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【2023年最新】MDM(モバイルデバイス管理)のソフトウェアを取り巻く市場動向
近年、働き方改革やICTの利活用推進によって、企業や教育現場などでもスマホやタブレットといったモバイル端末の導入が進みました。導入が進み、運用するモバイル端末が増加すれば、現場での管理負担や端末紛失によるセキュリティリスクなどが増します。そのため、モバイル端末の管理負担やセキュリティリスクについて悩んでいる企業や教育現場も多いでしょう。この悩みを解決できるソリューションとして注目されているのが、スマホやタブレットなどのモバイル端末を一元管理・運用し、企業のセキュリティ維持・強化を図るためのソフトウェアであるMDM(モバイルデバイス管理、以下MDM)です。
今回はMDMの市場動向や今後の成長性、需要が高まるであろう要因を解説するとともに、今後MDM導入が求められる市場やMDM主要メーカーのポジショニングについてもご紹介します。
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【2023年】MDM(モバイルデバイス管理)の市場動向
総務省が公表した「令和2年版情報通信白書」によれば、2010年のスマホ保有率は9.7%に過ぎませんでした。しかし、2010年以降急速に保有率を伸ばし、2017年には75.1%に達し、パソコンの保有率を抜いています。
iOSとAndroidに対応したMDMが登場したのはスマホが急速に普及しはじめた2010年後半のことです。企業での導入も進み、端末の管理負荷軽減ニーズが高まる中、MDMは一気に注目ソリューションとなり普及しました。
MDMは紛失時のデバイス機能制限や、遠隔操作での端末ロック・初期化といった様々な機能を有しており、用途・目的に応じて利用できます。MDMを導入すれば、IT管理者や情報システム担当者といったモバイル端末管理担当者の手間や、端末紛失によるセキュリティリスクの低減が可能です。
下記売上金額をみても、2010年後半頃から認知・普及しはじめたMDMですが、たった10年たらずで市場が大きく拡大したことが分かります。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
上記は、MDM市場における「モバイル管理ソフトウェア」と「モバイル管理SaaS」の動向を示した表になります。「ソフトウェア」はオンプレミス環境での認証を目的とした社内での利用を想定したタイプです。一方、「SaaS」はクラウドとオンプレミスの混在した環境に対応しており、社外から社内システムへのアクセスを前提としたタイプです。
クラウドベースのサービスが普及し社外から社内システムへのアクセス数が増していることや、デジタル資産へのアクセス向上、複数のOSプラットフォームを効率的に管理・同期できることから、現在は「モバイル管理SaaS」が注目を集めています。それを裏付けるように、モバイル管理SaaSがシェアを伸ばし、モバイル管理ソフトウェアは縮小傾向にあります。
MDMの今後の成長性
クラウドベースのサービスが普及、世界中でデジタル化が進んでいることが要因となり、2022年の世界のMDM市場規模は85億ドルに到達しました。今後もこの成長は続くとされており、IMARC Groupは2023年~2028年の間に27.2%の成長率を示し、2028年までに362億ドルに達すると予想しています。
ただし、MDMだからといってすべての市場が成長していくわけではありません。前項で触れたとおり、近年はモバイル管理SaaS市場が注目を浴びてシェアを伸ばしている一方、モバイル管理ソフトウェア市場は縮小傾向にあり、置き換わりも進んでいます。
そのため、今後はMDMの中でもSaaSやIDaaSと連携できるソフトウェアが成長していくことが予想されます。
以下の詳細に関しては、資料ダウンロードにあります「MDM(モバイルデバイス管理)のソフトウェアを取り巻く市場動向2023」に記載があります。
ご興味のある方は是非ダウンロードください。
企業におけるMDM需要は今後さらに高まる見込み
モバイル端末を導入する企業の増加により、MDM需要は今後さらに高まる見込みです。モバイル端末を導入する企業が増加した要因としては「テレワークの推進」と「2024年問題」の2つが挙げられます。
ここでは各要因について詳しく解説します。
テレワークの推進
テレワークとは、ICT(情報通信技術)によって、場所や時間を有効活用できる働き方のことです。働き方改革や新型コロナウイルスの流行などをきっかけに働き方の多様化か重視されたことで、テレワークを推進する企業が増えてきました。
総務省が公表した「令和3年通信利用動向調査の結果」によれば、テレワークの導入率は令和元年段階で20.2%でしたが、令和2年には47.5%、令和3年には51.9%となっています。
コロナ収束に伴って出社に切り替える企業もありますが、国土交通省が公表した「令和3年度テレワーク人口実態調査」では、雇用型テレワーカーの約89%がテレワークの継続意向があると回答しており、働き方の多様性という観点からテレワークは今後も推進していくことが予想されます。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
「タブレットの展開状況」をみると、全社的にタブレットを導入している企業は48%でした。現状の導入率はまだ5割に到達していませんが、今後も追加購入を予定している企業が37%存在している点、テレワークが今後も推進される点からデジタル端末の導入率は今後も上昇していくことが予想されます。
MDMはモバイル端末の一元管理・運用だけでなく、テレワークにおけるモバイル端末のセキュリティリスクを低減する手段として注目されている技術です。デジタル端末の利用率増加による盗難・紛失などのセキュリティリスクを低減するという観点から、MDMの需要が拡大していくことが見込まれます。
2024年問題
2024年問題もMDMの需要が高まる要因の1つとして考えられています。2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する問題のことです。
年間時間外労働時間の上限を設ければ、トラックドライバーの労働環境改善に寄与できることから良いことだと思われるかもしれません。しかし、年間時間外労働の上限制限がされると、トラックドライバーの走行距離短縮や1日の荷物運搬量の減少を招き、「ドライバー収入の減少」や「物流・運送業者の売上・利益減少」という問題が生じます。
また、ドライバーの収入が減少すれば、人材の流出などによってさらに人手不足が深刻化したり、売上・利益が減少によって業者の倒産を招いたりして、物流の停滞を招くのではないかという懸念も生じています。
これが2024年問題です。2021年にAutomagi株式会社が公開した「物流業界の効率化実態調査」によれば、荷物情報やサイズ情報の収集・管理業務の効率化を図りたいと回答した企業は全体の8割にも上ります。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
上記データのとおり、iOSおよびAndroidの市場は増減を繰り返しながらも上昇することが予想されていますが、2024年~2025年にかけてはiOS市場が大きく成長することが見込まれています。2024年問題に解決に向けてデジタル化による物流・運送業務の効率化が加速し、・モバイル端末の導入が進めば、それに伴ってモバイル端末を一元管理・運用できるMDMの需要も拡大していくでしょう。
モバイル管理にあたって人手不足を感じている企業は96%
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
規模によって異なるものの、企業が管理するクライアントパソコンの台数は100~999台が主流です。これらの台数をすべて管理しようとすると多大な労力がかかることは間違いありません。
事実、モバイル管理にあたって人手不足を感じている企業は96%にも上ります。
モバイル管理業務においてBPOなど外注サービスを検討している企業は多い
モバイル管理にあたって人手不足を感じている企業のうち、約半数の45%が「BPOなどの外注サービスを検討している」と回答し、10%が「すでにBPOなどの外注業者・外注サービスを利用している」と回答しています。このようにモバイル管理業務においてBPOなどの外注サービスを検討している企業は多いです。
では、主にどういった業務が外注・BPOの検討対象なのでしょうか。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
上記グラフを見ると、BPOなど外注業者・外注サービスの利用を検討している業務は「端末の修理対応や交換」や「端末のキッティング(初期設定など)」、「端末の調達・購買」というように端末の物理的な対応が上位を占めていることが分かります。
SaaSによる統合ID管理を目指す方針と回答した企業は約12%
統合ID管理とは、企業内で個別管理されているクラウドサービスのログインIDや業務システムのユーザーIDといった各種IDを一元的に管理することです。統合ID管理を行えば「ID管理・運用の効率化」や「クラウドサービス利用時のリスク・運用負荷軽減」、「セキュリティの向上」といったメリットを享受できます。
その一方で「ID・パスワードが漏れるとすべてのサービス・システムに不正ログインが可能」「システム障害に弱い」といったデメリットもあるため、その点はしっかりと留意しておかなければなりません。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
「今後2年以内のID・アクセス管理の方針」を見ると、統合ID管理を導入せずに「システムごとに個別にID・アクセス管理を行っていく」と回答した企業は40%でした。
統合ID管理の導入を検討している企業では、「ID・アクセス管理ソフトウェアを軸に統合ID管理を目指していく」と回答した企業が39%であったのに対し、「ID・アクセス管理のSaaSを軸に統合ID管理を目指す」と回答した企業はたったの12%に留まっています。
今後、MDM導入が求められる市場とは?
今後、MDM導入が求められるのはどのような市場なのでしょうか?ここでは、MDM導入が求められる市場について詳しく解説します。
GIGAスクール構想に先駆けて文教市場でのシェアが拡大している
GIGAスクール構想とは、ハード・ソフト・人材を一体とした整備を加速することでICTの活用を可能にし、災害・感染症の発生などによる学校の臨時休業といった緊急時でも、子供の学びを保護できる環境を早急に実現する考えのことです。
GIGAスクール構想実現によって端末とネットワークの整備が急ピッチに行われ、文教市場の国内状況はソフト/SaaS導入率はほぼ100%(オンプレ/SaaSの比率は30%:70%)で、リプレース市場は3年周期で醸成した他、市場稼働台数は1,000万台を突破しました。
上記の結果、2021年時点でGIGAスクール案件はひと段落し、現在はモバイル端末を普及させるフェーズから、ICTの環境整備と活用を推進するNEXT GIGA(スマートスクール)のフェーズへと移行しつつあります。しかし、2023年~2024年にかけてGIGAスクール構想に先駆けてタブレット導入した学校のリプレースがはじまり、2024年~2025年にはGIGA案件でタブレットを導入した学校のリプレースがはじまります。
大規模な端末更新が差し迫る中、円滑にNEXT GIGAのフェーズへと進むためには、端末の一元管理・運用を行いセキュリティの維持・強化行えるMDMがこれまで以上に必要とされる見込みです。
DXの進む土木・建設業でもシェアは伸びている
土木・建設業でもMDMのシェアは伸びています。土木・建設業でMDMのシェアが伸びている大きな用意がDXの推進です。
土木・建設業は人手不足が深刻化している他、就業者は55歳以上が3割、29歳以下が1割と高齢化および担い手の減少が進行し、後継者問題が課題となっています。そのため、生産性向上や働き方改革、技術継承に向けて大手ゼネコンを中心にDXを推進する動きが加速しており、土木・建設業でもタブレット導入が進んでいます。
ゼネコンを中心としたDX推進の波を受けて、下請け企業でもSaaSの導入が進んでいますが、「端末を貸与するには人数が多くコストがかかる」「プライバシー・ITリテラシー問題によって導入障壁が高い」など、課題も多いです。これらを解決する手段としてMDMが注目され、土木・建設業でもシェアが伸びるようになりました。
MDM主要メーカーのポジショニング
MDMの必要性を感じているものの、どのMDMを導入したらよいか分からないという企業は多いです。自社で導入するMDMを選ぶ指標の1つとして、ここではMDM主要メーカーのポジショニングについて見ていきましょう。
以下がMDM主要メーカーのポジショニングです。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
「Optimal Biz」などを提供しているオプティムが大きな売上を上げ、「CLOMO MDM」を提供しているアイキューブドシステムズが頭1つ抜きんでていることを除けば、インヴェンティットをはじめとする他企業の2022年売上金額はほぼ拮抗しています。
次に、2021年~2022年の成長率についてです。「Microsoft Office」などを提供する日本マイクロソフトの成長率がもっとも高いですが、Microsoft Officeは建設業や卸売・小売業、製造業など幅広い業界で利用されています。土木・建設業でMDMのシェアが伸びていることも影響し、高い成長率につながったといえるでしょう。
また、前項で解説したとおり、文教市場でもMDMのシェアが拡大しています。また、新型コロナウイルス流行をきっかけに医療業界のデジタル化が推進され、電子処方箋やオンライン資格確認の導入など急速なICT化が進んでいます。このような背景もあって、企業・教育・医療分野向けのMDMを展開しているJamf japanと、アイキューブシステムズがそれぞれ成長率2位、3位につけている結果となりました。
以上の点から、MDMは1つのメーカーがシェアを独占しているというわけではなく、自社の業界などに適したものが選ばれ、デジタル化が加速度的に進んでいる業界に対応したMDMを提供している企業の成長率が高いということが分かります。
MDMサービスならmobiconnectがおすすめ
MDMサービスを検討するのであれば、インヴェンティット株式会社の「mobiconnect(モビコネクト)」がおすすめです。インヴェンティット株式会社は東京都に本社を置く企業です。MDMサービスのmobiconnect(モビコネクト)やIoTソリューション企画・開発などを手掛け、2021年~2022年の伸長率は市場全体では4番目となる16.7%を誇っています。
インヴェンティット株式会社が提供する「mobiconnect(モビコネクト)」は、企業・教育現場で活用されているSaaS型のMDMです。企業向けの「mobiconnect for business」と教育分野向けの「mobiconnect for education」の2種類を提供しており、文教市場ではシェア1位の実績を誇っています。
出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2023年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」
「mobiconnect(モビコネクト)」は、国産MDMとしてサポート体制も充実しており、導入前はもちろん、導入後もデバイス運用のノウハウに長けた専任者がお客様のヒアリングをもとに、最適な運用プランのご提案をします。ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
こちらの記事の詳細に関しては、資料ダウンロードにあります「MDM(モバイルデバイス管理)のソフトウェアを取り巻く市場動向2023」に記載があります。
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