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MDM(モバイルデバイス管理)とは?基本機能やメリット、導入時の注意点まで解説

タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末(デバイス)は、プライベートの利用だけでなく、企業や教育現場などでも幅広く利用されるようになっています。
このようなモバイル端末の利活用が進む中で、実際の現場ではデバイスの運用・管理に関する課題が生じています。
「大量のモバイル端末の管理をどうすればよいか」「作業を効率的に行いたい」などの悩みを抱える企業や教育現場も多いのではないでしょうか。
こうした課題を解決するために注目されているのが、MDM(モバイルデバイス管理)です。
この記事では、MDMの基本機能やメリット、製品選びのポイント、導入時の流れや注意点などを解説します。政府が掲げる「働き方改革」やテレワークの推進、ICT教育の普及などを踏まえ、デバイスの管理や運用を効率化したいとお考えの方は必見です!
この記事の目次[表示する]
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MDMとは
MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末(デバイス)を一元的に管理・運用し、企業のセキュリティを維持・強化するためのソフトウェアです。
企業がMDMを導入することで、デバイスを管理する情報システム担当者やIT管理者、総務などの担当者の手間を軽減できます。
また、業務の安全性を向上させるスマートデバイス運用のサービスとして、企業がモバイル端末を使用した業務を行う際に不可欠なツールとされています。
MDMの主な機能
MDMには、さまざまな機能が搭載されており、大きく以下の4つの機能に分けられます。
- モバイル端末の一元管理
- 端末紛失・盗難時の対策
- 端末の利用状況の把握
- アプリ配信・一元管理
遠隔地からの端末ロック・初期化、紛失時の第三者による不正利用対策、アプリや顧客情報の配布・更新、デバイスの機能制限など、企業の用途や目的に応じて利用することができます。
モバイル端末の一元管理
MDMでは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を一元的に管理・制限できます。MDMを使用することで、企業・組織は異なる場所や時間帯に分散している端末を統合的に管理し、セキュリティを強化することが可能です。
端末紛失・盗難時の対策
MDMは、モバイル端末が紛失・盗難された際に第三者による不正利用を防ぐための対策を提供しています。その中でも、以下の機能が主なものです。
リモートロック:遠隔地から端末をロックする
リモートワイプ:遠隔から対象データを削除する
ファイル削除:フォルダやファイルのパスを指定して、遠隔からフォルダなどを削除する
紛失モード時の位置情報取得:紛失モード時に位置情報の取得が可能
端末の利用状況の把握
MDMは、モバイル端末の利用データから業務を見直しすることができます。端末の利用頻度や稼働時間、アプリの利用歴など、デバイスの活用状況を可視化することで「この業務でこのアプリは使いすぎている」などデバイス活用を見直すデータが得られます。
アプリ配信・一元管理
企業や組織が利用するモバイル端末に対して、アプリケーションの配信や一元管理を行います。具体的には、以下のような機能が提供されます。
- アプリストアに公開されているアプリや社内向けに開発されたプライベートアプリを配信・削除できる
- 管理者は遠隔地からアプリをデバイスにインストールしたり、アプリのアップデートを一括で行ったりすることが可能
- 組織のポリシーやセキュリティ要件に合わせて、特定のアプリを制限したり、セキュリティ上の脆弱性を持つアプリをブロックしたりすることも可能
MDMが注目される背景
MDMが注目されるようになった背景には、どのような要因が考えられるでしょうか。
テレワーク導入による端末セキュリティリスクの高まり
MDMが注目される背景の一つは、テレワークの普及に伴うモバイル端末のセキュリティリスクの増加です。
近年、多くの企業がテレワークを導入し始めており、従業員はオフィスだけでなく、自宅や外出先でもスマートフォンやタブレットを使用して業務を行うことが一般的になってきました。しかし、モバイル端末は持ち運びが容易であるため、盗難や紛失による情報漏えいリスクが隣り合わせです。
また、従業員が許可なく端末に不正なアプリをインストールしたり、ウイルスに感染したりするリスクもあります。このようなセキュリティリスクを回避するために、MDMが注目されています。
モバイル端末の運用・管理の煩雑化
多くの企業にてモバイル端末の導入が拡大する一方で、大量の端末の運用や管理に悩まされている企業も少なくありません。
とくに端末管理者にとっては、端末の初期設定やアプリのインストール・アップデート、端末管理・運用などさまざまな業務が必要となり、端末の数が増えるほどこれらの業務負担も増えていくことになります。
このような大量のモバイル端末を扱う企業では、端末管理や運用をスムーズかつ効率化できるツールの導入が必要とされるため、端末の一元管理ができるMDMが注目を集めています。
また、文部科学省が2019年に提唱した教育のデジタル化施策「GIGAスクール構想」の影響もあり、教育現場でもタブレットの利用が急速に普及しています。こうした背景から、企業だけでなく、教育現場でもモバイル端末を一元管理できるMDMの存在が注目されるようになっています。
MDM市場の動向|2032年には772億米ドルに達する予測

画像引用:モバイルデバイス管理(MDM)市場レポート:タイプ別、展開タイプ別、組織規模別、業界別、地域別、2024年~2032年(2024年03月02日)
MDM市場の動向をデータに基づいて見ていきましょう。
株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、2023年のMDM市場の規模は108億ドルに到達しました。そして、2024年から2032年にかけての年平均成長率(CAGR)は23.7%であり、2032年には772億ドルに達すると予測されています。
同社のレポートでは、MDMが企業のモビリティ管理において重要な役割を果たしており、クラウドベースのソリューションの増加やBYODのトレンドが市場の拡大を後押ししていることが示されています。また、AIの統合やIT分野の研究開発の進展も市場成長を支える重要な要因とされています。
MDMの導入メリット
企業や教育現場にMDMを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。実際にMDMを導入するメリットは、大きく分けて3つあります。
デバイス管理の効率化
MDMを導入するメリットとしてまず挙げられるのは、デバイス管理の効率化です。
MDMを利用することで、デバイスの一元管理が可能となります。これにより、アプリの一斉配信やOSアップデートといった作業を、1台ずつ行う必要がなくなります。企業や教育現場で多くのデバイスを保有する場合、この効率化は非常に重要です。
さらに、MDMを使用することでアプリの利用制限も可能となります。必要なアプリのみを使用させることで、セキュリティや生産性の向上が期待できます。
セキュリティ対策の実現
近年、ノートPCや社用携帯を従業員に貸与し、自宅でのテレワークや外出先での業務利用が一般的になってきています。このような状況下では、セキュリティ対策がますます重要になっています。
MDMを導入することで、モバイル端末の紛失時にも遠隔ロックなどの対策を実施し、情報漏えいを防ぐことができます。
また、VPN設定も可能なので、遠隔地であっても安全なネットワーク環境で業務を行うことができます。
つまり、MDMを導入することで、より強固なセキュリティ対策を講じることができ、企業側からすれば安心・安全なモバイルデバイスの運用が実現できると言えるでしょう。
そのほか、不正アクセス対策についても気になる方は、以下の記事も併せてチェックしてみるといいでしょう。
≫不正アクセス対策、中小企業はどうする?4つの対策法を紹介
紛失時の情報漏えい対策にも
MDMは、モバイル端末が紛失した場合や盗難された場合の情報漏えい対策としても有効です。
MDMに搭載された「リモートロック」機能を使用すると、遠隔操作で端末をロックし、操作を不能にすることができます。さらに、一部のMDM製品ではGPSを使用して端末の位置情報を確認し、管理者がリモートロックをかけると同時にモバイル端末に対して対応を促すメッセージを表示することも可能です。
また「リモートワイプ」機能を利用すれば、遠隔地から指示を出すことで端末内のデータを削除することができます。これにより、端末が手元にない状況でも紛失時の情報漏えいを防ぐことができます。
MDMを利用して「リモートロック」や「リモートワイプ」を行うことで、端末の紛失が発生した場合でも早期に発見できる可能性を高めるとともに、情報漏えい対策につなげることができます。
▼リモートロック、リモートワイプについて詳しくはこちらの記事をチェック!
≫リモートワイプって?メリットと操作方法を徹底調査!
MDMの導入デメリット
MDMを導入する際には、メリットだけでなくいくつかのデメリットも考慮する必要があります。導入を検討している方は、以下に紹介するデメリットもしっかりと確認しておきましょう。
導入に伴うコストが発生する
企業や教育現場がMDMを導入する際には、当然ながらコストがかかります。利用するモバイル端末の台数に応じた費用が発生する点は、考慮しなければなりません。
しかし、MDMの導入有無に関わらず、企業のセキュリティ対策は必須です。MDMを導入しない場合、担当者がデバイスを1台ずつチェックする必要があります。この場合でも、コストがかかることは避けられません。
したがって、MDMを導入することで発生するコストは、セキュリティ強化や作業効率化という面から見れば、費用対効果の観点からも合理的な選択と言えるでしょう。
BYODを誘発する恐れも
MDMを使用することで、セキュリティ対策や端末への制限を簡単に行うことが可能です。そのため、アプリの利用を制限したい場合などにも、MDMを活用することで簡便に対処できます。
しかし、制限が過剰であったり、アプリの許可に時間がかかるなど、利便性が低下すると、従業員が私用の端末を持ち込んでの業務利用(BYOD)を自発的に行う可能性があります。BYODが許可なく行われると、私用端末からの情報漏えいにつながる恐れがあり、セキュリティ対策が不十分になります。
セキュリティを強化する一方で、従業員の利便性も考慮した制限の設定が重要です。MDMの導入に際しては、こうした運用ポリシーを検討し、明確にすることが必要です。
※BYOD=Bring Your Own Device。個人が所有しているデバイスを業務で利用すること。
BYODについて、詳しく知りたい方は、以下の記事もおススメです。
≫BYODをわかりやすく解説!メリット・デメリットや注意点をチェック!
MDMを選ぶときの4つのポイント

MDMの導入を検討する企業は、どのような点を考慮すればよいのでしょうか。以下に、4つのポイントを紹介します。
1. サービス形態をチェックする
MDMのサービス形態を確認することは、選択する際の重要なポイントです。MDMのサービス形態は主に「オンプレミス型」と「クラウド(SaaS)型」の2つに分かれます。
「オンプレミス型」は、企業内のサーバー上でMDMサービスを運用する形態です。情報システム部門やIT管理者が管理しやすい利点がありますが、高額な初期導入コストや定期的なアップデートの必要性から、運用コストもかかる場合があります。
一方「クラウド(SaaS)型」は、ベンダーが提供するクラウド上でMDMサービスを利用する形態です。手軽に導入でき、ベンダーがアップデートなどの作業を行うため、運用コストが低く抑えられます。
企業がMDMを導入する際には、どちらのサービス形態が適しているかを事前に検討しましょう。
2. 対応デバイス、OSから選ぶ
MDMを導入する際には、対応するデバイスとOSも重要なポイントです。選定する際には、製品がどのデバイスやOSに対応しているかを検討する必要があります。
これまでiOSやAndroidに特化した製品が多かったですが、最近ではWindowsやmacOSなど他のOSも利用する企業が増えています。
企業内で複数のOSやデバイスを使用することは一般的です。たとえば、社内ではWindows PCを使用し、外出先ではiPhoneを利用するといったケースは、よく見られるのではないでしょうか。このような状況を考慮して、導入するMDM製品が社内で利用されているOSやデバイスに対応しているかを確認することが重要です。
3. MDMの利用用途を明確にしておく
MDMの導入を検討する企業は、事前に用途やアプリの利用範囲などを明確にしておくことで、どの製品を選ぶべきか自ずと見えてくるでしょう。
さらに、モバイル端末の利用目的によってセキュリティレベルも異なります。とくに、機密情報を持ち運ぶ端末や他のシステムと連携する端末では、高度なセキュリティが求められます。
利用目的を明確にすることで、自社に最適な製品を選択できるだけでなく、MDM導入の失敗を防ぐことができます。
4. サポート体制の充実度をチェックする
MDMを導入する際には、製品のサポート体制も重要な要素です。導入後に問題が発生した際に迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかを確認しましょう。専門的な技術サポートの提供や、問題解決までのスピードや丁寧さが大切です。
また、製品のアップデートもサポート体制の一部です。安定した運用を維持するためには、定期的なアップデートが必要ですので、製品のサポート体制が十分かどうかも確認しておきましょう。
MDMを導入する際の流れ

MDMの導入を検討している方は、MDMの導入から運用までどのような手順を踏むのか気になる方もいるでしょう。ここでは、MDMを導入する際の手順について、以下の流れを紹介します。
- 管理対象となる端末情報を調査する
- 利用方針(ポリシー)を検討する
- MDMツールの選定・導入
- 利用端末をMDMから設定する
- 運用ルールを社内へ周知する
- 運用スタート
- モニタリング・改善
1. 管理対象となる端末情報を調査する
導入するMDMで管理する端末に関する情報を収集しましょう。台数やOS、接続エリアなどを把握します。
2. 利用方針(ポリシー)を検討する
デバイスの活用方針やポリシーを検討し、リスク管理を含めた方針を定めます。
3. MDMツールの選定・導入
条件に合ったMDMツールを選定し、無料トライアルを利用して性能や使い勝手を検証します。
4. 利用端末をMDMから設定する
導入したMDMを利用して、管理対象となる端末を設定します。初期設定やアプリのインストール、機能制限などを行います。
5. 運用ルールを社内へ周知する
社内に運用ルールや禁止事項、紛失時の対処方法などを周知し、利用者に説明会を行います。
6. 運用スタート
利用者がデバイスを活用し始めます。定期的な設定の更新や変更を遠隔から行い、イレギュラーな状況にも迅速に対処します。
7. モニタリング・改善
利用状況をモニタリングして、活用の改善点を見つけ出します。これに基づいて運用を改善し、効率化を図ります。
MDM導入時の注意点
MDMは、多くのメリットを提供しますが、導入しただけではすべてのリスクを完全に回避できるわけではありません。
たとえば、従業員がモバイル端末を紛失した場合、MDMのリモートロックやリモートワイプなどの機能は有効です。しかし、端末が電波の届かない場所にあったり、機内モードに設定されていたり、SIMが抜かれている場合など、操作が不可能な状況も考えられます。さらに、端末の紛失に気付くのが遅れたり、従業員からの報告が遅れたりすると、情報漏えいのリスクが高まります。
MDMを導入する際には、従業員にモバイル端末の取り扱いに関する注意点を再度周知し、規定や運用方法を明確に整備してから導入を進めることが重要です。
以下の記事では、MDMをどのように活用するのかについて、業種別・シーン別でご紹介しています。併せてご覧くださいね!
≫MDMの活用例を業種別、シーン別に紹介
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まとめ
今回は、MDM(モバイルデバイス管理)の機能やメリット・デメリット、MDM製品を選ぶ際のポイント、導入時の流れ・注意点などについて詳しく解説しました。
国内においても今後ますますデジタル化が進む中、デバイス管理は企業や組織において欠かせないタスクの一つです。
すでにモバイル端末を活用している企業や教育現場で、運用・管理にお困りの方や、これから本格的にデバイス管理を始めることを検討している方は、ぜひこの機会にMDMを導入して、効率的な運用を実現していきましょう。
MDMの導入を検討している方は、下部の問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください!