2022.10.21

MDM用語・機能

UEM(統合エンドポイント管理)とは?MDMやEMMとの違い、注意点について解説

近年、モバイルデバイスの利用やIoTの進展により、企業内でもITを活用するシーンは多岐にわたります。それに伴い、従業員はオフィスのみならず、外出先でも場所を問わず自由に業務ができる環境が整備されつつあります。

昨今において、企業で利用されるPCやスマートフォン、タブレットといったエンドポイントの台数や種類は急速に増加しています。加えて、テレワークなどの普及により、遠隔地で利用されるデバイスが混在していることから、エンドポイントを含めるIT資産の管理が困難な状況になってきています。
そこで有効なのが、組織内のすべてのエンドポイントを一元的に管理できるツール「UEM(統合エンドポイント管理)」の存在です。

今回は、UEM(統合エンドポイント管理)の仕組みやMDM・EMMなどの違い、注意点などについて分かりやすく解説していきます。

UEM(統合エンドポイント管理)とは

UEM(Unified Endpoint Management、以下UEM)とは、統合エンドポイント管理と言い、組織内のエンドポイントを一元的に管理するための製品のことです。
ちなみにエンドポイントとは、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスだけでなく、デスクトップやプリンター、IoTデバイスなど企業のネットワークに接続されたエンドユーザーが利用するデバイスの総称です。

UEMの導入の目的、仕組み

UEMは、新しいモバイルデバイスやIoT(Internet of Things:モノのインターネットのこと)の環境を構築するためのものであり、業務に使われるモバイルデバイスの一元管理を目的に多くの企業で導入されています。

これまでモバイルデバイス管理と言えば、以下のように複数の管理ツールがあり、社内のシステム担当者は、社内にある膨大な量のデバイスを管理するために、これらのツールを複数組み合わせて使う必要がありました。しかしながら、デバイスの数が増えるほど管理が煩雑化することが課題とされていました。

表は横にスクロールします

MDM(モバイルデバイス管理) スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスを一元管理するツール
MAM(モバイルアプリケーション管理) モバイルアプリケーション管理のことで、モバイルデバイス内にインストールしたアプリを管理するツール
MCM(モバイルコンテンツ管理) モバイルコンテンツ管理のことで、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスで利用するコンテンツを管理するツール

このような課題を解消するために登場したのがUEMです。UEMでは、これまでモバイルデバイスに限定されていたデバイス管理の概念がなくなり、PCやスマートフォンなどのデバイスの種類やOS、アプリケーションの種類などを問わず、自社のインターネットに接続されているエンドポイントであれば、すべて一元管理が可能となります。

これにより、社内で新たにモバイルデバイスやIoTを導入した場合でも、デバイスの運用や管理をスムーズかつ包括的に行い、セキュアな環境構築を実現することができます。まさにこれがUEMの仕組みと言えます。

UEMとMDM(モバイルデバイス管理)との違い

前述したとおり、これまでのモバイルデバイス管理には「MDM」や「EMM」といった管理ツールが使われていましたが、これらのツールとUEMにはどのような違いがあるのでしょうか。まずは「UEM」と「MDM」との違いから解説していきます。

MDM(Mobile Device Management)はモバイルデバイス管理と言い、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを一元的に管理・運用できるツールです。Apple社が提供するiPadが2010年に登場したことにより、MDMも普及してきました。

業務でiPadを利用する動きが広まる中、同時にiOSを搭載したiPhoneや、GoogleのAndroidを搭載したスマートフォンもビジネスシーンで利用されるようになりました。これらのモバイルデバイスは、PCとは異なる構造をしているため、PCでもスマートフォンでもデバイス問わず管理できるよう拡張する必要が出てきました。そこで登場したのがMDMです。

MDMでできることや、導入メリットについては、以下の記事で詳しく解説しています!
≫MDM(モバイルデバイス管理)とは?基本や導入時の注意点まで徹底解説

UEMとEMM(エンタープライズモビリティ管理)のと違い

EMM(Enterprise Mobility Management 、以下EMM)は、エンタープライズモビリティ管理」と言い、エンドユーザーが使用するスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを総合的に管理するツールです。MDMに加えて、モバイル環境でアプリケーションの配信ができるMAM(モバイルアプリケーション管理)と、コンテンツ管理ができるMCM(モバイルコンテンツ管理)を組み合わせた機能を搭載しています。しかしEMMは、あくまでもモバイルデバイスやPCを管理対象とするツールです。
一方UEMでは、EMMの機能に加え、プリンタやIoTデバイスといったその他のエンドポイント管理機能を搭載しています。すなわちUEMは、複数のツールを組み合わせなくても自社のインターネットに接続されているエンドポイントであれば、すべて一元的な管理を行うことができるのです。

表は横にスクロールします

EMMツール MDMツール+MAMツール+MCMツール
UEMツール EMMツール+クライアント(プリンタやIoTなど)管理ツール

EMMの意味や導入メリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
≫EMMって?MDMとMAMと何が違う?意味やメリットまで完全解説!

UEMを導入するメリット

UEMを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

BYODを導入する際に便利

テレワークを導入する企業では、従業員へ業務用端末を貸与している場合もあれば、個人のPCやスマートフォンなどを業務に利用するBYOD(Bring Your Own Deviceの略)を採用しているケースも少なくないでしょう。
UEMは、そのような個人のデバイスを業務に利用するBYOD(Bring Your Own Deviceの略)を導入する際にも便利です。一元的なデバイス管理ができるため、安全に個人のデバイスを仕事に流用できるだけでなく、情報漏えいのリスクも軽減することができます。

生産性の向上&管理工数を削減できる

UEMを導入し社内の一元的なデバイス管理を可能にすることで、企業ではテレワークを採用しやすくなり、従業員の生産性アップを実現することができます。
また社内のシステム担当者にとっても、膨大な量のデバイスを一元的に管理できるUEMの導入は、個別にデバイス管理を行う際の負担を軽減し、管理工数を大幅に削減できるため導入効果は十分にあると言えるでしょう。

UEMを導入する際の注意点

UEMの導入は、メリットも多い反面、以下のような注意点もあります。

古いデバイスには対応していない場合がある

スマートフォンやPCなどのデバイスが古いものの場合、製品によってはUEMが利用できないケースがあります。とくにPCであればWindows7やWindowsVistaなどは非対応の可能性が高い場合が多いです。そのためUEMの導入を検討する際は、社内で使っているPCやスマートフォンなどのデバイスがUEMにしっかり対応しているかあらかじめ確認した上で導入を進めていきましょう。

場合によっては効率化できないケースも

UEMツールを導入したとしても、場合によっては効率化できないケースもあるので注意が必要です。たとえば、IoTにかかるコストがどれくらいかかるかや、担当者がデバイス管理にどのくらいの時間を充てられるのか、費用対効果などが見合っているかをしっかり検討するようにしましょう。

まとめ

今回は、UEM(統合エンドポイント管理)についてわかりやすく解説しました。近年では、テレワークの普及による環境の変化やデバイスの種類の増加などにより、従来と比べると広い意味でのデバイス管理が求められるようになっています。
UEMは、社内で新たにモバイルデバイスやIoTを導入した場合でも、デバイスの運用や管理を包括的に行い、セキュアな環境構築を実現することができます。とはいえ、前述したデメリットもあるので、UEMツールを導入する際は自社のデバイスの種類や費用対効果などをしっかり確認した上で、導入を進めるようにしましょう。

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