2020.11.26

教育現場

GIGAスクール構想に悩める先生必見! ICT教育の最前線をいく先生方による、端末1人1台時代の課題とアドバイス【後編】

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GIGAスクール構想で児童・生徒に1人1台端末。困惑する先生に

2020年度末までにGIGAスクール構想により1人1台の端末導入が日本全国の公立小中学校に行き渡る見通しの一方で、これまでと異なる環境での教育方法や慣れない端末の管理や運用で頭を抱える現場の教職員は少なくありません。

そこで、「1人1台時代・創造性を進めるiPadを活用したICT教育環境」と題し、そもそも端末管理とは何か?端末を導入するときにどんなことが起きたのか、現役の先生方に赤裸々に語って頂きました。

また、それぞれの立場を超えて自身の経験や課題から「1人1台時代に求められるICT教育」を視点に、現在端末の配備で様々な問題に直面している先生方にアドバイスとエールを送ります。

今回お送りするのは後編の内容です!(前編の内容はこちら

【動画後編】1人1台時代・創造性を進めるiPadを活用したICT教育環境-安心・安全なICT教育環境を支援するMDM「mobiconnect」-

出演者

【 ファシリテーター 】
神谷 加代 氏
教育ITライター。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。

【 パネリスト】
品田 健 氏:
聖徳学園中学校・高等学校/学校改革本部長
前任の学校でICTの導入・活用を担当し、2017年4月より聖徳学園中学・高等学校にてICT活用、STEAM教育開発を担当。

土井 敏裕 氏:
Doit代表取締役/元小学校教諭、ICTスーパーティーチャーを経て、2014年度より大分県
教育委員会情報化推進班指導主事、2018年度退職。株式会社Doitを設立。
https://www.d-oita.com/company

伊藤 久泰 氏:
立命館守山中学校・高等学校/メディア教育部主任・情報科教諭
2014年度よりiPadの一人1台体制を導入し、現在中高合わせて約1,600台のiPadを管理。

タブレットに関する課題と解決策 - 教員とICT教育の向き合い方

(神谷氏)続いての質問なんですけれど、iPadに関する課題についてお聞きしたいと思います。実際に教育現場へ、大規模な(数の)iPadが入ってくると様々な課題が生じると思うんですけれど、その課題をどういう風に解決していけばいいのかっていう話もお聞きできればと思います。では土井さんから課題についてお願いできますか?

タブレットに関する課題①授業のデザインの組み立て方

(土井氏)課題はたくさんあると思うんですけれど、先生たちの課題が一番大きいかなと思っています。もちろん納期の話とか、インフラの話とか、本当に企業側の課題っていうのもたくさんあるんですけれど、そもそも授業を行っている先生たちがどうやってこれ(iPad)と対峙していくか、すごく大きな課題で。今までICTをまったく使ってきていない先生もいれば、先生が使うっていうところですごく実践を深められている先生もいるんですけれど。今回の場合は、子どもたちのところに端末が手元に来るので、そういった中で授業のデザインをどう組む立てていくかっていうのは、すごく難しい課題です。

今まで学校の先生たちってすごく授業研究とか教材研究とか、それこそ発問の工夫とか、板書の工夫っていうのをもう何十年にも渡ってしてきていたので。その知識とかノウハウを持ったまま、iPadとどう融合させていくか。本当に頭が痛いというか、悩ましいし。そもそも先生が活用するっていう、ICTを使った教育の在り方を、根底から変えなきゃいけないっていうのがすごく大きくて。
先生が(端末などを)持って有効に使っていくICT教育っていうのは、これまでずっと言われてきたと思うんですね。「よりわかる授業をしましょう」とか、「見やすい掲示をしましょう」とか。「効率的に提示をすることによって時間を短縮しましょう」って、色んなことを言いながら進めてきたんですけれど。今回はもうそういうことを一気に飛び越えて、子どもたちがみんな(iPadを)持つっていう中で、本当にそれでいいのか、っていうところ。

目指さなきゃいけない授業の在り方だったり、ICTの活用の仕方っていうのが圧倒的に今回、変革しなきゃいけないので。そこまでのメンタルの部分をどういう風にサポートして、先生方にやる気を出してもらうか。結構根深いというか、大きな課題だなという風に思っています。

(神谷氏)なるほど。GIGAスクールで1人1台導入されるっていう中で、先生たちは変わらなきゃいけないっていう思いがあるっていうことですよね。

(土井氏)はい、変わらなきゃって思っていると、思っているんですけど(笑)。それってでも、学校だけじゃないですよね。世の中がみんな変わっていて、教育だけが変わらなくていいって話じゃ絶対ないって思っていて。世の中の変化に合わせて、学校も変わっていかないと。企業の中でテクノロジーがどんどん入って便利になって、働き方も変わってきているっていう中で、じゃあ本当に学校はこのまま行っていいんですか?っていうところは、わかってはいると思うんですね。わかっているんだけど、どうしていいかわからないとか、どこを目指していいかわからないっていうのが現実だと思うので。そこに大きなビジョンだったり、人を育てる育成の方法だったり研修だったりっていうところは、しっかり考えていかないといけないんじゃないかなと思っています。

タブレットに関する課題②先生に求められる「教える」スキルの変化

(神谷氏)はい。では続いて品田先生、iPadの課題についてお話を聞かせてください。

(品田氏)そうですね。いま、うちは(iPadを導入して)6年経つので、ちょっと次の段階に入ってきたかなというところで、GIGAでiPadが入ってくる学校でも(この問題は)出てくると思うんですけれど。

先生がいかに自分の授業をうまくやるのかっていう視点で、たぶんICTの活用、iPadの活用とかが進んでいくと思うんですね。そこに関しては、さっき土井さんも言ってましたけれど、先生たち一生懸命取り組んでいるので、結構技術的には追いついていくのかなという風に思います。うちの学校を見ていても、(技術的な面も)いけるかなっていう感じです。でもそれは変な話、黒板とかホワイトボードだったものがiPadとプロジェクターになるっていう変化くらいであって。例えば先生のポジションみたいなものが変わるのかっていうと、そこはあんまり変わってこないから、対応もできるのかなと思うんですけれど。

やっぱりどんどん活用が進んでいくと、例えばさっき「アウトプットを」っていう話をしましたけれど、僕が授業の中で何かを説明するとか教えるっていう割合は、すごく少なくなっていくんですよね。自分で学べる方法を教えているわけなので当たり前なんですけれど。僕が教えられないような外国語を生徒は勉強していくし、僕が思いつかないような動画とかも作っていくわけですよね。ってことは僕らは教えなくてよくなってくる。そうなると、教えたくて先生になった人にとっては苦痛なんですよ。授業の中で喋らないとか教えないっていう割合が増えていくのって苦痛なので、そこってなかなか乗り切るのが難しい。実はかなり大きな課題だと思っていて。

ICT使えるよね、生徒が使えるようになるのってすごくいいことだよねっていうのは認められるんだけど。でも自分のポジションがいわゆる「知の巨人」みたいなものだったのが、生徒が学ぶのに困ったときとか、どうすればいいのかなっていうときに、サポートしてあげるような存在になっていくんですよって(いう風に)なってしまうと、そこは本能的に認めたくないなってところが出てくるのかなと。

まずは(iPadが)入ることが大事なんだけど。未来にはこうなってほしいっていうビジョンがあって入ってくると思うんだけど、その未来のビジョンを実現するためには、かなり大きいハードルを、精神的な部分で先生たちが越えないといけないっていうところが、すごく大きな課題だなという風には思っています。そこっていうのは、単なる研修とかそんなものでは乗り越えられないものなので。うちで見ていても、そこが課題なのかなと。

アンケートを今回取ってみてわかったんですけれど、先生たちの(ICT活用への)スキルは上がっている。でも何のスキルが足りないかっていうと、生徒がああいうことしたい、こういうことしたいとか、生徒に何か新たな発見をさせるための「使わせ方」。使わせ方っていうとよくないかな。生徒が、自分のやりたいことを実現するための方法を教えてあげる、そのスキルがまだ足りてないなっていうことが結構明らかになって。うちの課題としてはそこなんだな、生徒の期待に応えないといけないってところが課題なんだなっていうことが、いま見えているので。GIGAでもの(iPad)が入って、先生たちがうまく使えるようになって、その次にそういう課題が出てくるんじゃないかなっていう風に思っています。

(神谷氏)なるほど。今の品田先生のお話って学校だけじゃないなって本当に思っていて。保護者にとっても、そういう部分ってあるじゃないですか。子どものほうが明らかにタブレットとか使えて、親の知らないようなこともいきなり知っていたりして。それにちょっと怖さを感じるというんですか。自分の知らないことをどうやって、この子達はいつの間に知ったんだ?とか(笑)。それを子どもに合わせて変えていくって、やっぱり保護者でも難しいし。現場の先生だったらそれを教育的な観点で見ていくっていうのも、結構大変なのかな、なんて思うんですけれど。やっぱりそれでも変わっていかないとダメだっていうことですよね。これからの未来ってことを考えると。

(品田氏)そうですね。だからその対策っていうか、その一つとして、さっきお話ししたようなMDMの使い方があって。生徒がどういうもの(アプリ)を使っているかとか、どういうもの(サイト)を見ているのか(※1)っていうのを、監視するっていうわけではなくて、必要があったときに、それが見られる環境にあるんですよ、うちの学校で使っているiPadっていうのはそういう風に運用されていますよ、ってことが先生や保護者に伝わるっていうことが、学校の信頼度を上げることにもなるし。先生たちにとっても、そういうものを確認していくことで、少しずつ認めていくことが出来るようになるんじゃないかなと、楽観的な僕は思っています。

(※1)mobiconnectの有料オプション「Cisco Clarity」で提供される機能

タブレットに関する課題③一斉授業から変化する授業スタイルの充実度

(神谷氏)はい、ありがとうございます。では伊藤先生、課題のほうをお願いします。

(伊藤氏)うちの学校もiPadを1人1台入れて6年~7年経つんですけれど。導入当初は、私も含めてですけれど一斉授業をどういう風に改善していこうかっていう形で、iPad、ICTの活用が進んで。さらにそこから、iPadがあるから共同学習がもっとうまくできるんじゃないかっていう形で、色んなツールを使いながら共同学習の取り組みが非常に進みました。最近では、1人1台だからこそ個別学習がもっと可能になるんじゃないかなってことで、いま色んなツールを使いながら、個別学習の充実をどういう風に図っていったらいいのかってことを考えています。

個別学習の場合のほうが、一斉授業に比べて基本的な知識や技術を習得するのが効果的で。本人が主体的に、自分で学びに行くので非常に効果があるんじゃないかなっていう風に思います。ただそれだけど、「じゃあ全部個別学習にしたらいいんじゃないか」っていう話もあるかもしれないですけれど、それはまた違うなと思っていて。
今までiPadがない時代は一斉授業、あるいは共同学習といってもすごく大変だったんですね。それがiPadが1人1台入ることで、一斉授業もできるし、共同学習もできるし、個別学習も可能になったっていうことで。先生方の授業スタイルのバリエーションがすごく増えたんです。だから生徒も時と場合に応じて、先生も時と場合、教える内容に応じて色んな種類の(授業の)バリエーションで生徒にアプローチできるし、生徒も色々な方法で学習できるような時代が来たのかなという風に思います。

やはり一斉授業というところから、答えが一つしかないような問題を、でも基礎的なものを学ばないといけないときってありますよね。そういうものも、動画反転学習というものにしたりとか、あるいは個別学習の仕組みを入れて、そこでやってもらうとかっていう形に授業も変わっています。だから本当に、授業中に60分とか50分講義するってこと、なくなったんですよね。最初の10分くらい注意事項と、「今日こんなことやったらいいよね」とかっていうことを言って、「ようい、はじめ」っていう形で。本当に、一人一人「今どこで悩んでるの?」とか質問に答えたりっていう時間をすごく割けるようになったっていう風に思います。

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働き方改革が叫ばれる中、iPad導入において先生たちがすべき業務とは?

(伊藤氏)はい、ありがとうございます。他にもいろいろ課題っていうのはあるのかなっていう風に思っているんですけれど。例えば、いま学校現場っていうのはコロナ禍の中で学校のカリキュラムが変わったりとかして、先生の多忙感っていうのが問題になっていると思うんですね。そういった中で、大量のiPadが来て管理もしていかないといけないっていうところも、多分課題になってくるのかなって思うんですけども、そのへんっていうのはいかがでしょうか? 品田先生と伊藤先生のところは専門のスタッフの方がいらっしゃるということでしたけれど、このへんの「働き方改革」みたいなところで、こうすればいいよとか、公立はこういう体制にしたほうがいいよっていうところがあれば、土井さん教えてください。

「管理体制の組織化」が公立学校では必要

(土井氏)はい。恐らくですね、そこ(iPadの管理)に対する専門のスタッフを各校に配置するっていうゆとりは多分ないなって、正直僕は思っています。そうなったときにじゃあどうすればいいか、っていうと、やっぱり校内でそういう組織的な対応をしていくのが最初のステップかなと思っていて。ある先生の業務が今回のGIGAによって異常に膨れ上がるっていうことは絶対避けなきゃいけないってことと、公立には必ず異動っていうのがつきものなので。異動するってリスクを考えるとやっぱり校内で組織化をして、何人かの先生がMDMを操作する権限を持ったりとか、もちろんそういうスキルをつけているっていうことが前提かなと思います。

それと、学校でしなきゃいけないMDMの操作を限定的にするっていうこともすごく大事で。たくさんの機能がある中で、学校としてやるべき操作はこれですと。そこに対して、MDM側もわかりやすいインターフェースであったりとか、言葉の変換とか、すごい簡単なステップで先生方がそういう操作ができるようなものに変えていかないと。やっぱり、ある専門の知識がある技術者だけがそれを触れるとか、全部のことがわかっていないとこの操作ができないっていうようなインターフェースは、特に先生方にとっては精神的な負荷も大きいと思うんで。そういった部分での操作性とかインターフェースの問題とか、そのあたりも解消してもらえると(良いと思う)。
どっちみち、やらなきゃいけない仕事は変わらないので、せめてそういう「やりやすさ」だったりとか、人を増やすとか、そういったことでしか(業務の負担を)多分かわせないのかな。

恐らく、支援員といっても現状は、一校に一人張り付くってことは出来ているところは少ないと思うので。そうなると、あとは先生方の負荷を軽くしていけるような体制だったり、システムを作っていくかっていうところだと思います。

(神谷氏)なるほど、わかりました。具体的にこの業務にすごく負荷がかかるから、ここはすごく考えたほうがいいよ、っていうのはありますか?

(土井氏)単純に学校がやらなきゃいけないことは、アプリのインストールができるっていうことと、(アプリが)入ったかどうかをチェックするってことですよね。あとはOSのアップデートをどのタイミングでやればいいかっていう。その二つだと思うので、初期設定の値を(担当として業務に)あたるっていうことはほとんどないと思うので。逆に言ったらそういうものを全部そぎ落として、そこだけのインターフェースでもっと簡単に出来るような何かがあるといいなと思います。

iPad導入時には、専門のスタッフを想定した予算や体制づくりが必要

(神谷氏)なるほど。品田先生、伊藤先生はどうですか? 「働き方改革」みたいなところで。(二人の学校では)専門のスタッフさんいらっしゃるっていうことでしたけれど、そうでない学校さんのほうが多いのかなって思っていて。ここの人材確保ってどういう風に進めていけばいいとか、ヒントになるようなことがあったら教えてください。

(伊藤氏)私からいいですか? 私もこの、立命館守山に来て、急にICTをやる話になって、iPadがバーッと来て(管理などを)やるっていうことに直面した教員の一人なんですけれど。やっぱり…アプリくらいならなんとかなるかなと思うんですけど、初期設定とかは今でも会社さんにお願いしていますし、生徒のiPadが割れたっていうのも、1600台くらい管理していると1日1件くらいは来るんですね。それも最初のころは業者さんにお願いしていたんですけれど、お願いしてしまうとiPadがない期間がすごく長くなってしまうので。生徒の学習の支障にもなるということで、我々がいまはそこも含めてやっている形なんですよね。その内政化をどんどんしていくと、もちろん業務が膨らむんですけれど、やっぱり出来るだけ生徒にいい環境で学習続けてもらいたいっていう思いで、そこは頑張ってやっているところでもあります。

MDMもできるだけ導入して、端末管理にかかる時間を削減したいなと思うんですよね。それはなぜかと言うと、MDM以外にもiPadを入れると色んなアプリケーションを使いますよね。それの年度更新たるや、すごい大変で。それをじゃあ誰がやるんだってなったときに、やっぱり教員がやったりとか。もちろんうちの学校で言うと、情報実習助手さんとかやってもらっていますけれど。
うちは教員一人、実習助手さん3人、SEさん1人の5人チームでやっていますけど、5人でも3月の後半から4月は本当に大変で。そこに人とかお金がなかなかつかないっていうところも現状としてあります。でも、先生としてはご自身の教科の教材研究であったりとか、部活動の指導であったりとか、生徒指導とか色んな業務がある中で、システム側のトラブルに巻き込まれてしまうと、どっちつかずになってしまう可能性もあって。両方の業務が止まってしまうようなことも有り得るんじゃないかなと。

先生じゃない人に、出来るだけこういったこと(システム側の業務)をやっていただけるような仕組みとか、予算とか体制を作ってから始めたほうが、きっといい形でまとまっていくんじゃないかなと思います。

「教育の質の低下」を防ぐために、先生以外の人員が必要

(神谷氏)わかりました、ありがとうございます。品田先生は、前任校では管理職のお立場で。管理専門のスタッフを置くっていうことを決定されるようなお立場だったと思うんですけれど、このへんはどういう風にお考えだったんですか?

(品田氏)結構、学校によって先生のやる仕事の範囲って本当に違っていて。例えば、職員室の掃除を誰がやる?っていうのも、たぶん各校で全然違うんですよ。先生がやるところもあるし、先生は掃除はしなくて清掃の方がやられる学校があったり。先生が何の仕事をやるのっていうのが学校でだいぶ違うと思うんですけれど。

今のところ(聖徳学院)も含めて、桜丘でも考えていたのは、やはり先生方だって授業料を頂いて(いるということ)。かなり教員の人件費ってかかります。コストパフォーマンスみたいなところを考えると、できるだけ先生の時間を教材研究とか、勉強の部分ですよね。そこのところにいかに使ってもらうかってことなので。(先生が)出来ちゃうからと言って、じゃあその端末の管理のところをやってもらっちゃうっていうのは、見た目にはお金がかからなくてよかったねって話なんですけれど、本来であれば教材研究とかに使えた時間が無駄になっちゃってるんですよね。無駄というか、使えていないわけで。それを考えると、やはりそこ(管理)はちゃんとコストをかけるべきだと。お金はかかってしまうけれども、授業の質はそれで上がるはず、っていう考え方ですね。

先生がそういうことをやりたくないってわけじゃなくて、先生方に本来の仕事をやってもらうためには、やはりそこに人とお金を充てないことには、学校の教育の質が下がってしまうじゃないかと。そうすると、私立の学校としては立ち行かなくなるよねっていうことで、納得してもらうというか。(そのおかげで)学園側にお金と人を出してもらう形になったというところだと思います。

(神谷氏)はい、わかりました。ありがとうございます。やっぱり大規模な(数の)端末を管理していくのを初めから先生に任せるっていう発想は、教育の質を下げることに繋がっていくということを、最初のうちに考えておかないといけないことだなと思いました。

1人1台時代に求められるICT教育とは?

(神谷氏)では最後の質問なんですけれど、GIGAスクール構想で1人1台環境っていうのが整うことになりました。これから1人1台環境を活用していくにあたって、求められるICT教育っていうのは何なのかっていうところとか、iPadの活用っていうのはこれからどういう風に考えていけばいいのか、ちょっと先の話になるんですけれど、こちらの話をお聞かせ願いたいと思います。

「安心して失敗できる環境づくり」を支えるのが、ICT環境やMDM

(品田氏)はい。先ほどだいぶ取り組みとかを話してしまったし、うちの課題みたいなものもお話してしまったんですけれど(苦笑)。MDMのこととかも含めて考えて言うと、やっぱり学校ってすごく恵まれた環境で。何が恵まれているかっていうと、いくらでも失敗していいというところです。社会に出れば致命的になってしまうようなことも、失敗できる。だから(学校は)できるだけその失敗をしてもらおうという環境なんだと思います。

うちは校内SNSとかも入れているんですけれど、やっぱりそれも便利だからっていうだけではなくて、校内のSNSであれば、そこで失敗してもまだなんとかリカバーできるので。そこで社会に出る前にSNSの使い方を経験してもらおうっていうことで、使っているっていう面もあります。iPadとかにしても、会社に入ればですね、会社のMDMが入った端末を使うかもしれないですけれど、実生活・私生活では自分の端末とかを使っていくわけなので。やっぱりそこで失敗してしまうと大きいと。となると、やっぱり学校にいる間に社会に出てからやるようなことに触れておかないといけないし、そのときに、繰り返しになりますけれど、安心・安全に使えるってことがすごく大事で。そこでやっぱり使えるのがMDMかなという風には思っています。

なので、これからの教育ってことを考えていったときに、生徒が失敗しながら経験・体験を積んで、将来に活かしてもらう。その失敗できる環境を整えるっていう点では、MDMを入れるっていうのはその一つだと思いますし。それを生徒にも理解してもらわないといけないし、先生・保護者にも理解してもらって。

だから、全部大人がお膳立てしてやっていくのではなくて、出来るだけ生徒に、自分で考えて何かをするっていう場を与えて、見守り、失敗したらそのフォローをしてあげると。「大丈夫だよ、こういう環境があるからどんどんチャレンジしていいんだよ」ってことを、やっぱり進めていくべきなのかなという風には思っています。
それはうちの学校長も、チャレンジしなさいってことはすごく言ってくれているので。我々教員に対してもそうですし、生徒に対してもチャレンジしなさいと。うちでやってるスキームとかにしても、正直失敗する授業とかもたくさんあるんですけれど。でもそこから学ぶところは大きいので、「安心して失敗しなさい」と。色んな授業を試させてもらっているし、それが許される校風なので生徒も、そのスキーム教育の中で色んなチャレンジができるようになっているのかなと。それを支えるのが学校のICT環境だと思うので。そこを考えていったときに、MDMっていうのは一つ、重要なものなのかなと考えております。

(神谷氏)はい、ありがとうございます。やっぱりiPadをどんどん使いこなしていくのって、誰かに教えてもらって出来るんじゃなくて、自分で試して試行錯誤しないとスキルが育たないってことがあると思うんですよね。失敗から学ぶってことって私なんかも多いんですけれど。それが学校で出来るっていうのは、今の時代にすごく求められているのかなと思うんですけれど、品田先生から見られていて、その失敗できる環境があるからこそ、こういうスキルが伸びていっているよと実感されることってありますか?

(品田氏)教えた以上のことが、出来るようになるんですよね。失敗しちゃいけないよってことだと、先生の言った通りのことしかやらなくなるので、そこから成長がないんですけれど。失敗できるとなると、色んなチャレンジが出来るので。失敗もたくさんありますけど、その中でやっぱり僕らが教えられないようなことが出来るようになったりとか、想像もつかないようなことが出来るようになるっていうことが、できるんじゃないかな。それは見ていて、毎回何かしらの単元なり何なりをやったときに、「へー、こういうことって出来るんだ」って、やっぱり僕らが本当にびっくりするっていうようなことってあるので。やっぱりチャレンジさせてあげることって、すごく大事だなっていう風に思います。

教育にテクノロジーが入ることで、新しいチャレンジに取り組める環境に

(神谷氏)はい、ありがとうございます。では土井さん、いかがですか?

(土井氏)今日の話で言うと、やっぱり聖徳とか立命館とかの話って、公立の先生たちにとってはすごく貴重な話で、もっとたくさんの人が聞くべきだなって思っています。本当に、困って悩んで、ただただ「嫌だな」と思いながらiPadを待っている先生が多いので、そこを「早く来ないかな」と思いながら待てるような。先生のメンタルの問題だったりとか、今品田さんが言ったみたいに、生徒から思いもよらないようなものが出てきたときに、それを「すごいね」って言ってあげられる(ように)先生のマインドをどう変えていけるかっていうのが、僕の課題でもあり、たぶん学校の課題でもあると思っていて。

(iPadを使って授業を)教えるからこそ、自分が研修をして「生徒よりもうまくならなきゃ」「生徒に教えてあげなきゃ」っていう考え方を早く捨てて、「そうじゃないよ」っていうことを多くの先生に伝えていきたいし。そうやって子どもたちが、のびのびやっている色んな活動をどういう風に仕組んでいくかとか、そのフレームをどう学校に取り入れていくかっていうところに、もうちょっと先生が注力できるような管理の方法であったり運用の仕方っていうのも、企業側が提案していく必要もあるし。もう少し肩の力を抜いてiPadを迎えていけるような先生たちが増えるといいなと思います。
そのために、外からすでに成功している学校だったりとか、関わっている多くの企業の人たちも、先生と一緒になって悩んでいくのも必要だし。成功している学校はもっと情報発信をたくさんしてもらって、先生方がいっぱいそれをキャッチアップして、「iPadってすごいね」って。「テクノロジーが入るってこんなに面白いことができるんだね」っていうような価値観に早く変えないと、このまま、いますぐにGIGAが来るのはとても怖いなって今思っています。

子どもたちが生きていくこれからの社会と学校を繋いでいったりとか、社会の当たり前を学校にどれくらい取り入れられるかとか。いま、地方都市が抱える色んな地域課題の解決のために、子どもがもっと地域にiPadを持って出ていくことで、課題解決ができるとか。それがまた学校の存続に繋がったりとか、子どもたちの自己肯定感を生んだり。
そういったダイナミックな授業が展開できたり、増えるといいなというのは、すごく思っています。そのために、基礎・基本の習得をどういう風に圧縮しながら、楽しく出来るかっていうところも課題になるので。その結果、新しいこと、今までやれていなかったことにどんどん先生たちがチャレンジできるようなGIGAスクール構想になっていくといいなということが、いま思っていることです。

(神谷氏)たしかに。先生たちもワクワクしながら使ってほしいですね。

(土井氏)(うなずきながら)それに尽きる。やだやだと思っている人もいっぱいいるので(笑)。

(神谷氏)でも、そういう(ワクワクした)姿を子どもに見せてあげてほしいですよね。面白いんだよこれ!みたいな感じで。そう思いますね。

デジタルを使った表現力を培い、個性やクリエイティビティをさらに伸ばしていく

(神谷氏)では最後、伊藤先生。1人1台時代、これからのICT教育、いかがでしょうか?

(伊藤氏)うちの学校でも、今までは学校と実社会の使っているツールとか仕組みとか…学校はいまだに紙だったり、連絡網が電話だったりっていうことがあったんですけれど。iPadが1人1台になって、保護者の方にすごく色んなことで協力していただいたおかげで、ペーパーレス化が進んだりとか、連絡とかもアプリで出来るようになったりとか、色んなことでICT化が進んで。生徒が普段生活する学校と、社会がだんだんシームレス化になってきたかなと。学校の中でそういったことをどんどん取り入れることで、生徒が学校の中でICTの色んな経験、あるいは失敗をする中で成長することができるようになってきたかなっていう風に思っています。

iPadで色んな表現力、デジタルを使った表現力っていうのが育ってきているのかなと。先ほどの動画活用もそうですし、色んなものを作れるようになった。プレゼンテーションとかも簡単に出来るし。動画を、あるいは静止画を組み合わせてプレゼンテーションをするような子もいました。今までだったら何か発表しなさいっていうと、どうしても紙のポスターだったのが、そこから解き放たれて。iPadっていうツールの中で作ったものを、世の中にどんどん発信してくれる子が増えてきたかなと思っています。

コロナ禍の中で、Zoomを使ったりすることが非常に増えて。滋賀県っていう、東京とか大阪に比べたら地方都市ではあるんですけれど。そういった中でも普段、滋賀県にいたら会えないような方とZoomで繋がるってことが非常に増えました。私もプログラミングをする授業があるんですが、今までだったらすごい専門家の方に実際に来ていただいて、教えていただくって機会があったんですけれど。なかなかそういう方のスケジュールを抑えたりするのが大変だったのが、「Zoomだったら可能だよ」という形で、時間とか空間を越えてZoomを通じて指導していただけるような機会が増えてきたので。すごく社会との関わりも増えてきたのかなと思っています。なので、iPadを使って世界と繋がりながら学べるって機会が増えてきたのは、すごくいいかなと思っています。

ただ、どうしてもiPadだと生徒は受け手側になりやすいので。iPadでもっとクリエイティブなことをやろうと思うとちょっと限界があるので、高校生なんかは、将来的にはiPadからコンピュータのほうに移って。コンピュータを活用してもっと色んなクリエイティブなことができる生徒を、育てられるような環境を作っていきたいなと思っています。以上です。

(神谷氏)はい、ありがとうございます。iPadが一台入ることで、生徒さんがこんなにも個性豊かなものを持っていたのって気づくような授業に、私も取材を色々しているとそういう場面に出くわすことがあるんですね。そういう形で、子どもたちの個性を引き出すような新しい授業とか、そういう新しいことに(iPadを)使っていただけたら、なんて思いました。ありがとうございます。

まとめ

(神谷氏)長時間にわたりましたけれど、どうもありがとうございました。御三方のお話しを聞いて、iPad導入にMDMがなければ運用ができないってことを、改めて実感しました。そして、単にMDMを入れればいいということではなくて、子どもたちのスキルの育成だとか教育の幅を広げていくためには、最初の機能の制限であるとか、誰が何をするのかっていうところの役割分担だとか、そういう運用面をきっちりしていかなければいけないってことも、非常によくわかりました。

GIGAスクールの1人1台環境がこれから進んでいき、また高校の1人1台も進んでいくと思うんですけれど。大量のタブレット活用がスムーズに進むように、そして子どもたちの教育の幅がもっと広がるように。もっと子どもたちのスキルが伸びるように、現場で(タブレットが)使われるようこの動画が役に立てればと思います。

本日は、御三方の先生、どうもありがとうございました。

(一同)ありがとうございました。