2020.09.17(2023.08.10更新)

業務効率化

テレワーク導入の手順とは?必要な8つのステップをわかりやすく解説!

オフィスという場所にとらわれない働き方を指す「テレワーク」ですが、実際に企業でテレワークを開始するとなると、労務管理、人事評価、情報セキュリティ対策といった各部署連携での準備が必要となります。

現在、テレワークの導入を検討している企業においても、どのような手順を踏み、準備をすればよいのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、テレワーク導入の現状や課題を踏まえ、実際にテレワークを導入・準備する際に、必要となる8つのステップについてわかりやすく解説します。

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テレワーク導入(実施率)の現状と課題

長引くコロナ禍で、実際にどのくらいの企業がテレワークを実施しているのでしょうか。東京商工会議所の調査したデータをもとに、テレワークの実施率の現状と企業の課題についてみていきましょう。

テレワーク実施率の推移

参照元:中小企業のテレワーク実施状況に関する調査|東京商工会議所

東京商工会議所が取りまとめた、東京23区の中小企業2,090社を対象にした「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」(2021年5月17日~5月27日)では、テレワーク実施率は38.4%という数値が出ています。前回の緊急事態宣言時(2021年1月~3月)の66.2%の数値と比較すると、27.8ポイント減少という結果となっています。

テレワーク導入における企業の課題

続いて、同じく「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」より、テレワーク導入における課題について見ていきましょう。回答では「情報セキュリティ」が56.7%と最も多く、次に「社内コミュニケーション」が55.9%、「PCや通信環境の整備状況」が55.1 %という結果が出ています。いずれもその割合は僅差となることから、この三点が留意すべき課題であると理解できるでしょう。

また、テレワークの導入・推進には、経営陣の強いコミットメント、社内各層の理解が必要です。経営陣はコロナ禍における対応の中で、テレワーク導入の可否を判断しなければなりません。このような状況が長引くと、企業は今後も在宅勤務を中止するケースもあり、準備の負荷も含めテレワークの普及には課題がある状態だと言えます。

また、テレワークで利用されているハードウェアは、PCやタブレット、スマートフォンとなりますが、それらが会社支給の場合もあれば、BYOD(個人所有のものを仕事に利用すること)を採用する場合もあります。このように考えると、業務利用するハードウェアのオペレーティングシステム(OS)はWindows・macOC・iOS・Androidなど複数のOSになり、企業はさまざまなOS(クロスプラットフォーム)への対応が必要になります。

テレワーク導入の手順・ステップとは

テレワーク導入を成功に導くカギは、あらかじめプロセスや推進体制などを明確にし、手順をしっかり踏むことです。

総務省では、システム担当者および総務・人事部内担当者の方向けに、テレワークの基礎知識や導入プロセス、ルールづくりなどの実務的な知識・方法をわかりやすく解説した手順書「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」を公開し、導入を推進しています。
テレワーク導入手順として、大まかに次の8つのプロセスに分類することができます。

ステップ1 導入目的の明確化
ステップ2 対象範囲の決定
ステップ3 現状把握・課題の認識
ステップ4 導入計画の策定
ステップ5 実施環境の整備
ステップ6 研修等、説明会の開催
ステップ7 テレワークの施行・実施の開始
ステップ8 テレワーク推進のための評価と改善

では、それぞれの手順をみていきましょう。

ステップ(1)導入目的の明確化

まずはじめに、テレワークの導入を実施することで、どのようなことが得たいのか、導入の目的を明確化することが重要です。

企業によっても、導入の目的はさまざまです。例えば、テレワークによる勤務地にとらわれない人材の確保や、業務効率化などが挙げられます。社内でどのようなことが課題なのか、テレワークの導入によりどのようなことが解決できるのかを検討した上で進めるようにしましょう。

また、テレワーク導入にあたり、経営層から従業員へその意図を説明し、理解を得られるようにすることも重要です。その上で、テレワーク導入におけるポリシーや基本方針といったガイドラインを定めましょう

ステップ(2)対象範囲の決定

つづいては、テレワークを実施するにあたり、どのような従業員をテレワークの対象とするのか、テレワークの対象範囲を決めましょう。
とくに多くの企業では、従業員の理解が得られることに加え、効果が具体的で分かりやすいことから、まず育児や介護を必要とする従業員を対象者とするケースが多いです。

しかしその場合、テレワークに移行した育児や介護を必要とする従業員が、他の従業員と比較して特別扱いされていると感じ、気兼ねなく制度を利用できないといった声も少なからずあります。

そのため、テレワークを導入して、しばらく経過したあとは、社内の従業員が納得するよう対象者はなるべく広げることが望ましいと言えます。

ステップ(3)現状把握・課題の認識

対象の範囲を定めたあとは、テレワーク導入において障壁となる環境整備や業務がスムーズに捗るような体制を整えることが必要です。そのため、まずは社内の現状を把握し、テレワークに移行する際に課題となる点を明確にすることが先決です。とくに、確認しておきたいポイントは以下の5つが挙げられます。

  • テレワークができる環境の整備(ネットワーク、PCなどのICT環境)
  • テレワークができる体制の整備(クラウドサービスなどで場所を問わず業務ができるか、紙→電子などの準備はできているか)
  • 個人情報保護体制やセキュリティ体制などに不備はないか
  • 就業規則に基づく制度などに支障がないか、修正は必要か
  • テレワーク時に正当な人事評価が行えるか

以上のような現状の把握と導入における課題を明確にしておかなければ、実際にテレワークを導入した際に、社内で混乱を招く可能性があります。
とくに、就業規則に基づく制度や、テレワーク時でも在宅勤務者の評価を正しく行えるかといった人事評価制度などは、事前に明確にしておかないとトラブルの火種となりやすいため、慎重に検討しましょう。

ステップ(4)導入計画の策定

スマホ、パソコンの管理は大丈夫?中小企業がテレワーク導入前にやるべきこと_サムネイル

次に、テレワーク導入に向けた計画の策定や社内ルールを決めましょう。おもに、以下の項目が挙げられます。

テレワークの形態、頻度の設定

テレワークの形態には、おもに「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィスワーク」の3つに分類されます。業務内容や部門に適した形態を選択するといいでしょう。

まず勤務形態を設定する際に、在宅勤務の場合は、部分在宅もしくは終日在宅勤務にするのかを決めます。サテライトオフィスワークの場合は、”自社専用”のみなのか”シェアオフィス”も認めるかといった細かな部分も詰めておくことが大切です。

また、テレワークの頻度については、導入当初は週1~2日程度から開始し、徐々に頻度を増やしていくとスムーズに移行できます。

テレワーク勤務に関する規定を決める

テレワークを導入する際は、自社の勤怠管理方法を確認し、テレワーク勤務に関する規定を就業規則に盛り込みましょう。また、始業・終業時刻の記録を残せるよう、勤怠管理システムなどのツールをあらかじめ導入することも重要です。

紙文書の電子化を行う

テレワーク導入に向け、紙文書の電子化も欠かせない項目の一つです。これまでは、見積書や契約書などは、紙文書で作成した上で捺印・回覧が必要だったため、経理担当者などはテレワークの最中、出社しているというケースも多くありました。
一方、文書の電子化をすることで、web上で書類への捺印・回覧ができるため、業務の効率化をを図ることが可能となります。

ただし、紙文書の電子化は、実施までに時間や手間がかかるため、早めに計画を立て優先的に電子化すべき書類の選定を行いましょう。

紙文書の電子化については、以下の記事で詳しくご紹介しています!
≫電子契約とは?サービス選定のポイントと注意点を完全解説
≫【無料版あり】請求書ソフトでペーパーレス化へ!おすすめツールを紹介!
≫MFクラウド会計のメリットや特徴を解説!

ステップ(5)実施環境の整備

テレワークを導入する際は、実施環境の整備が必要不可欠です。とくに、これからご紹介する3つのポイントは、実施環境の整備を行う上で重要な要素となるため、しっかり押さえておきましょう。

ICT環境の整備

テレワークで仕事を進める上で、以下のいずれかの仕組みがあれば、既存のICT環境をテレワーク用に構築することも可能となります。

  • リモートデスクトップ
    オフィスで使用するデスクトップを遠隔で操作できる。ただし、テレワークで利用する端末へのデータ保存は不可
  • 仮想デスクトップ
    社内サーバから提供される仮想デスクトップを遠隔で操作できる。こちらもテレワークで利用する端末へのデータ保存は不可
  • クラウドサービス
    クラウドサービスを利用することで、場所を問わず社内外からアクセスして、データやファイルなどの閲覧・保存が可能
  • 会社貸与PC、BYOD端末
    会社が貸与するPCを自宅で利用する方法。または、私用のPCで業務を行うBYODを導入するといった方法も可能

セキュリティ体制の整備

テレワークを導入するにあたり、セキュリティ面に対する不安をお持ちの方も多いでしょう。社外でPCやタブレットなどのテレワーク端末を利用することで、ウイルス感染による情報漏えいや、社外からの不正アクセスが起こるリスクも考えておかなくてはいけません。

このような対策には、ウイルス対策ソフトの導入や、社外からの不正アクセスへの対策に効果的なファイアウォールなどを導入するといった水際対策が必要です。

また、IPS(侵入防止システム)やIDS(侵入検知システム)などを導入すれば、不正アクセスが侵入した際に速やかに検知・排除が可能となります。

テレワークを導入する企業は、このような対策を講じることで、より強固なセキュリティ対策を実現することができます。

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労務管理体制の整備

始業・終業時刻を記録する勤怠管理や業務進行をまとめる業務管理といった労務管理体制の整備を行うことも重要です。

たとえば、webで始業や終業などの記録を残せるクラウド型の勤怠管理ツールを使用したり、PCのログ取得により労働時間を把握できるツールなどを導入することも検討しましょう。

ステップ(6)研修等、説明会の開催

テレワークを実施するにあたり、導入時の研修や説明会の開催を行うことは必須です。全社員に対して、なぜテレワークを実施するのかといった目的や必要性を研修等を通して伝えていくことで、社員全員にテレワークに対する理解を深めてもらうことができます。これにより、社内全体でテレワークを有効活用して、業務の生産性を向上させることが可能です。

ステップ(7)テレワークの施行・実施の開始

ステップ6まで進んだら、いよいよいテレワーク施行・実施の開始です。

はじめてテレワークを導入する企業は、一部の部署から小さく始めてみるのもよいでしょう。そうすることで、定めた制度やルールの改善点が見つかった場合に、軌道修正しやすく、万全な状態で本格導入に望むことができます。

ステップ(8)テレワーク推進のための評価と改善

実際にテレワークが施行された後は、その効果や改善ポイントを知ることも、運用上において必要です。テレワーク導入後の効果を測定するために、以下のような評価項目を定めておくことで、テレワークを実施した際の効果とその後の改善に役立てることができます。

定量評価

  • 顧客対応(顧客対応回数、顧客対応時間)
  • 残業時間(テレワーク対象者とオフィス出社社員で比較)
  • 事務処理(伝票の処理件数、企画書の作成件数)
  • オフィスコスト(オフィスの賃貸費用、電気代)
  • 移動コスト(移動時間、通勤費用、出張費用)
  • 情報通信コスト(インターネット費用、情報システム保守費用)
  • 人材確保(入社応募者の数や質、離職者数)

定性評価

  • 業務改善(情報・知識の共有)
  • コミュニケーション(業務クオリティや頻度)
  • 情報セキュリティ意識の理解度
  • 業務の自律性
  • 働き方の質(仕事・働き方
  • 会社への満足度、通勤疲労度)
  • 生活の質(ワークライフバランスの充実度)

参考:厚労省公式サイト~テレワークの導入プロセス~

テレワーク導入ならMDMの利用がおススメ!

テレワーク導入における手順の章でも少し触れましたが、社外でPCやタブレットなどのデバイスを利用するテレワークでは、不正アクセスやデバイスの紛失といったセキュリティリスクを伴うことも忘れてはいけません。

テレワークの導入時、企業が実施する代表的なセキュリティ対策の中には、ウイルス対策ソフトやファイアフォールの導入などが挙げられますが、より安心なテレワーク環境を構築するには、タブレットやスマートフォンなどの端末を一元管理できるMDM(モバイルデバイス管理)の導入も非常に効果的です。

セキュリティ環境の整備にも活用できる

MDMは、基本的にタブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスを一元管理できることが大きな特徴ですが、セキュリティ環境の整備にも役立てることが可能です。

たとえば、社員のPCもMDMがあれば、OSアップロードに対応できたり、アプリの配信や位置情報の取得なども遠隔操作でまとめて管理できるといったさまざまなことを実現します

また、VPN接続の設定などもまとめて行うことができるため、不安の多いテレワークでも安心できるセキュリティ環境を構築できます。

端末紛失対策にも活用できる

テレワークの導入において、もっとも対策が講じられるべき点は、突発に起こる端末紛失の対応かもしれません。端末紛失による情報漏えいは、大きな損害につながるリスクだからです。

MDMは、このような端末紛失対策にも活用できます。万が一、端末を紛失・置き忘れした場合は、速やかに遠隔からリモートロックして情報漏えいを防ぐ機能があります

テレワークに限らず、企業のセキュリティ対策や端末管理に役立つMDMであれば、テレワークとオフィスワークが混在している就業体制であっても、混乱なく管理を行えます。

具体的に、MDMの機能やMDMを導入した事例を知りたいという場合は、下記もぜひチェックしてみてください!弊社のMDM「mobiconnect」の機能や導入事例をご紹介しております。

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まとめ

今回は、テレワークを導入に向けた具体的な手順についてプロセスをわかりやすく解説してきました。今回ご紹介した手順に沿ってスモールスタートから始めいけば、テレワークの導入に関して大きな失敗を招くことはありません。

とくに、モバイルデバイスを利用したテレワークの導入を検討している企業は、MDMは必須のサービスと言えます。ぜひセキュリティ面に不安のある方や、MDM導入についてお悩みという場合は、お気軽に弊社までお問い合わせください!

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