2022.01.14

ビジネス

インボイス制度とは?2023年10月導入までに個人事業主、フリーランス、企業がすべき対策を完全ガイド

2019年10月1日から消費税が10%に引き上げされたことに伴い、2023年(令和5年)10月1日からは「インボイス制度」が導入されることになります。個人事業主などの免税事業者や企業の経理担当は「インボイス制度って耳にしたことはあるけれど、いまいちどのような制度か分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
インボイス制度は、消費税を納税義務のある企業や個人事業主であれば必ず理解しておくべき新たな制度となります。

本記事では、インボイス制度について理解を深めるために、まずはその制度の概要やポイント、企業や免税事業者がすべき対策についてわかりやすくまとめています。

デバイス管理やセキュリティ対策のお悩み、
MDM導入で解決しませんか?
【 ただいま無料相談実施中! 】

インボイス制度とは

 

2023年10月1日よりインボイス制度が本格的に開始される予定です。まずはこの制度の意味や概要について解説します。

インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」のこと

インボイス制度とは、正式名称「適格請求書等保存方式」のことを指し、通称「インボイス制度」と言われています。インボイスとは「適用税率や税額記載が義務付けされた請求書」のことで、インボイス制度とは以下の要件を満たす納品書や請求書等を交付・保存する制度となります。

  • 適格請求書発行事業者の氏名もしくは名称および登録番号
  • 取引した年月日
  • 取引した内容(軽減税率の対象品目である場合はその内容)
  • 税率ごとに合計された対価の額と適用税率
  • 消費税額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名もしくは名称

具体的には、課税事業者(消費税を納税する義務のある事業者)が支払った消費税を計算(仕入税額控除)し、証拠資料として保存します。こうして作成された税額記載義務を満たした請求書によって、消費税額を計算して納税を行うことを目的とした新たな取り組みがインボイス制度というわけです。

インボイス制度が求める「適格請求書」とは

それでは、インボイス制度においてその要件を満たす請求書となる「適格請求書」について、より詳しくご説明していきたいと思います。

「適格請求書」とは、売手側が買手側に対して正確な適用税率や消費税額等を伝達するための手段であり、一定の項目が記された書類(請求書や納品書、領収書、レシート等)を指します。具体的には、現在義務となっている区分記載請求書に以下の項目が追加された請求書となります。

  • インボイス登録番号
  • 適用税率
  • 適用税率ごとに発生する消費税の合計額

インボイス制度導入までの流れについては、時系列で記載した以下の表を見ると分かりやすいかと思いますが、表内の1~9の項目を満たした請求書が「適格請求書」になります。

≪インボイス制度導入までの流れ≫

~2019年9月30日 ◆請求書
1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
2019年10月1日~ ◆区分記載請求書
1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
5.軽減税率の対象であることを表記
6.適用税率ごとに区分した合計金額
2023年10月1日~
(インボイス制度開始)
◆適格請求書
1.発行者の氏名又は名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名又は名称
5.軽減税率の対象である旨の表記
6.適用税率ごとに区分した合計額
7.インボイスの登録番号
8.適用税率
9.適用税率ごとの消費税額の合計

表からわかるとおり、2023年9月30日までは「区分記載請求書」での対応で問題ないですが、2023年10月1日以降インボイス制度が開始されると「適格請求書」方式が義務化されるため、1~9の事項をすべて満たす必要があります。

これに伴って、課税事業者の取引相手から適格請求書を求められた場合、交付しなければならないといったことも考えられるでしょう。この点については、後ほど詳しく解説いたします。

適格請求書が実施される背景

そもそも「適格請求書」方式が実施されるようになった背景には、現在の8%と10%の複数税率が大きく関係しています。
2019年10月1日から消費税率は原則として10%となっていますが、食品や週2回以上発行される新聞といった一部の商品については、8%の軽減税率が適用されています。
そのため、これらの対象商品を扱う店舗では、2つの税率が混在している状況となっています。
もちろん店舗側はお客様に対して、商品の税率を伝える必要があるため、結果として商品に課税される消費税率・消費税額を請求書、レシート等に明記する「適格請求書(インボイス)方式」が実施されることになりました。

「適格請求書」は「適格請求書発行事業者」のみが発行できる

適格請求書は、「適格請求書発行事業者」のみが発行できることになっています。この適格請求書発行事業者になるには、納税地を所轄する税務署長へ登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
この登録は、消費税を国に納める義務が生じる課税事業者(1年間の課税売上高が1,000万円を超える事業者)でなければ登録を受けることはできません。なお、のちほど説明する仕入税額控除を受けるためにも、適格請求書発行事業者の登録が必要になります。

ただし、1年間の課税売上高が1,000万円未満の免税事業者は納税義務が免除されます。要は、消費税を納税していない「免税事業者」に関してはインボイス制度の対象外となり、適格請求書を発行できないということになります。

2023年10月導入のインボイス制度では何が変わる?

上述した内容を踏まえて、具体的にインボイス制度が導入されたら、どのようなことが変わるのでしょうか。

仕入税額控除について

インボイス制度が導入されることで、大きく変わる点といえば仕入税額控除についてです。
消費税の納税額を、原則方式による計算式に変換すると以下の通りとなります。

販売時に預かった消費税-仕入・経費で支払った消費税(仕入税額控除)=国へ納付する消費税

このように事業者が国へ納付する消費税は、販売時にお客様から預かった消費税から仕入や経費などで支払った消費税の差額となります。
また、仕入や経費で支払った消費税を控除することを「仕入税額控除」と言います。しかし万が一、この「仕入税額控除」が認められない場合、販売時にお客様から預かった消費税をそのまま国へ納税しなければならず、仕入・経費でかかった消費税を控除できなくなるため、事業者にとっては大きな出費となってしまいます。

このようなリスクを回避し、仕入税額控除を受けるためには、支払い時に受け取る請求書や領収書の記載内容や書類の保存方法の一定要件を守る必要があるのです。

インボイス制度の対応が、仕入税額控除を受けるための要件

さきほどの表でも記載したように、2023年10月1日から導入されるインボイス制度により、「区分記載請求書等保存方式」から「適格請求書等保存方式」へと変更になります。

なおこれに伴い、買手が仕入税額控除を受けるためには、原則として取引相手の登録事業者から交付を受けた「適格請求書(インボイス)」の保存等が必要です。
つまり仕入税額控除を受けるためには、冒頭でもお伝えした以下の1~9の事項が記載されている書類(請求書や納品書、領収書、レシート等)を受け取る必要があり、かつそれを保存しておく必要があります。控除を受けるためには、インボイス制度への対応は行わなければならないということをよく認識しておきましょう。

  • 発行者の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 受領者の氏名又は名称
  • 軽減税率の対象である旨の表記
  • 適用税率ごとに区分した合計額
  • インボイスの登録番号
  • 適用税率
  • 適用税率ごとの消費税額の合計

同時によく覚えておきたい点として、仕入税額控除を受けるためには、上記のとおり「適格請求書」を発行できる事業者と取引を行う必要があります。こちらについてはのちほど詳しく解説します。

適格請求書発行事業者の義務が免除される対象とは

インボイス制度が導入される際、請求書等の交付を受けることが難しい以下のようなケースについては、適格請求書発行事業者の義務が免除されます。こちらは、一定要件を満たす帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められるようになります。

  • 3万円未満の公共交通機関を利用したときのチケット
  • 自動販売機でジュースを買う
  • ポスト投函による郵便サービスの利用
  • 出入り口で回収される入場チケット
  • 日当や宿泊費を従業員に支給する
  • 適格請求書発行事業者でない者から再生資源等を購入した場合
    (請求書等の送付が困難で、一定事項が記載された帳簿が保存される場合に限る)
  • 古物商等が適格請求書発行事業者でない者から棚卸資産を購入した場合

 

デバイス管理やセキュリティ対策のお悩み、
MDM導入で解決しませんか?
【 ただいま無料相談実施中! 】

インボイス制度導入で課税事業者、免税事業者が受ける影響

 

つぎに、インボイス制度が導入されることで課税事業者と免税事業者へは、どのような影響があるのでしょうか。それぞれの側面からインボイス制度導入による影響をみていきましょう。

年間の課税売上1,000万円超の課税事業者の場合

経理処理の煩雑化

インボイス制度では、適格請求書に記載された消費税額を確認して納税額を計算しなければいけないため、経理処理の煩雑化が考えられます。

とくに、インボイスを発行できるのは、課税事業者である「適格請求書発行事業者」に限ります。そのため免税事業者と課税事業者の2者から仕入れを行っている場合には、双方の消費税額をそれぞれ分けて計算する必要があります。

納税額の増加

インボイス制度が導入されることで、課税事業者の納税額の増加も考えれます。ケースによっては、課税事業者の取引相手が免税事業者の場合もあるでしょう。
このようなケースの場合は、取引先の免税事業者では適格請求書が発行されないため、そのルートで仕入れた商品は仕入税額控除の対象外となってしまいます。
そのため、インボイス制度導入前と比較すると、免税事業者と取引を行うごとに納税額が増えてしまうことになります。

年間の課税売上1,000万円以下の免税事業者の場合

取引停止による売上減少のリスク

インボイス制度が導入されると、先ほどもお伝えしたように課税事業者の納税額の負担が増加する可能性が上がります。その影響から免税事業者との取引を停止する課税事業者が出てくることが予測されます。
とくに規模の大きい企業との取引が多いフリーランスなどの免税事業者については、取引を停止されることによって売上が減少するリスクも考えられるでしょう。

課税事業者への転向

とくにフリーランスなどの免税事業者は、上述したような取引先停止による売上減少のリスクを恐れ、やむを得ず適格請求書を発行できる課税事業者への転向を行うケースが増えてくるでしょう。課税事業者への転向にはさまざまな手続きを踏まなければならず、本来の業務とは異なる負担が発生することも、免税事業者において考えられる影響だと言えます。

消費税納税義務の発生

上述したとおりインボイス制度の導入は、適格請求書が発行できない免税事業者との取引を避ける課税事業者が増えると想定される一方で、免税事業者は、課税事業者に転向しなければ売上減少につながるといったリスクが生じるなど、双方にとって少なからず影響が出てくる制度です。

もちろん、免税事業者は課税事業者へ転向することで、適格請求書の発行は可能となりますが、そうすることで年間の売上が1,000万円以下の場合であっても、消費税の納税義務が課せられ、負担が増えるといった問題にも直面することになります。

インボイス制度が導入されても、自身の選択により免税事業者を継続することは可能です。しかしながら免税事業者を継続するか、課税事業者へ転向するか、どちらを選択すべきかは非常に悩ましい問題だと言えるでしょう。

インボイス制度導入に向けて課税事業者、免税事業者がしておくべき対策

 

ここでは、インボイス制度の導入が行われることで、課税事業者・免税事業者が事前にしておくべき対策についてご紹介します。

「適格請求書発行事業者」の登録申請を行う

現時点で課税事業者の場合、所轄の税務署へ「適格請求書発行事業者」の登録申請を行う必要があります。ただし、2023年10月1日から登録を受けるためには、同年3月31日までに登録申請書を税務署へ申請しなければいけません。

すでに2021年1月1日から登録申請書の受付は開始されているため、「適格請求書発行事業者」の登録申請を希望する方は、早めの段階で申請するようにしましょう。

▼「適格請求書発行事業者」の登録申請手続きについて(国税庁)

「消費税課税事業者選択届出書」の提出を行う

つぎに免税事業者が、適格請求書発行事業者として登録するためには、「消費税課税事業者選択届出書」の課税事業者を選択し、登録申請を行う必要があります。ここで注意点としては、登録開始日の前日から起算して、ひと月前の前日までに税務署へ申請をしておく必要があります。(10月1日から開始する場合は、9月30日のひと月前、つまり8月30日までに申請を行う)

ただし、課税期間中(2023年10月1日を含む)に登録申請を行う際は、経過措置が適用され課税事業者の選択をする必要がありません。インボイス制度が開始されると同時に免税事業者へ登録する予定の方は、この経過措置を利用することをおススメします。

▼「消費税課税事業者選択届出手続」について(国税庁)

適格請求書のフォーマットを準備する

インボイス制度の導入により、これまで記載していなかった事項が増えるため、インボイス制度に対応した適格請求書のフォーマットを準備しておくことが大切です。遅くても適格請求書発行事業者として稼働する予定日までには用意しておきましょう。

1つ覚えておきたいポイントとして、飲食店など多くの人を対象とする事業者は、「適格簡易請求書」と言って記載事項を簡略化したものを発行することが許可されています。その際は、書類の申請を受ける事業者の名前または名称の記載はいらず、適用税率または税率ごとの合計税額が記載されていれば発行できます。気になる方は、自身の事業形態が対象かどうかを税務署へ確認するといいでしょう。

 

MFクラウド請求書はインボイス制度に対応

画像引用:MFクラウド請求書公式サイト

企業や小売店、飲食店などの事業者の多くは、経理処理を行う際に会計ソフトを利用しているところも多いでしょう。現在使用している会計ソフトが、今後導入されるインボイス制度に対応しているか否かはぜひとも確認しておきたいポイントの一つです。
中には未対応の会計ソフトもあるので、そのような場合には制度が開始される前に他社の会計ソフトへの切り替えも検討することをおススメします。

請求書作成ソフトとして人気の高い「マネーフォワード クラウド請求書(以下、MFクラウド請求書)」では、今回ご紹介したインボイス制度にも対応しています。
「MFクラウド請求書」では、インボイスに対応するために必要となる適格請求書発行事業者の登録申請書類をフォームに沿って入力していくだけでカンタンに作成することができます。なお、作成した書類を税務署に提出すれば、申請手続きを完了させることができるので、面倒な作業が不要となります。
そのほか「MFクラウド請求書」では、請求書の作成・発行・管理業務を圧倒的に効率化できる仕様になっています。インボイス制度に向けて準備を進める方は、この機会にMFクラウド請求書への切り替えを検討してみるのもおススメです。

「MFクラウド請求書」をはじめるにあたっては、MFクラウドサービスの会員登録(無料)が必要となります。まずは会員登録を進めてみましょう!

≫MFクラウドの会員登録はこちら(無料)

まとめ

 

今回は、インボイス制度の概要や企業、事業者がすべき対策についてわかりやすく解説しました。インボイス制度の内容を見ると、企業だけでなくフリーランス・個人事業主なども対応が迫られています。そのため、今のうちから事前にインボイス制度の内容とポイントをしっかり理解した上で、インボイス制度の導入に備えましょう。