2021.10.19

時事

【2022年1月施行】電子帳簿保存法の改正、何が変わる?4つのポイントと注意点をわかりやすく解説!

2021年9月1日に発足されたデジタル庁の動きからも、ますます公的手続きにおける電子化が進みつつあります。そんな中、令和3年度の税制改正において電子帳簿保存法の改正が行われ、ついに2022年1月から電子帳簿保存法の改正が施行されています。そのような中、2022年1月に施行予定であった改正電子帳簿保存法のうち「電子保存の義務化」について2年間の猶予期間が設けられることも公表されています。

本記事では、電子帳簿保存法の改正でいったい何が変わるのか、ポイントを絞って分かりやすく解説するとともに、押さえておくべき注意点や2年間の猶予される要件についても解説していきます!

【※2022年1月26日更新】

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電子データの保存義務化が2年猶予に

電子帳簿保存法の変更点に触れる前に、電子帳簿保存法に関する最新のニュースについてまずはご説明していきたいと思います。

2021年12月10日、令和4年度の税制に関する法律改正の方針をまとめた「令和4年度税制改正大綱」が公表されました。この大綱では、2022年1月1日から施行予定であった電子帳簿保存法の電子取引に関する電子データの保存義務について、条件を満たしている場合に限り、2年の猶予期間が設けられる運びとなりました。つまり2023年12月31日までは、紙による印刷保存でも対応可能ということになります。
下表では、今回大綱にて公表された2年猶予のポイントをわかりやすくまとめてみました。

猶予期間

  • 猶予期間:2023年(令和5年)12月31日まで
  • 義務化開始:2024年(令和6年)1月1日から

猶予が認められる条件

  • 所轄税務署長が、電子取引情報の“電子保存が要件を満たしていないこと”にやむを得ない事情があると認めている場合
  • 電子取引の取引情報のうちPDFなどの電子データで受領(作成)したものを印刷し提示できること。または提出を求められた場合に応じられる状態であること

上記2点を満たしていることが猶予が認められるケースとなります。なお、やむを得ない事情の認定に関しては、所轄税務署長への申請や手続きは不要となります。

これらの猶予制度については、電子化に対応しなくても良いといったことではなく、2024年1月1日からの義務化に向けた準備期間として設けられています。まだ対応できていないといった方は、この猶予期間中に電子化の準備を進めていくようにしましょう。

電子帳簿保存法の概要や、電子取引に関わる電子データの保存義務に関しては、本記事で詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

参考:自民党公式サイト|令和4年度税制改正大綱の資料より

電子帳簿保存法とは?

まず電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿類や証憑類の全部、または一部について電子データの保存が可能となる法律のことを言います。

これまでの会計帳簿や決算書類などの管理方法は、すべて紙での保存が基本とされていました。そのため、電子データの場合であっても、わざわざ紙に印刷してファイルに保存することを義務化する企業も少なくありませんでした。
このような手間の削減に加え、書類の印刷にかかるコストや保存場所の確保、管理者の負担を軽減するために、1998年に電子帳簿保存法が成立がしました。

電子帳簿保存法は、成立当初から現在に至るまで数回の改正を経て、適用要件を緩和しています。こうした緩和を受け、近年では多くの企業で導入が進んでいます。

電子帳簿保存法は2022年1月の改正で何が変わる?4つのポイント

では、今回2022年1月に施行される電子帳簿保存法の改正では、実際にどのような点が変更となるのでしょうか。ここでは、押さえておきたい4つのポイントを分かりやすくお伝えします。

事前承認制の廃止

電子帳簿保存の改正点の一つ目は、事前承認制度の廃止です。現行法であれば、電子保存の運用を開始するにあたり、あらかじめ所轄の税務署長へ承認申請書(添付書類含む)を提出した後、3ヵ月間の審査が入ります。この期間は待機が必要となり、もし認められない場合は、却下通知が届くことになります。
このため、電子化の運用を開始するにしても要件決定後、半年から1年程度の準備期間が必要でした。

一方、改正後は、税務署長への事前承認制度が廃止され、国が定める基準を満たし、さらに電子帳簿保存法に対応した機能を搭載した経費精算システムを用意し、社内ルール決めと周知が完了すれば、すぐにでも電子化対応が可能となります。
申請手続きの簡略化により、すばやく電子化の運用に着手することができる上、業務負担の軽減も期待できます。

タイムスタンプ要件の緩和

次にタイムスタンプ要件の緩和も、今回押さえておきたい変更点の一つです。
現行の制度では、国税に関する書類をスキャナ読み取りしたときの、タイムスタンプの付与期間が3営業日以内と定められています。

しかし改正後は、スキャナ読み取りの際に必要とされていた受領者の署名が不要になります。さらに、タイムスタンプの付与期限も、これまで3営業日以内に定められていたものが、最長2ヵ月以内に緩和となります。
加えて、不正防止策として、電子データの修正・削除の履歴を残せるシステムであれば、タイムスタンプの付与に代用できるようになります。

適正事務処理要件の廃止

今回の電子帳簿保存法の改定では、相互けん制や定期的な検査、不正防止を目的とした内部統制として、社内規格を整備する適正事務処理要件も廃止となりました。

改定前の定期検査では、原本とデータとの整合性を確認するため、検査を実施するまで原本の破棄ができませんでしたが、改定後は原本をスキャナ後、すぐに破棄が可能となります。さらに、事務処理における2名体制の相互けん制も破棄され、1名体制での対応も認められます。

これまで企業にとっては、電子化の運用を行う上で、このような厳しい内部統制の要件がネックとなっていただけに、チェック体制の緩和と原本の即時破棄は企業にとってもペーパーレス化への後押しとなるでしょう。

検索要件の緩和

今回の改正により、検索要件が緩和されたことも、ペーパーレス化を後押しするポイントの一つです。

通常、電子データの保存において、必要なときに内容を見たり、データの管理を行うための検索機能を設ける必要があります。しかし、これでは検索要件が細かいほど、その登録や管理業務が煩雑化されてしまいます。さらに、これまでは範囲指定や項目などの組み合わせ設定が可能な機能の確保が必要とされていたことで、要件の複雑さから電子データの運用がしづらい状況でした。

今回の改定に伴い、検索要件の緩和が認められたことで、検索要件が『年月日・金額・取引先』のみになるなどの簡素化が実現します。

また、国税庁の要求により、電子データの保存義務者が、電子データのダウンロードに応じる際は、範囲指定・項目などを組み合わせて設定する機能の確保も不要となりました。

電子帳簿保存法の改正に伴う注意点

次に、電子帳簿保存法が改正されることで、理解しておきたい注意点についてみていきましょう。

電磁的記録への不正には重加算税が10%加重される

電子帳簿保存法改正における今回の要件緩和により、多くの企業にて電子データ保存が導入されることが予測されます。しかしながら、こうした要件緩和は、データの改ざんや隠ぺいといった不正行為を誘発してしまう恐れがあるのもまた事実です。当然ながら、そういった不正行為は許されるものではありません。このような電磁的記録への不正には、重加算税が10%課されるといったペナルティが設定されているため、注意が必要です。

そのため、電子帳簿保存法改正に伴い電子化を進める企業は、より一層不正や不備を防止する対策を講じるようにしましょう。

電子取引の保存要件も一部変更へ

電子帳簿保存法の改正に伴い、電子取引にかかわるデータの保存要件が緩和されます。要は、電子取引を行う際に、下記いずれかの措置を取ることで電子データのままでの保管が可能となります。

①電子データにタイムスタンプを付与したあと、取引情報についてのやり取りを行う
②電子データを訂正したり削除した場合、この記録を確認することができるシステムまたは、訂正・削除などがができないシステムを使用すること。かつその取引情報のやりとりを保存すること

なお、これらの処置は、電子取引の情報を電子保存するためのルール(電帳法10条) として、①真実性の確保、②関係書類の備え付け、③見読可能性の確保、④検索機能の確保の4つの観点に基づき定めれています。

以上のような注意点を理解しておけば、施行予定となる電子帳簿保存法は、これまで紙媒体による保存から運用を変えたいと考える企業にも、メリットの高いものとなります。

次章では、電子帳簿保存法の改正に伴い、ペーパーレス化を進める企業におススメのサービスをご紹介していきます!

電子帳簿保存法の改正にもMFクラウド会計は対応!

今回ご紹介する「マネーフォワード クラウド会計(以下MFクラウド会計)」は、株式会社マネーフォワードが提供する経理業務の仕訳や帳簿作成などを自動化できる会計ソフトです。

現在、中小企業や大企業など多くの企業で導入されている人気のサービスですが、電子帳簿保存法の改正にもMFクラウド会計は対応しています。要件に合った保存はもちろん、手間なく保存できる機能・サービスも、法改正に伴い新たに搭載されており、企業のペーパーレス化に役立てることができます。

では、電子帳簿保存法の改正に合わせて、MFクラウド会計ではどのような機能やサービスがリリースされたのでしょうか。詳しくみていきましょう。

電子帳簿保存法改正に伴う新機能・新サービス

MFクラウド会計では、本体となる「MFクラウド会計」はもちろんのこと、シリーズ製品でもある「マネーフォワード クラウド会計Plus」、確定申告ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」においても新機能の搭載が進められています。

画像引用:MFクラウド会計 プレスリリース

上図は、MFクラウド会計に新機能の概要を示しています。ここからは、新たな機能としてチェックしておきたい二つのポイントについて、詳しくご説明していきます。

「証憑添付機能」の搭載

MFクラウド会計の以下のシリーズでは、証憑添付機能が2021年内にリリース予定となります。
証憑添付機能は、データ化した紙の領収書や、取引先からメールで受領した請求書の証憑データを、MFクラウド会計の仕訳登録画面からアップロードできる機能です。

会計帳簿や決算書類において「電磁的記録による保存」をはじめ、取引関係書類に関して「スキャナ保存」と「電子取引」の区分に対応しています。

証憑添付機能に対応したサービス
  1. マネーフォワード クラウド会計
  2. マネーフォワード クラウド会計Plus
  3. マネーフォワード クラウド確定申告

「マネーフォワード クラウドBox」の無料提供

MFクラウド会計のサービスの一つに、取引関係書類などの証憑を保存できるストレージサービス「マネーフォワード クラウドBox」があります。これは、以前までMFクラウド会計を契約していたユーザーのみ無料で利用できていましたが、2021年10月より契約の有無に関係なく、すべての方が無料で利用できるようになりました。
これにより、請求書や注文書、見積書など多岐にわたる取引関係の書類の電子データを、法改正後の保存要件に対応し、保管することが可能となります。

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まとめ

今回は、電子帳簿保存法の改正における変更点や注意点、おススメのサービスについてご紹介してきました。
デジタル化が進む国内において、電子帳簿保存法はこれまでも数回にわたり法改正によるアップデートが行われてきています。企業では法改正に伴い、今回ご紹介したようなサービスを利用することで、さらにペーパーレス化を図ることができます。現在、法改正に対応したシステムをお探しの方は、ぜひ一度MFクラウド会計を利用してみてはいかがでしょうか。

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