するためにはiOS端末を購入する必要があります。ADE端末の購入方法には、販売店での購入やApple Storeで法人としての購入が含まれます。
このように、ADE(旧:DEP)とABMは密接に関係しており、双方を併用することでキッティング作業の効率化やセキュリティ対策においても、企業にさまざまな付加価値をもたらしてくれます。そのため、大量のモバイル端末を導入し効率化を図りたい企業は、ADEを前提とした導入・運用設計を検討し、その後ABMやMDMツールとの連携を検討することをおすすめします。
なお、ADE(旧:DEP)についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください!
≫ADE(旧:DEP)って何ができるの?今さら聞けないADEの特長を大公開
監視モードの利用でよりセキュリティ体制を強固に
iOSには「監視モード」という設定があります。この監視モードを利用することでiOSデバイスの管理を強化し、セキュリティを向上させます。
監視モードの具体的なメリットや利用方法についてみていきましょう。
監視モードの特徴・メリット
iOSの設定の一つ「監視モード(Supervised Mode)」は、端末の細かな設定や制限を行うことができます。
たとえば、アプリのインストールや特定の機能の制限、デバイスの初期化防止などが可能です。企業が重要な情報を扱う場合や、敏感なデータを保持する必要がある場合には、監視モードの利用がとくに有益です。
具体的なメリットは、以下のとおりです。
・ABMでインストールしたアプリをMDMツールから配信することで、デバイスにダイアログを表示させずそのままインストールが可能に
・監視モードでないと利用できない構成プロファイル(初期化を禁止する、App Storeの利用を禁止する等)をデバイスに適用可能に
監視モードの利用方法
監視モードを活用するには、以下の方法があります。
・ADE(旧:DEP)端末を購入する
・AC2(apple configurator 2)を使って設定する
AC2を用いて監視モードを利用する場合、AC2がインストールされたMacデバイスとiOS端末をUSBで接続し、各端末ごとに監視モードに設定する必要があります。端末が多い場合、作業負担が増えるため、ADEを利用した方が効率的なデバイス管理と管理者の負担軽減につながります。
ABM(Apple Business Manager)の登録方法
ABMは無料で利用できます。企業でApple製品を主に使用している、またはこれから導入を検討している場合は、ぜひ検討してみてください。
ABMを利用するには、以下の手順で申請を行います。
D-U-N-S番号の取得
方法1:D-U-N-S® Number – Support – Apple Developerから申請リクエストを送信
方法2:東京商工リサーチ社にD-U-N-S® Number申請を代行してもらう(有償)
ABM(Apple Business Manager)の申請手続き
つぎに、Apple社のABMの申請手続きを行いましょう。手順は下記のとおりです。
1. ABMログインページへアクセス
- ABMログインページへアクセス
- 【今すぐサインアップしてください】をクリック

3. 組織情報の登録
以下の組織情報を入力します。
- 組織を代表して登録を行う個人の氏名
- 勤務先メールアドレス(※App StoreまたはiCloudのアカウントに関連付けられておらず、他のAppleサービスやWebサイトのApple IDとして使用されていないこと)
- 会社名
- WebサイトのURL(任意)
- ニュースや最新情報の受け取るかどうかを選択

4. パスワードの作成・確認と電話番号の入力
- 新しいアカウントのパスワードを新規作成し確認する
- 地域コードを選択して電話番号を入力
- 確認方法について、SMSまたは音声確認のいずれかを選択する

5. 確認連絡の対応
Appleは登録申請内容に問題がないかを確認するため、後日確認連絡を行います。審査は最大で「5営業日」かかるため、ABMの利用を計画的に行いましょう。
審査では、登録した代表電話番号にApple社からの発信(発信番号は米国)がありますので、対応可能な状態にしておきましょう。対応は日本語で問題ありません。
聞かれる内容は以下の通りです。
- 代表者の役職が実在するかどうかの確認
- ABMの担当者が実在するかどうかの確認
- 登録電話番号とWebサイトに間違いがないかの確認
- ABMの使用目的の確認
デバイス管理が目的であることを伝えればよいでしょう。
ABM(Apple Business Manager)登録完了後の流れ
ABM への承認登録が完了したら、続けてアカウント(管理対象 Apple ID )作成をしましょう(既存の Apple ID とは別に新規作成する必要があります)。
Managed Apple IDの登録
審査完了後、管理対象Apple IDが作成されます。手順に従って進めますが、2段階認証が必須ですので、SMSを受信可能な電話番号を用意してください。
ABMとMDMの違い
ABMは管理ポータルであり、端末管理を完結することはできません。したがって、ABMで設定やアプリを準備しても、それを端末に適用するにはMDMとの連携が必要です。
Volume PurchaseやADEなど、先に紹介した機能は企業の端末管理に非常に有力です。これらの機能を活用するにはABMとMDMの連携が必須であり、ABMを導入しないと利用できません。
ABMを検討する際には、同時にMDMの選定も進めることが重要です。当社のMDMであるmobiconnectもABMに対応しています。お気軽にご相談ください。
MDMってなに?基本やメリット、活用例については以下の記事で詳しく解説しています!
≫MDM(モバイルデバイス管理)とは?基本機能やメリット、導入時の注意点まで解説
≫MDMの活用例を業種別、シーン別に紹介
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まとめ
企業がスマートフォンやPCなどのApple製品を採用するケースが増えています。個人利用と異なり、企業では「管理」と「セキュリティ」に対する配慮が必要です。
ABMを導入することで、初期コストを削減し、端末やアプリなどの資産管理を効率的に行うことができます。また、一部機能を活用することでセキュリティを強化できます。
リモートワークが普及し、柔軟な働き方が求められる中、ABMを活用して柔軟な端末管理・運用を実現しましょう。