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【GIGAスクール構想】年次更新(年度更新)に向けてやることって?
2020年度から推進されてきた「GIGAスクール構想」の実現に基づき、小・中学校に1人1台タブレット端末が整備されました。それに伴い、2021年度は児童・生徒の卒業や新入学、転校などを踏まえて、初めての年次更新(年度更新)を迎えた学校・教育現場は多いでしょう。
本記事では、次年度の年次更新を円滑に実施できるよう文部科学省が作成した「年次更新タスクリスト」に焦点を当て、その活用法やすでに年次更新を実施した自治体の取組事例などをご紹介していきます。
この記事の目次[表示する]
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1人1台端末における年次更新(年度更新)とは?
「年次更新(年度更新)」とは、GIGAスクール構想におけるクラウド等を利用した児童・生徒の1人1台端末環境において、毎年新年度を迎えるにあたり、児童・生徒の卒業や新入学、転校などを踏まえて発生するアカウント管理や端末管理等の作業のことを指します。
年次更新が実施される時期は、児童・生徒の進級や進学の年度切り替えのタイミングである年度末に各自治体にて実施されるケースがほとんどです。
年次更新の対象範囲
1人1台端末における年次更新(年度更新)では、以下のとおり入学・卒業する児童・生徒の端末が主な対象となります。もちろん教職員も授業で端末を使用しているため、教職員が異動する場合なども含まれます。
- 卒業生の端末を在校生・新入生が使用するケース
- 卒業生に端末を返却するケース
年次更新を実施する際は、とくに各自治体や学校の端末運用によって対応が異なるため、その点については注意が必要です。
年次更新(年度更新)を円滑に進めるためのポイント
GIGAスクール構想の実現に向け、ようやく配備された1人1台のタブレット端末ですが、多くの自治体・学校ではアカウント管理や端末管理の作業、いわゆる年次更新(年度更新)をいかに円滑に進めていくかが今後の大きな課題とされています。
そのような状況を鑑みて、文部科学省の公式サイトでは「GIGAスクール構想 タスクリスト」が公開されています。各学校関係者は、タスクリストを活用することで円滑に年次更新を進めることが可能となります。
なお同サイトでは、年次更新を円滑に進めるためのポイントとして以下の4つの観点から検討する必要があると注意を促しています。
- アカウント(ID)の更新
- 端末の更新
- データの取扱い
- 組織体制の整備
本項では、まず年次更新を円滑に進めるための4つのポイントに触れた上で、次項よりタスクリストの概要についてご紹介していきます。
4つのポイント
1.アカウント(ID)の更新
複数のアカウントが存在することを見落とさずに、年度更新作業においてアカウント相互の順番が決まっているものがあることにも留意し、全体のスケジュールと作業手順を明確にしておくことが重要。2.端末の更新
各学校に必要な端末は新年度の見込みの児童生徒数で整理し、年度更新作業については、年度末までにほぼ完了させておく。新年度は転入・転出に応じて微調整での対応で済ませるような状態にしておくことが重要。3.データの取扱い
進級、転出入、進学、卒業時等において、学習成果物等をどのように扱うかについても方針を整理しておくことが重要。4.組織体制の整備
学校設置者が中心となって体制・分担を明確化し、年度更新作業を進めるとともに、校長や学級担任等においても、年度更新の考え方や新年度の準備状況等の全体像について理解することが重要。
引用:文部科学省「GIGA スクール構想 年度更新タスクリスト」
次項では、上記4つの観点から「タスクリスト」として取り組むことが望ましい具体的な事項を解説します。
年次更新(年度更新)のタスクリスト
ここでは、年次更新におけるタスクリストの読み方や各項目の概要をご紹介します。
タスクリストの読み方
年次更新(年度更新)におけるタスクリストでは、各項目において確認すべきポイントや留意事項、学校・教育委員会それぞれが実施するタスクイメージが明記されています。
タスクリストの各項目においては、教育委員会と学校とそれぞれが担う役割が異なるため、十分留意しながら年次更新を進めていきましょう。
≫文部科学省「GIGA スクール構想 年度更新タスクリスト」
タスクリストの概要
ここでは、年次更新(年度更新)を円滑に進める「タスクリスト」の概要のみご紹介します。とくに、これから初めて年次更新を迎える学校などは、公式サイトのタスクリストを積極的に活用し、あらかじめ万全な作業計画を立てた上で年次更新を実施するようにしましょう。
アカウント(ID)の更新
表は横にスクロールします
1 | アカウント運用方針・マニュアルの作成と運用 |
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2 | 年次更新するものを管理者別に整理する |
3 | アカウント更新に関する作業項目を挙げる |
4 | 更新に必要な情報を収集する |
5 | アカウント運用方針に従い、更新用データファイルを作成する |
6 | 更新用データファイルのアップロード等を行い、反映させる |
7 | 転出入・進学・卒業する児童生徒のアカウントの停止・削除等の作業を実施する |
8 | アカウント ID・パスワードについて注意事項を児童生徒に渡す |
端末の更新
表は横にスクロールします
1 | 新年度の児童生徒数を把握し、端末等の配置等の計画を立てる |
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2 | 転出入・進学・卒業する児童生徒の端末のデータ保存、移行の完了を確認する |
3 | 転出入・進学・卒業する児童生徒の端末を回収する |
4 | 転出入・進学・卒業する児童生徒の端末を、新年度用の初期状態にする |
5 | 端末管理台帳に、使用者名等を登録、更新する |
6 | 端末・付属品を貸し出す |
データの取扱い
表は横にスクロールします
1 | データ(学習成果物等)の取扱いに関する方針を作成し、運用する |
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2 | 進級後も、児童生徒が自らの学習成果物を参照できるようにする |
3 | 転出入・進学する児童生徒の学習成果物を、方針に従って移行する |
4 | 卒業する児童生徒の学習成果物を、方針に従って処理する |
組織体制の整備
表は横にスクロールします
1 | 年次更新の方針やスケジュールを定めるための組織体を構成する |
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2 | 年次更新に関する作業体制を整える |
3 | 全ての教職員に対して、年次更新に関する基本的な考え方・手順を示す |
文部科学省の公式サイトはこちら
≫文部科学省「GIGA スクール構想 年度更新タスクリスト」
年次更新(年度更新)を実施した自治体の取組事例
文部科学省の公式サイトでは、教育委員会主導で年次更新(年度更新)を行った各自治体の取組事例が紹介されています。
年次更新を迎えるにあたり、環境に応じて行った工夫のほか、注意点や実施方法の検討から作業までの流れ、来年度以降の年次更新で改善したい点などが詳しく挙げられています。
以下では、公式サイトに記載されている事例の資料概要をいくつかご紹介します。これから年度更新に関わる学校関係者の方は、ぜひ公式サイトの内容を確認しておくといいでしょう。
神奈川県相模原市
神奈川県相模原市の事例では、年次更新に係る負担軽減を図るために、アカウント命名規則や利用アカウント・管理者の整理などを実施した内容が盛り込まれています。
またアカウント・端末・データそれぞれの更新手順及びスケジュールを整理して明示することで、年次更新の円滑化を図ることに成功しています。
新潟県新潟市
新潟県新潟市の事例では、年次更新における学習データの取扱いや端末の更新、アカウント・パスワードについて、教育委員会から学校への事務連絡の書類が公開されていたり、どのように実施したのかなどが紹介されています。
「早く!確実に!負担なく!」を基本方針として教育委員会、学校が役割を分担して取り組んだ内容が盛り込まれています。
茨城県つくば市
茨城県つくば市の事例では、総合教育研究所が主体となり年次更新作業を実施。
全体のスケジュールを立て、適切な時期に具体的な作業内容を学校へ伝えることに加え、運用の全体像や作業の流れ等が分かるよう「手引き」「動画マニュアル」などを作成し、作業の円滑化に成功した内容などが紹介されています。
各自治体における年次更新の取組事例の詳細については、以下のリンクからご覧ください。
≫文部科学省公式サイト|年度更新を実施した自治体の取組事例
年次更新(年度更新)時にはMDMの活用がおススメ
年次更新を実施する際は、膨大な数のアカウント管理や端末管理等の作業負担を少しでも軽減できる方法として、事前にiPadやタブレットなどのモバイル端末を一括管理できるMDM(モバイルデバイス管理)を導入しておくことがおススメです。
もしMDMを導入していない場合、大量の端末回収や設定担当者への作業アナウンスを行い、各端末を手作業にて実施しなくてはいけません。もちろん管理台数が多いほど、作業量も比例し増えるため、担当者の負担は計り知れないものとなるでしょう。
一方MDMを導入すれば、管理側で遠隔からタブレットの設定変更等の一括処理ができるため、リソースの確保や端末の手作業による設定など現場の負担を大きく軽減することができます。
そのほか学校・教育現場では、MDMの機能を活用することで、端末にインストールされているアプリを監視し、有害な情報へのアクセスや学習効率の低下を防止したり、児童・生徒の利用時間に合わせたポリシー設定による授業後の調べ学習の推進などにも役立てることができます。
MDMでどんなことができるの?機能や導入メリットについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください!
≫MDM(モバイルデバイス管理)とは?基本や導入時の注意点まで徹底解説
MDMの導入なら「mobiconnect」
当社のMDM「mobiconnect」は多くの学校・教育委員会へ導入されています。昨年度はGIGAスクール構想後、はじめての年次更新を迎え、多くのユーザ様のご支援をさせていただきました。
現場のご担当者様、また支援を行っている業者様との取り組みから悩みや課題、解決策など多くのノウハウを保有しています。
2022年8月に一般社団法人iOSコンソーシアム様主催で行われましたイベント「 iPad × GIGA Days 2022 Summer -指導主事・教師とIT担当者のための研修会- 」にて、当社カスタマーサクセスが登壇いたしました。
内容は「 【アンケート結果公開】自治体に寄り添い2021年度の年次更新を乗り越えて、見えてきた課題 」と題し、「 年次更新 」に関する現在の状況やMDMの活用、利用パターンを想定した円滑な実施フローなど、工夫したポイントやノウハウをご紹介しています。
当社では「オンライン相談室」を無料にて定期的に開催しております。来年度の年次更新に向け、お気軽にご相談ください。
≫オンライン相談室はこちら
まとめ
今回は、年次更新を円滑に行うためのポイントや、文部科学省が作成した年次更新タスクリストの活用法に加え、すでに年次更新を実施した自治体の取組事例などをご紹介しました。
とくに今回初めて年次更新を行う学校は、早めに情報収集を行い万全な作業計画を立てた上で、年次更新を実施するようにしましょう。