2020.11.26

教育現場

GIGAスクール構想に悩める先生必見!
ICT教育の最前線をいく先生方による、端末1人1台時代の課題とアドバイス【前編】

GIGAスクール構想で児童・生徒に1人1台端末。困惑する先生に

2020年度末までにGIGAスクール構想により1人1台の端末導入が日本全国の公立小中学校に行き渡る見通しの一方で、これまでと異なる環境での教育方法や慣れない端末の管理や運用で頭を抱える現場の教職員は少なくありません。

そこで、「1人1台時代・創造性を進めるiPadを活用したICT教育環境」と題し、そもそも端末管理とは何か?端末を導入するときにどんなことが起きたのか、現役の先生方に赤裸々に語って頂きました。

また、それぞれの立場を超えて自身の経験や課題から「1人1台時代に求められるICT教育」を視点に、現在端末の配備で様々な問題に直面している先生方にアドバイスとエールを送ります。

【前編】
1人1台時代・創造性を進めるiPadを活用したICT教育環境
-安心・安全なICT教育環境を支援するMDM「mobiconnect」-

【 タイムテーブル 】
1. 端末の管理とは?MDMはやっぱり必要?(2:25〜)
2. タブレット導入時、こうやってはじめました(11:54〜)
3. タブレットの学びにつながる活用方法(30:27〜)

出演者

【 ファシリテーター 】
神谷 加代 氏
教育ITライター。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。

【 パネリスト】
品田 健 氏:
聖徳学園中学校・高等学校/学校改革本部長
前任の学校でICTの導入・活用を担当し、2017年4月より聖徳学園中学・高等学校にてICT活用、STEAM教育開発を担当。

土井 敏裕 氏:
Doit代表取締役/元小学校教諭、ICTスーパーティーチャーを経て、2014年度より大分県
教育委員会情報化推進班指導主事、2018年度退職。株式会社Doitを設立。
https://www.d-oita.com/company

伊藤 久泰 氏:
立命館守山中学校・高等学校/メディア教育部主任・情報科教諭
2014年度よりiPadの一人1台体制を導入し、現在中高合わせて約1,600台のiPadを管理。

端末の管理とは?MDMはやっぱり必要?

(神谷氏)インヴェンティット、mobiconnectの対談動画をご覧いただきまして、ありがとうございます。GIGAスクール構想によって、日本の小中学校は1人1台環境が整備されました。今後、1人1台がどのように活用されていくのか、どういう風な端末管理をしていけばいいのか、現場の詳しい先生方にお話をお聞きしたいと思います。では、御三方を紹介したいと思いますので、よろしくお願いします。最初に、聖徳学園中学校・高等学校の品田健先生です。品田先生よろしくお願いします。

(品田氏)はい、よろしくお願いします。東京都武蔵野市にあります中高一貫の私立の学校です。聖徳学園中学・高等学校、ここで学校改革本部長とICTのディレクターをやっております、品田と申します。今日はよろしくお願いします。

(神谷氏)はい、よろしくお願いします。続いて、株式会社Doit代表取締役、土井敏裕さんです。土井さんは、元大分県教育庁の主導指示を勤めてらっしゃったことがあります。土井さんよろしくお願いします。

(土井氏)こんにちは、大分県の土井です。元々小学校の教員をしていて、その後県の教育委員会に5年勤めて、今は一人で株式会社Doitという会社をやっています。教育情報課っていうところで仕事をしているので、なにかお手伝いできればなと思って参加しました。よろしくお願いします。

(神谷氏)はい、よろしくお願いします。続いて最後、立命館守山中学校・高等学校、メディア教育部主任、伊藤 久泰先生です。伊藤先生よろしくお願いします。

(伊藤氏)立命館守山中学校・高等学校の伊藤と申します。本校は滋賀県守山市にあります中高一貫校です。2014年から生徒に1人1台のICTの端末を導入して、今も全員が毎日、授業等で使っています。私は情報課の教員なんですけれども、2014年赴任当時からICTのインフラ整備を主にメインで担当しております。どうぞよろしくお願いします。

(神谷氏)はい、よろしくお願いします。本日はこの御三方で進めていきたいと思います。

iPad導入時の取り組み①:MDMは学習活用の「保険」

(神谷氏)では、一番最初のトピックです。iPadの導入時にどういう風な取り組みをされてきたのかってことからお話しをお伺いしたいと思います。


※品田氏のお写真

(品田氏)はい。私いま、聖徳学園という学校にいるんですけれど、その前に東京都北区の桜丘中学高等学校というところに勤務していまして、そこでiPadの導入を行いました。やはりですね生徒はすごく楽しみにしているんですけれど、保護者の方と現場の先生はすごく不安なんですね。壊れたらどうしようかっていうのがありますし、生徒が何か余計なことをするんじゃないかみたいな心配をすごくされていましたので。それを解消する一つの手段としてMDMがあるのかなということで、(iPad)導入のときにですね、MDMを入れましょうということを言いました。

 どうしてもMDMっていうと『端末管理』っていう感じなんですけれど、私としては本当に『自動車に乗るときに保険に入る』みたいなのと一緒で、何かあったときに対応がしやすいようにするためのもの、生徒の使用状況がよくわかりますよ、っていうことで。生徒も先生も、あと保護者の方も安心して安全に活用できますよっていうことで、納得いただく材料でもあったのかなと思います。そんな形で、iPad導入時にMDMを一緒に導入をさせてもらいました。

(神谷氏)品田先生、前任校のときってまだiPadの導入自体がそんなに全国でも進んでないときだったなと思うんですけども。その時に生徒さんがiPadを持つっていうのは保護者にとっても、何をしでかすかわからないみたいなところってあったのかなーと思うんですけれど、そういった感じの声って実際にあったんですか?

(品田氏)そうですね、やっぱり導入しますよって決めた形で職員会議でもお話しはしましたけれども、やっぱり「反対」っていうよりは、先生たちも面白そうだと。これから必要なんだろうなと思うけれども、やっぱり心配もありますと。やっぱり導入すれば色んなトラブルとかも出てくると思うんだけども、そういったときに対応するのは先生方でもあるので、じゃあ保護者の方にどう安心してもらえばいいのかなっていう。反対っていうより不安ですよね。不安とか心配の声っていうのはすごくあったと思います。それは今でもあまり変わらないかもしれないですね。

(神谷氏)実際いま、聖徳学園はiPadはどれくらい入っているのか、規模感っていうのはどういう感じになるんですか?

(品田氏)うちは幼少中高とあるんですけれども、私のいる中高のほうで言うと、中学一年生から高校三年生まで、生徒全員1人1台iPadと、あとApplePencilと(持っています)。教職員も全員、1人1台持ってるっていうような形です。ですので全校だと1000台弱のマシーンが動いているかなっていう感じですね。

iPad導入時の取り組み②:インハウスアプリをMDMで配信

(神谷氏)なるほど、1000台管理されてるってことですね。ありがとうございました。
 では伊藤先生、iPad導入時のお話しを思い出していただきたいんですけれど。伊藤先生のところも7年くらい(iPadを)導入してから経つんですよね。


※伊藤氏の写真

(伊藤氏)そうですね、2014年から導入をしています。当時、私は学校でiPadが導入されるというときと同時に赴任をしたので、そのときにはすでにMDMが入っているということが決まっていたんですね。先輩の先生方に聞くと、先行でiPadを学校の教育に取り入れている学校さんを見るとMDMを活用されているってことがあったので、(MDMが)入っているっていう話もありましたし。当時、AppStoreにはない独自のアプリを学校でいろいろ活用していこうということがありまして。インハウスアプリというものですけれど。そういったものを生徒のiPadに入れていくためにMDMが必要であろうということが、大きなMDMを導入したきっかけなのかなっていう風に思っています。

 MDMを入れたおかげで、生徒の端末の状況とかも遠隔でも確認できますし、生徒が家にいる緊急事態(宣言)のときとかですね。生徒のiPadに何かアプリを入れなきゃいけないというときも、遠隔操作で出来ましたので、非常にMDMを効果的に活用できているかなという風に思います。

(神谷氏)伊藤先生、いま立命館守山中高はだいたい何台くらいiPadが導入されているんですか?

(伊藤氏)生徒中高6学年で1450人くらいいますので。それプラス先生方にも、非常勤の先生含めて全員にiPadを配っています。150名ですね。なので1600台くらいは毎日動いているような状態です。

(神谷氏)1600台!すごい! ちなみに、学校で予備機とかってご用意されているんですか?

(伊藤氏)予備機は持っていまして、結構生徒が毎日のように「壊れました」とか、「画面割れちゃいました」とかって来るんですね(笑)。そうすると修理に出さなければいけないので、修理に出してもちょっと時間がかかったりするので。その間だいたい二週間くらい生徒に貸し出せるような機械も10台くらいありますし。さらに教育実習生とか、iPadが必要なタイミングって結構あるので、それ用にもストックとして持っています。

iPad導入時の取り組み③:Apple Configurator 2を活用

(神谷氏)はい、わかりました。ありがとうございます。では土井さん。品田先生と伊藤先生と違って、元教育委員会というお立場なんですけれど。そもそもMDMって入ってなかったみたいな話なんかも聞いたりして。ちょっとそのへんのお話しをお願いします。


※土井氏の写真

(土井氏)県立学校にiPadを入れるってなったときに、どういう入れ方をしていくかっていくつか方法があるんですけど、大分の場合は一校ずつ仕上げていくってやり方をしました。均等に何十校にも配るっていうわけではなくって、一つの学校を仕上げながらその学校数を増やしていくっていう方法を取ったんですね。
 当時、教室の環境とかも全然整ってなかったので、ネットワークの増強だったり、プロジェクターの設置であったり、スクリーンの設置っていうことで、わりと一校あたりにかける予算っていうのが結構大きかったので。iPadの端末を入れるところに、正直MDMのライセンス料までは乗せられなかったていうのが本音のところかなと思います。その代わり、管理をしていくっていう部分で、Macbookを入れてApple Configurator 2(コンフィギュレーター)で物理的に接続をした状態でアプリを配信したり、アップデートを行うっていう方法を取りました。

(神谷氏)はい、ありがとうございます。県立の、やっぱり公立っていう状況っていうのは、MDMには予算ってつきづらいものなんですかね?

(土井氏)当時、今のGIGAスクール構想っていうのがまったくない状態で整備したところは、正直つけづらかっただろうなと。MDMっていうものの存在が、そもそも先生たちにはわからないってことと、それを財政に言っていったところで「なんですか?」っていう話になっちゃうんで、なかなか公立で入れるのはハードルが高かったですね。ただ、今GIGAスクール構想の中では、ある程度国の補助金に対してのパッケージで決まっているので、iPadであればキーボードとMDMのライセンスっていう形で、セットで売っているので。いま入っているGIGAスクール構想でやろうとしている自治体に対しては、MDMを入れないっていう選択肢は僕が知る限りはないかと思います。

(神谷氏)なるほど。じゃあ結構MDMには予算がつくような条件は、公立でも整っているってことですよね。

(土井氏)そうですね、はい。GIGAスクール構想では大丈夫だと思います。

MDM導入を関係者に理解してもらうための工夫とは

(神谷氏)結構ね、ここの部分って教育機関苦労しているところ多いのかなって実は思っているんですよ。MDMが必要ないとか。見えないところだから、いらないんじゃないか、みたいなところで予算から削られてしまうってことがあると思うんですね。で、品田先生のところは、はじめにこの予算化していくときっていうのは、何かそういう苦労とかって実際になかったですか?

(品田氏)そうですね。でも本当に、保険なんですと。やっぱり自動車乗るときに保険入ってないと何かあったときに大変ですよね、っていうことで。何かあったときにトラブル対応するのにこれ(MDM)はもう絶対必要なんですと言うことで、お願いをしたので。これ(MDM)必要ないんじゃないかっていうことは保護者からも出なかったですし、現場の先生方にもMDMっていうのはこういうものですよと。基本的には自由に、機能制限するつもりはなかったんですけれど、使用状況によってはある程度、機能制限とかもすることもできるものなので。そういったときの対応もできますよってことで、納得はしてもらったので。要らないんじゃないかみたいな声っていうのは、説明をちゃんとすれば大丈夫だったかなと思います。

iPadだけでは「管理」ができない!MDMがあってこそできる環境整備

(神谷氏)なるほど。伊藤先生のところも、最初から(MDMが)入る前提だったっていうことなんですけど、他の教育機関でMDMが入ってないところがあったりとかして、その予算を取りに行くっていうのは結構難しいのかなと思うんですけど。何かありますか? コミュニケーションってこうすればいいよ、みたいなところとか。

(伊藤氏)予算を取りに行く… そうですねぇ(笑)。最近、本当にGIGAスクール構想の話が出てきて、小中学校さんもいま、もちろんGIGAスクールで今年度のうちに、なんとか整えようとされている学校さんとかも多いんですけれど。逆にその動きを見て、県立の高校さんとかから、問い合わせが多く来るんですね。やっぱり、県域指定校になっているのでこれからiPadを取得したいとか、iPadを購入したんだけどどういう風に管理してるのか、というところがわからないから教えてほしいという問い合わせを結構多く受けるんですね。で、やっぱりそのときによくよく聞いてみると、「iPadを買えば、こう(なんでも)パーッとできると思ったけど、意外にiPadだけではできないことっていっぱいあるんですね!」みたいな話になって(笑)。

 そこで、どうやって管理してるんですかって話になって、色んな管理のスタイルがあるんですけれど。うちは1台1台Macのコンピュータにつないで、Apple Configurator 2っていうやり方をするほどの時間的余裕も、人的余裕もないので、そういうことはしてないですと。1600台くらいあるので、そんなのはやれないですと。
 こういうMDMみたいなのを入れて一括管理をして、できるだけそこの生徒端末に関わる管理の時間を減らしていかないと、先生が本来やるべき業務が全くできなくなってしまうし。生徒の端末を預かって設定を入れるっていう時間がかかってしまうと、生徒の学習の時間も奪ってしまうので。できるだけそこは時間を少なくするような仕組みとしてMDMっていうのは有効なんじゃないでしょうか、っていうことをお話しさせてもらったりしています。

(神谷氏)ということは、iPadは入れたはいいものの、MDMっていうものがあるということを知らず、iPadだけで運用できると思ってらっしゃる教育関係者の方もまだまだいらっしゃる、というようなことですか?

(伊藤氏)私も正直な話ですね、立命館守山に赴任してiPadを始めるっていったところから、iPadとかそういったものについて勉強したので。そのとき私もMDMとか知りませんでしたし、色んな管理の方法とかも、Appleさんも当時より相当いまは管理の仕方とか仕組みは簡単で便利になってきていますけれど、そういったものもやっぱり(当時は)知らなかったので。実際に直面してみないとわからないことっていうのはあるのかなっていう風に思うんですよね。

(神谷氏)たしかに、そうですよね。

(品田氏)多くの先生が、「そんなのって当たり前にできるでしょ」って思っていることが、iPadだけだと出来ないんですよね。同じアプリの、同じバージョンのものが生徒全員に渡っているなんて、当たり前なんでしょって思ってるのかもしれないけど、これMDMなしでやろうと思うと、えらい大変なことなんですよ。

(伊藤氏)(うなずきながら)わかります。我々はMDMたくさん経験してきて、慣れてしまっているので。生徒が同じような端末を使っているし、OSのバージョンとか、アプリのバージョンが揃っているっていうのは当たり前なんですけれど、それが揃っていないと、いざ授業をしようと思ったときにバージョンが違うからできない、みたいな話もやっぱりあるので。ここはきっちりMDMを入れて、先生も生徒も、学習の環境を整えておくっていうのが大事なことかなと思いますね。

(品田氏)(うなずく)

(神谷氏)そこ、すごい大事ですよね。

(土井氏)あの、(それは)二人だから言える話で。公立学校の普通の先生たちは、そもそもMDMっていう言葉の意味がわからない、(なので)それで出来る中身が当然わかりません。バージョンが違ったらどうなるってことが、たぶん想像もついてないので。そのあたりのズレというか、知識の話なんだけど、なかなかその… いわゆるアプリをインストールしなきゃいけない先生たちのところに、全然情報がないんですよね。それを感覚的にもわかってなくて、なんかポンとボタン押したら、ピュンッって終わりでしょってくらいの感じなので(笑)。

 なんかね、それがすごいもどかしいというか。こっちはわかっていて説明をするんだけど、そもそも構造的に理解ができてないってことと、それをしなかったらどうなるかっていう想像が、経験値があまりにもなさすぎて。ないんですよね。本当にiPad一回も触ったことありませんっていう多くの先生たちのところに、ある日突然、児童生徒用の端末が全員分整備されるっていうのが今の現状なので。なので、相当苦しいだろうなーと思います。実際はまだ(iPadが)入っているところはそんなに多くはないので、このあと(2020年度の)3学期以降、どこまで準備が整えられるのかっていうのは、相当大きな課題ですね。

 MDMの講習しても、みんな顔がハテナマークの状態なので。これ(MDM)ってなんですか、っていうレベルなので。

iPadの機能制限はどうしている?各校の取り組みとは

(神谷氏)それって、やっぱり今までのパソコンルームの使い方から、1人1台に、普通教室で使うっていうイメージがまず出来ていないのかなって思うんですよね。だからそのMDMが必要だっていうことも、なかなか理解していただけないのかなって思うんですけども。
 そういった流れの中で、パソコン教室から子どもたちが持つ1人1台に(ICT環境が)なって、MDMで端末を管理していくってなって、最初にどういった機能制限とかをされていたのかなってところも、お聞きしたいなと思ってまして。品田先生のところっていうのは、一番最初どういう風に機能制限をして、iPadの活用まで持っていかれたのか、お話しいいですか?

iPadの機能制限の例①:機能制限をほとんど設けない

(品田氏)はい。桜丘も聖徳学園も、ほとんど一緒なんですけど。基本的にはできるだけ自由に使わせたいっていうことなので、普通に売っているというか、ご家庭で購入して使ってもらうiPadとそんなに大きな違いはないんですね。だから使っていて違いを感じるって言えば、聖徳だと中学のほうがAppStoreが自由には使えないよっていう形になっているので、その違いくらいで。機能制限らしい機能制限、生徒が実感できるような機能制限っていうのはそんなにないんですよね、実際のところは。

(神谷氏)なるほど。その自由って言葉も、結構受け止める側によって違うのかなって思ってまして。例えばなんですけど、YouTubeが見れるとか、ゲームのアプリがインストールできるとか、なんかちょっと具体例挙げていただいていいですかね。

(品田氏)そうですね。YouTubeは普通に見れます。もちろん、いわゆるフィルタリングがかかっている状態ではあるので、何でも見られますよという状態ではないんですけれど。授業での活用とかも多いですし、それこそ、この遠隔授業を行ってきた期間とかは、(遠隔)環境の開設の動画とかをYouTubeに限定公開してあげて、それを見てもらったりってこともしたので。YouTube見れないっていうのは非常に困ることもありますので。
 私の授業とかでもYouTubeへのリンクをつけて。自分の気に入っている曲を紹介するための、曲のジャケットを作ろう!っていう授業なんかもしたりしているので。じゃあそれでYouTube使えないってことになると、まったく授業も成り立たないですから。そこらへんは、たぶん生徒も使っていて、自分のスマホでYouTube使うのと、学校のiPadで使うのと、大きな違いがあるって感じはしないかなと思います。

 ゲームとかもアプリで入れるっていうのは難しいかもしれないですけど、Webで出来てしまったりとかっていうことも含めて考えると、ゲームも出来ちゃうには出来ちゃいます。アプリとか入れることはできるんだけど、削除は簡単にはできないようになっているので。それはなんか違いがあるかもしれないですね。なんか、「マズイ!」と思って消そうと思っても簡単には消せないので、証拠残っちゃうよっていうところはあります(笑)。

(神谷氏)なるほど(笑)。

(品田氏)結構つらい機能制限かもしれない(笑)。

(神谷氏)なるほど、削除のほうでブロックかけてるってことですね。残っちゃうよってことですね(笑)。ちなみに、中学と高校でアプリのダウンロードの制限の違いがあるじゃないですか。そこはどういうお考えがあるんですか?

(品田氏)やっぱり中学一年生と高校一年生は、だいぶ違うと思うんですよね。高校生だとある程度、中学のときに自分でスマホ使ったりとかっていうのもあるでしょうし、ある程度物事もわかってきてるかなと思うんですけど。中学生のほうは、やっぱり本当に初めて使うっていう生徒さんもいらっしゃるし、あと保護者の心配とかもあるということで。まあいわゆるホワイトリスト形式で(運用している)。ただ、生徒のあれやりたい、これやりたいっていうのは柔軟に対応しているので。先生のほうで「これだけ」って決めているっていう感じではなく、「これをやりたいので、このアプリ入れたいです」みたいなリクエストがあれば、ちゃんと加えていくっていうような使い方ですね。ここのほうは、自分で考えて頑張っていろいろ試してみろっていう感じです。

(神谷氏)いい意味の自己責任ですよね。

(品田氏)そうですね、はい。

iPadの機能制限の例②:学年ごとにポリシーを設ける

(神谷氏)はい、ありがとうございます。伊藤先生のところは、最初の機能制限とか、それがどういう風に変わっていったとかありますか?

(伊藤氏)うちの学校は最初は、先行して(導入)されていた学校さんとかを見学されていた方が、やっぱり「自由に使っていこう!」ということで、ほとんどなかったんですね、制限っていうのが。基本的に一部のSNSだけはちょっと学内でやるのはやめようってことだったんですけれど。
 そういう風な形で指導はしてきたんですけれど、やはり生徒が違う方向性の使い方をしてしまいまして(苦笑)。やっぱりずっとゲームをしてしまうとか、Youtubeばっかり見てるとかってことで。保護者の方からも、「iPadを学習でも使っているんだろうけど、どうしてもやっぱり私の目からはゲームをしているようにしか見えない」とか、「ゲーム機になっているんじゃないですか?」とかってことがありまして。
 私たちも急に始まったことで、なかなか準備ができていなかったところもあって。iPad1人1台に対応した授業っていうのもまだまだ手探りの状態だったので、非常に難しいところはあったんですけれど。そういった意見を受けて、「安心して授業で使うツール」「授業で使う端末」「授業で使うiPad」ということで、授業に関係のあるようなことをしてもらうための制限っていうのを、結構厳しくつけてます。

 学校の建学の精神は「自由と清新 free and innovation」なんですけれど。ちょっとそこの部分はなかなか、free and innovationではないんですけれど(笑)。しかも、高校生と中学生ではやっぱり発達段階とかの状況もありますので。先ほど品田先生が仰られていたように、中一と高三、高一、それでも全然違いますので。発達段階に合わせて、徐々に自由な使い方ができるように、制限を少しずつ外していってあげているという形にしています。

(神谷氏)なるほど。じゃあ、それ(制限)をMDMで管理されているってことですね。中一は厳しめにMDMで設定されて、高校生になっていくにつれてMDMのほうでその制限を外していくっていうような作業があるっていうことですね。

(伊藤氏)そうですね。学年ごとにいま、色んなポリシーがあって。それもMDMで、それぞれの学年のポリシーを作って適用させたりとかしています。

(神谷氏)先生方がポリシーを作るってことですか?

(伊藤氏)そうですね。一応、学年主任の先生方を中心に色んな意見を伺って、うちの学年はこういう風にしていきたいとか。ここは少し生徒がきちんと守れるようになったから、ここ(制限)を外して少し解放してあげるような形にしていきたいとかっていうのを、年に一度くらいお話しをさせてもらって。「今年どうしますか? どんな形の運用をしますか?」って聞いたりとか。文化祭の前だけはこういう運用にしてくれっていうのも、MDMでポリシーをまた変えてですね、適用するっていうのをやっています。

(土井氏)それはその先生の考え方で行くのか、生徒のリテラシーに基づくのか… それ(ポリシー)毎年変えるんですよね?

(伊藤氏)そうですね。一応、おおまかな発達段階と制限の解除っていう方針はあるんですけれど、生徒の状況とかに応じて緩めたり、強めたり。そこはもう学年の先生と生徒との信頼関係の中で取り決めをしてもらって、(その上で)運用をこういう風にしてくださいっていうのを、こっちにくださいっていう形でやっています。

(土井氏)へぇ~ すごいな。

iPadの機能制限の例③:アプリのインストールを制限

(神谷氏)土井さんはどうだったんですか? 最初、県立のほうにiPad導入されたときっていうのは。学校教諭としてiPadを使うっていうイメージですよね?

(土井氏)そうです。なるべく(制限を)かけないようにっていうのは、あったんですけど。アプリは当然入れられないような仕様になっていて、Apple Configurator 2経由でしか入らない。その他の制限はかけてなかったと思います。もう一個は、先生のiPadと生徒のiPadってもちろん仕様を別にしていたので、先生のほうはもう何も一切かけないっていう状態で使ってもらってました。

 当時やっぱり色んな意見もあったんですけど、それをこう、トラブルが起きたり困ったことが起きたら、その都度それを学習の道具にしてくださいっていう形で学校に説明をしていましたね。制限をかけていたものをいちいち解放していくっていうのが、なかなか厳しい状態だったので。ある程度フリーで使わせながら、困ったことが出たときに都度対応するっていう風にしていました。

(神谷氏)なるほど。改めて聞くと、色々なんか、機能制限って最初のご苦労っていうのがあるんだなーっていうのが、よくわかりました。はい、ありがとうございます。なんか、すごい面白い話がたくさん出てきましたね!

(伊藤氏)ガッチガチに(制限を)かけちゃってるので(笑)

(神谷氏)立命館さん、そうだったんですか(笑)

(伊藤氏)ガッチガチですよ。AppStoreすら開かないですからね(笑)。高校生は、年に三回しか開かないですから。だからその都度フィーチャーセットとかを変えて、解放して、閉めて、その後また取り締まりをして。(手招きしながら)「ちょっと」って。勉強用の端末だよ、みたいな(笑)。

(土井氏)先生たちが、それをちゃんと言えるっていうのがすごいなって思って。

(伊藤氏)え、どういうことですか?

(土井氏)「これは制限してください」とか、「これはあれしてください」っていうの、先生たちが決めるんでしょ? 決められるくらいちゃんとわかってるってことですよね、多分。

(伊藤氏)(生徒を)見てはいるんですよね。「うちの学年はちょっとYouTubeは止めて運用してみたいんです」と。どうしてもYouTube楽しいから、やっぱり見ちゃうと。学校でね。家で、スマホでも見てるとは思うんですけど。

(土井氏)なるほど、面白いな。それ初めて聞いたパターン。

(伊藤氏)あ、そうですか?

(土井氏)毎年ポリシー変える、学年ごとに変えるとかって、僕初めて聞いたかも。

(伊藤氏)高校生はほぼ一緒ですけど、中学生はやっぱり段階が色々あるみたいなんで。

(神谷氏)まあ、学年のカラーみたいなのもありますもんね。

(土井氏)いつまでたっても(制限が)解放されない学年も。

(神谷氏)そうそう、解放されない学年も(笑)

(土井氏)あいつら絶対だめだみたいな(笑)

(伊藤氏)それ個人的に何か入ってますよ(笑)

(土井氏)俺らだけずっと厳しくね?みたいな。

(伊藤氏)そこはもう学年と生徒の信頼関係の問題ですから。やっぱり保護者とも、「こういう風にやってます」ときちんと言えればいいのかなと。

タブレットの学びにつながる活用方法

(神谷氏)では、続いての質問なんですけど。それぞれの学校で、iPadをどういう風に活用されているのかっていうところのお話しをお伺いしたいと思います。

タブレットの学習活用①:生徒のアウトプットに繋げる

(品田氏)はい。本校もですね、中一から高三までみんな(iPadを)持っているっていうところなので、いわゆる生徒がインプットする使い方って言うんですかね。先生から何か課題を与えられるとか、何かこれを見ておくようにとか、読んでおくようにとか。これをやりなさいっていうのはかなり定着しているかなと思うんですけど。やっぱりそれだけだと、つまらないというか。生徒にとっても、学ぶことが楽しいっていうのはもちろん大事なんですけど、やっぱり学ぶのって結構つらいところもあったりするので。そうするとなんか、自分をつらくするツールになっちゃうので。それでは活用が進まないかなって思っています。
 あと、聖徳学園では「創造」をすごく大事にしているので。最近はアウトプットを増やすためのツールっていうことで、生徒が何かを「創る」っていうところをすごく大事に活用してるって感じですね。

 さっき、自分の好きな曲を紹介するジャケットを作ってみよう!みたいなことを言いましたけれど。例えば、外国語を自分で勉強して、それを友達に教えてあげるレッスンムービー作ろうとかっていうのをやったりとか。それも、iPadがあれば自分で色んな学びやすいサービスだとかアプリとか使って、自分で選んだ外国語を勉強して。発音の正確さとかはクリップスっていうアプリなんかを使って検証することができるので。僕ら教員が手を貸さなくてもですね、「こういうツールがあるよ」ってことだけを教えれば、そういう動画が作れて、お互いに見て。「えーなんとか語ってこんな挨拶するんだー」とかって言うのが学べて。お互いの学びにもなって面白いかなと。

 生徒にとっては、先生がいたほうが勉強するのは楽かもしれないけれど、自分がこれを知りたい、学びたいと思ったときに、結構これを使うと自分で学べるんだなということを学んでもらえると、卒業したあとも人生の中でずっと学び続けることができるかなーと、そういう風に思っています。

 あとはまあ、何かツールとかのやり方を身につけなきゃいけないってことも必要で。大学の先生とかからは、ちゃんと中高でワープロの使い方くらい学んで来いとかっていうのもあるので。ワープロとかも、やんなきゃいけないんですけど。教科書見ると、見本の文章と同じような(文章を)作りましょうみたいなのがあって、それもつまらないなと思うので。

 この間、中間考査が終わったんですけれど。これから期末考査に向けて、期末考査の模擬問題を自分で作るとか(している)。そうすると、テキストの入力もあって、表も教科によっては表なんかを使うテストもあったりとか。あと、解答用紙作るときに表を使うってすごく便利なんで。解答用紙ももちろん自分で作らないといけないんで表を作ったりとか。グラフも教科、科目によっては出てきたり。図を入れたりっていうのはどの教科でもやったりしますよね。
 そうすると、だいたいワープロの機能一通りがテストを作りながら学べるんですよね。そうすると、一人一人出来上がるものって全然違うし。ついでに、テストを作るってことはその教科、科目の学びを深めることにもなるし。それをお互いにシェアしてるので。お互いに解き合って「この問題おかしい」とか、「これ別解あるじゃん」とかっていうのが、またそれが盛り上がってすごく面白いんですよね。だからなんかこう、今まで当たり前にこうやらなきゃって思ってた課題とかも、なんかこう生徒のアウトプットに繋げるやり方ないかなーっていうことで、取り組んでますね。


実際に動画制作に取り組む生徒たち

 あとはやっぱり動画ですけど、じゃあそのテストの前にワンポイントレッスンの動画作ろうみたいなことで、動画の合成を取り入れて背景の板書も自分で作らせて。グリーンスクリーンの前で撮った解説の動画を合成して。お天気お姉さんとか、ああいうような感じで、30秒くらいである単元のこの項目の解説しますなんていうのを作ってもらって。それをまたみんなでシェアする。
 お互いに見てコメントしたりするっていうのをやると、ただ動画を編集しましょうではなくて教科の学びを深めることになるし、そういうツールの使い方っていうのも身につくし。そこで自分のオリジナリティを出そうっていうことで、うちが大事にしている創造性っていうのも刺激することが出来るかなっていう。インプットだけではなくてアウトプットを増やして、創造するってことが楽しいんだな、学びにも繋がるんだなっていうことを経験してもらおうっていうことを、今はICTを使ってやっています。

(神谷氏)すごい。聞き入ってしまいましたけれど(笑)。

(品田氏)語ってしまいました(笑)。

(神谷氏)知識のインプットって、アウトプットをすることによって定着していくのかなって。私のイメージなんですけれど。知識の定着とか、学力面については、品田先生から見てどうですか?

(品田氏)うーん。じゃあそういう授業をやったからって言って、スコアが上がりましたみたいなのって比較のしようがないので何とも言えないんですけれど。完成したものとかを見ても、これだけ喋れるようになるってことは、この単元に関してはかなり理解してないと、これだけ語れないよねっていうのはあるので。ただ先生の話を聞いて覚えましたっていうのとは、少なくともそこで差がつくと思うし。じゃあテストが終わったらそれを忘れちゃうのかと言ったら、絶対忘れないと思うんですよね。
 そういうのを僕の授業だけではなくて、面白いねっていうことで他の教科の先生とかも、じゃあテストの前に丸々一本分は無理だけど、それぞれ模擬問題作って共有するっていうのをやってみましたっていうのが出てきているので。そういう取り組みが今後増えていってくれると、目に見えて数値が変わってくるところもあるのかもしれないと思います。でも、それを目的にやってるわけでもないし。数字を上げるっていうよりは、さっき言ったように「自分で学べる」ようになってほしいっていうところが一番大きいところです。

タブレットの学習活用②:アプリを使い授業のバリエーションを豊富に

(神谷氏)なるほど、よくわかりました。ありがとうございます。伊藤先生のところは、iPadの活用っていうのは7年目ですけれど、どんな風に変わってきたとか、今どういう風に使っているよっていうのがあったら教えてください。

(伊藤氏)うちは7年目になるんですけれど、導入当初は皆さん手探りでやっていたところはあるんですけれど、だんだんカメラを使うとか、動画を使うっていうことが学習に効果があるとか、学習者自身にとっても為になるっていうことが皆さんわかってくるところがあって。結構今まではカメラで撮るっていうことも難しかったし、動画を取り扱うってことも難しかったんですけれど、やっぱり自分1人1台の端末があることで、それが自分のデータとして、自分がいつも持っているものに入っているので、いつでも振り返れたりとか。それを今度は提出するってことも可能になってきたんですね。なので、そういったもので今までやり取りするツールが紙しかなかったのに、それが動画とか、静止画を扱えるようになったっていうことは、非常に色んな科目においても便利になったなっていう風に思いますね。

 あとは、色んなアプリを使った学びですね。特に基礎学力、ドリル系の学びなんていうのは、すごく生徒も意欲をもってできるような教材っていうのが増えてきたので、そういったものを使いながら学んだりとか。それこそYouTubeとかでも学習動画とか色んなのがあるので、そういうのを見ながら勉強している生徒とかっているので。色んな場面で活用が進んでいます。
 この緊急事態宣言になって、遠隔授業しなければならなくなったっていうときに、先ほどもちょっと言いましたけれどMDMがあったから、Zoomとかを遠隔で生徒に(端末へ)入れて。家でも環境を整えたうえで、我々も初めての(先生の)自宅から生徒の自宅での遠隔授業っていうことをトライアルしてみました。
 そんな中でもiPadがあるから自分の考えをクラウド上で見て、共有してってこともできたし。課題をiPad上から提出するっていうこともできたし。反転授業に取り組む先生方も多くて、自分の撮った動画でもそうですし、優れた動画を見ながら「ここのわからないところを質問してね」とかって形でも活用したりですね。色んな形の授業のバリエーションが増えてきたのかなっていう風に思っています。

(神谷氏)なるほど。ありがとうございます。コロナの間ってオンライン授業ってすごく求められたのかなと思うんですけども、今も継続してやられてる先生っていらっしゃったりしますか?

(伊藤氏)そうですね。コロナのときに反転授業にチャレンジしてみようって言って、そのまま1学期間、続けて。登校してもそのままのスタイルで続けられて、講習とかも反転学習みたいな形を活用しながら。自分が教えない時間に生徒一人一人の質問に対応できるとか、状況を確認できるとか、自分が授業しない時間を有効に活用されている先生がいらっしゃいます。

タブレットの学習活用③:グループ活用やプログラミング教育に活用

(神谷氏)はい、ありがとうございます。土井さんは、公立の教育現場に詳しいと思うんですけれど、公立ではいまiPadってどういう風に活用されてて、先生方はどういう感覚で使われているのか、そのへんのお話しを聞かせてもらえますか?

(土井氏)公立の場合は、わりとOne to Oneまで揃って実践をバリバリやっていますってところは、実はまだほとんどなくて。先生用の端末があって、生徒用のが少しあるっていうパターンのほうが多いです。グループ活用だったりとかっていうパターンが多くて。
 今年どこまで実施できているかわからないんですけど、プログラミング教育とかにiPadってやっぱり強くて。色んな元々持っているアプリもあるんですけれど、それ以外のロボット型の教材だったりとか、それ用(プログラミング用)のアプリっていうのもかなりたくさん種類があるので。そういったものを使いながらやっていくときに、わりとiPadは自由度が高くて、子どもたちも使いやすいんじゃないかなっていうのは、よく目にしました。

 あとは、低学年の子どもたちでも結構簡単に色んなことが出来るので、その子たちのレベルに合わせた授業の組み立て方だったり、シンプルな活用でiPadをどんどん使っているっていう授業は多かったかな。カメラとかKeynoteとか、子どもがパッと見てすぐ触れて色んなことができるアプリケーションっていう、その汎用性の高さが特に小学校では良いんじゃないかなと思っています。実際に大分でもかなりの実践をやっている先生がいたので、継続してやってくれてると思います。

タブレットの学習活用に対する先生方の不安

(神谷氏)先生方は結構、iPadに対しては「やっていこう!」みたいな感じの雰囲気ってあるんですか?

(土井氏)まー人によりますね(笑)。今までの色んな経験の中で、そもそもICTはもう無理です!っていう先生もやっぱりまだまだ居るし。今回GIGAになって、そうも言ってられない状況が生まれてくるので、そこから先はまたスイッチは入ると思うんですけど。現状で言うと、まだ先生の裁量に任されているところが多いので。ある先生は使うし、使わない先生は使わない。今までと同じ感じですかね。ただ、学校全体として、すぐに児童生徒用の端末が入るってことは皆さんわかっているので、そういった部分で先生方の気運はだいぶ高まっているんじゃないかと思っています。

(神谷氏)現場で1人1台を進めていくにあたって、先生方が一番不安に思われてることって何なんでしょうか?

(土井氏)「授業の画が描けない」っていうところじゃないのかなと思います。自分が黒板の前に立って、チョークを持って、子どもたちが静かに聞いてノートに写すっていう授業しか、もちろん経験がない人が大多数なので。じゃあiPadが机に置いてあるってことが、どういう意味を為すのかとか、何が起きるのかっていうところに漠然と不安を持っているっていうことと、(生徒が)「話聞いてくれないんじゃないかな」っていう不安感。そこが一番大きいかな。それ(iPad)を持ったときの授業って、どんな授業をしていいのか全く見えないっていうのは現実だと思います。

(神谷氏)結構、世の中的には1人1台をやっている先進校の事例なんかも出てて、そういった情報が(先生たちにも)届いているのかなって思ったりもするんですけれど、それはあまりないんですかね。

(土井氏)人によりますが、届いていないと思います。届いていない人には届かない(笑)。

(神谷氏)どういう風な授業になるか見えないっていうのって、多くの先生が抱えてらっしゃることなのかなと思うんですけれど。そこの不安を解消していくにあたって、MDMがこんな風に使えるよとか、こういうことがあるから安心してやっていいよ、みたいなことってありますか? さっき品田先生から「保険だ」みたいな話もありましたけれど。

(土井氏)初期設定がやっぱり一番肝じゃないかなと、僕は個人的には思っていますね。

(神谷氏)肝とはどういうことですか?

(土井氏)出来ること、出来ないことって、あそこ(MDM)の中でかなり制限できたりとか。伊藤先生のところみたいに(制限を)ガチガチにすることもできれば、すごく緩めることもできて。緩めれば緩めるほど先生たちの不安はもちろん増すので、じゃあガチガチにすると今度は使いづらいっていう。どこにパラメータを落としていくかっていう作業をきちっとした形で行い、学校の中で安全に、しかも使いやすい設定値っていうのをどこまで教育委員会がきちっと設計できるかによって、先生たちの使い勝手とか、トラブルの多い少ないっていうのも、ある程度コントロールできるんじゃないかなって思っています。

(神谷氏)どういう教育を目指すのか、みたいなところが結構大事だっていうお話しですよね、それって。品田先生のところは、創造性を育むとか、そういったスキームをやられてたりして、自由っていうのをある程度担保されてるようなMDMの使い方で。かたや伊藤先生のところは、学習用端末としてっていうような使い方っていう。そこの、MDMの最初の初期設定が非常に重要になってくる、っていう理解で合っていますかね?

(一同)うなずく

(品田氏)そういうことだと思います。

(神谷氏)ここって、さっき土井さんが仰ったみたいに、学校の権限をどう現場に落としていくのかっていうところの、すごい肝になると思うんですけど。土井さんは何か「こうやるのが理想だ」みたいなものってお持ちですか?

(土井氏)僕が推奨しているのは、アプリのインストールとアップデートの権限については僕は学校に下ろしたほうがいいかなって思っています。それは何でかっていうと、明日使いたいアプリとか、今日入れておきたいアプリっていうのを、どういうフローでインストールまでこぎつけるのかっていうと、今までだと恐らく市町村の教育委員会が管理をしていたので。学校側から校長先生なり担当の先生なり担当者を通じて、教育委員会がそのアプリを実機にインストールして、そのアプリが良いですよ、悪いですよっていう判断をした上で、(生徒側に)インストールするっていうのが、今まで恐らくやってきたプロセスなんですけど。それだと時間的なロスだったりとか、タイムラグっていうのがすごく大きくなるし。ましてや今回、(生徒)全員に入るっていう条件の中で、それは多分教育委員会としても回らないと。

 もう一つは、アプリの良い悪いっていう判断基準がどこにもなくて。誰がどういう基準で「これは良いですね、悪いですね」っていう判断を下せばいいかっていうのが多分わからないので。そうなるとある程度、学校長の管理の元というか、責任の元で各学校がインストールやアップデートをする、っていうのが良いのかなと。

 ただアップデートに関してはインフラの問題ももちろんあるので。じゃあアップデートが来た瞬間、全部の学校の、全部の端末に、アップデートをかけていいですかって、それは絶対そうじゃないので。そのあたりはどこまでコントロールを委員会側が握るかっていうのは、ある程度そこの自治体のインフラの状況だったりとか、台数とか、そのへんに応じて順次アップデートしていくみたいなことも、多分考えながらやらなきゃいけないのかなと思ってます。

iPadの運用・管理方法 各校ではどうしている?

(神谷氏)なるほど。品田先生のところはそのへんの管理ってどうされているんですか?

(品田氏)うちの場合は、結局その教務系というか、教育活動のところは私のほうで。システム的なところに関しては、二人いる専従のいわゆる支援員みたいなスタッフがいるので、彼らのほうで運営しているっていうような形なので。ちょっと分けてはいるんですよね。全体のポリシーみたいなところは学校で持ってるけれども、じゃあそのアップデートのタイミングだとかっていうことになると、そこはもう、その(支援員の)二人の判断にお任せしてしまうっていうところもありますね。ちょっとここは様子見ようであったりとか。
 色々情報が入ってくるわけじゃないですか。例えばMDMがちゃんとOSに対応できているのかどうかみたいなところとかって、それがわからないで上げちゃったりすると問題なので、そういったところは(判断してもらっている)。僕らも情報は入れるようにしていますけど、その二人が積極的に情報を手に入れて、ここはまあステイですとか、ここからはOKですとか、っていうような判断をしてもらってるような運用ですね。

MDM活用例①:生徒の自由を守るための「履歴」チェック

(神谷氏)なるほど。さっき品田先生が教務のほうではMDMを触ることがあるっていうお話しだったんですけど、実際触るっていうのは何か具体的にどういう情報を見られたりするんですか? MDMで。

(品田氏)別に何か、僕のほうで設定をいじることはないです。ほぼないと言っていい、ないですね。そこに僕は手を出してはいけないと思っているので。じゃあ、どういう時にMDMを使うかっていうと、これもシステム担当の二人と協力しながらなんですけど。

 例えばやっぱり使ってると、先ほどもお話しありましたけど、「(生徒が)家でゲームばっかりやってる」みたいなこととか、「ちゃんと勉強に使っているかどうか不安」とかっていう、そういうお申し出も保護者の方からあったりするんですね。生徒のほうは「ちゃんとやってるよ」みたいな。それって今までだと、その場で見ていれば別ですけど、ちゃんとやってる、やってないっていう終わりのない話になっちゃうので。
 そのときにMDMがあると…まあ出来るMDM、出来ないMDMもありますけど。じゃあいつ、どういうサイトを見に行ってるの?(※1)とか、いつどういったアプリを使っていたの?とかっていうのが、わかるようになっているので。じゃあそれで見てみましょう、実際にと。本当にゲームやってるの?とか、くだらないWeb(サイト)を見に行ってるの?とかっていうのを確認できるので、そこでちゃんと(勉強を)やっていれば、「いやお母さん。ゲームやってるように見えるけれども、実はこれ学校のプログラミングの課題で、ちゃんとそれに取り組んでましたよ!」とか(言える)。逆に生徒がちゃんとやっていたって言っていても、どうも使っているものを見る限り、「勉強していたようには見えないよね。この時間帯見ていたのはこういうサイトだよね」と。そういったことで正しい指導が出来たりするので。そこ(正しい使い方)がちゃんと出来ないと、自由に使わせるってすごく難しくなってしまうので。

(※1)mobiconnectの有料オプション「Cisco Clarity」で提供される機能

 自由に使わせるための、保護者の方にも「ああ、そうだったのか」って安心してもらうための証拠。生徒にとっても、「ちゃんと使ってたんですよ」だったり、「ちゃんと使えてなかったから、これはもう自分を改めるしかないな」と思ってもらうための証拠であったりとか。そういったものを見たいときに、MDMのほうをちょっと見させてもらうってことをしています。

(神谷氏)なるほど。お互いのコミュニケーションというか、信頼関係をきっちり積み重ねるというか。実際に証拠を見ながらと言っていいのか、なんというか(笑)。生徒の履歴を元に、ちゃんと説明責任を果たしていけるっていうようなことですかね?

(品田氏)そうですね。別に1000人とかいるのを監視しているわけではないので(笑)。あとは、すごく良い作品が出来たときに、どういうアプリを使っているのかなとか、どういうサイトを参考にしてるのかなっていうのも、見ようと思えば見られるっていうのもありますよね。直接生徒に訊けばいいだけで、「すごいなこれ!どうやってやってんの?」っていうことでも良いんですけど。
 生徒も意外と、アプリとかはわかるんだけど、「こういうサイト見てやってみたんです」って言ったときに、意外と再現性がなかったりして(笑)。そういったとき、MDMでサイトの閲覧を辿れたりとかすると(※2)、「なるほどね」と。こういうのを参考にしてやってるんだなとかっていうのがわかるので。生徒と先生のコミュニケーションを図るうえでも、そういった素材にもなり得るので。

 どうしても一般企業とかで使うイメージから、MDMって管理、管理ってなってしまうんだけれど。我々としては、管理もするけれども、自由に使うためのツールっていうのかな。自由を守るためのツールっていう風に考えて活用していると思います。うちは。

(※2)mobiconnectの有料オプション「Cisco Clarity」で提供される機能

MDM活用例②:アプリインストール、アップデート時の利用

(神谷氏)なるほど、ありがとうございます。伊藤先生のところは、例えば学習用端末として活用していく中で、MDMはこういう風に先生が触るタイミングがあるとかありますか?

(伊藤氏)先ほどの土井さんの話じゃないですけれど、インストール、アップデートを誰がやるのかってところですけれど。一番最初の年はそこも含めて業者さんにお願いしてたんですね、年間何回とかって形で。ただやっぱり、それでは全然足りなくて。先生方から、こうしてほしいとか、明日までにこのアプリが必要なんだけど入れてほしいとか、結構色んな要求が来るんですね。やっぱりそこで、「MDM入れてるから出来るんでしょ?」「でも外注してるから、色んな制約があって出来ない」ってなってしまうと、何のために入れているのかってことになってしまったので。
 途中から私も操作を覚えてやってたんですね、インストールとかアップデートとか。やっぱりこっち(学校)側で、このアプリは良い、このアプリはいけないっていうのも、ある程度何人かの先生方で話をして基本的なルールは決めたので、それに抵触しなければどんどん入れていこうっていう形で入れていってですね。そういう判断も現場にインストール権限とかアップデートの権限がないと、判断も遅いし、実行もできないので。それは自分たちがそういうのが(インストールやアップデート)出来るようになったっていうのは、先生方の活用が進むきっかけにもなったし。我々もいちいち電話してとか、いちいちメールしてとかっていうの、すごく大変なので。それだったら、自分たちでやろうってことになってます。

(神谷氏)大変じゃなかったですか?MDMの操作を覚えるのは。

(伊藤氏)すごい大変でしたから、出来れば先生にはやってほしくないですね(笑)。すごい大変だったので、2年目からはうちの情報の授業を一緒にサポートしてくれるスタッフ、情報実習助手っていうのがいるんですけれど。その職員系列の皆さんに私と一緒に勉強してもらって、MDMの操作をやっていただいて、出来るだけ自分は教育のほうに時間を割けるようにということで。MDMの操作は実習助手さんにお願いをしていくっていう形で、共同してやっています。だから操作は、私よりも実習助手さんのほうが出来ますし。

 先ほど、品田先生が仰られていたアップデートのタイミングですね。特にiOSのメジャーバージョンアップがあったときなんかは、色んな問題が出てきますので。いまMDMだと、「アップデートしない」ってこともできるんですね、生徒の端末を。なので今、うちの学校はまだアップデートしないってことで制限をかけているんですけれども。それがなかったら、もしアップデートしてしまうと今度Wi-Fiが繋がらないとかですね、色んなことが生じてしまう可能性があったので。それもMDMのおかげで出来ているのかなと思います。

公立の場合は「推進チーム」づくりが必須

(神谷氏)ありがとうございます。土井さんは県立でiPadを導入されたときって、先生方にApple Configurator 2の使い方みたいなのって研修されてたと思うんですけども。やっぱり現場の先生はシステム周り、端末管理周りの知識を覚えるのってすごい大変だなと思うんですね。何かそこっていい運用の仕方とか、進め方ってあったら教えてください。

(土井氏)県立学校に推進チームっていう組織を作って、各教科から1名代表を出していただいて、学校の中で10名以上の人々がApple Configurator 2の運用に関わりましょうっていうことで。先にそちら(推進チーム)を作って、その方々に研修をしていくと。プラス、マニュアルを渡して何か困ったらここを見てくださいと。実際に機器が入る前だったんですけれど、(機器を)持っていって。そこで一人ずつ操作をしながら覚えていくっていうやり方をしたので、そこに来ていたチームの人たちにはきちんと習得をしてもらうっていうのは心がけてやっていました。

(神谷氏)なるほど。各教科の先生を一人出すってことですか。

(土井氏)そうです、そうです。

(神谷氏)結構な(数の)チームですよね。

(土井氏)そうしないとやっぱり、公立は異動があるので。異動して担当者がいなくなって(体制が)変わりましたってことでそこが全然できなくなると、本当に学校が止まっちゃうので。全員いなくなるってことは絶対ないから、そういう形でやりました。もう一つの理由は、活用の方法も教科ごとに研究していくっていう側面が高校の場合はあったので。そういう意味では、各教科に一人ずつそういう推進役の先生がいるっていう体制を作りたかったので、そういう形で人を出してもらいました。

(神谷氏)たしかに。小中学校と違って高校の場合は、教科のね、先生方の壁みたいなものがあるのかなと思うので。やっぱり教科でくくるのがいいのかなーなんて思います。

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