2021.09.17

業務効率化

【RPA】導入メリット、AIとの違いとは?導入方法までわかりやすく解説!

企業のデスクワークに必要な定型業務を代行して処理してくれる社員ロボット「RPA」。昨今の人手不足が課題となっている多くの企業で注目されているツールです。

しかし、実際にRPAの導入を検討するものの、RPA環境の構築に工数を割けないというケースや、RPAについて正しい手順を踏まずに導入したことから運用に失敗するケースも少なくありません。
そのような失敗を経験しないためには、まずはRPAについて正しく理解し、自社に合ったツールを導入することが重要です。

本記事では、RPA初心者から中級者に向けて、RPAの仕組みやメリット、導入方法、失敗しない選び方などについて分かりやすく解説していきます。

RPAとは?仕組みについて

 

RPA(Robotic Process Automatio)とは、人がPC上で行う業務をロボットが代行する自動化ツールです。仮想知的労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれています。RPAは、決まった手順の定型業務やルーティンワークの自動化を得意としており、PC上で行う事務作業の多い企業にて、積極的に導入が進んでいます。

では、どのような仕組みで業務を自動化していくのでしょうか。詳しくみていきましょう。

RPAの仕組み

RPAは、次の2つのステップを経て自動化する仕組みとなっています。

1.自動化したい業務をシナリオ化する

人間が行っている業務をRPAで自動化するためには、まず業務手順を記したシナリオが必要となり、現状の作業内容を細かく洗い出し、整理することから始める必要があります。
なお、シナリオを作成する際に、作業手順に変更があったり、システムがアップデートされた場合などには、再度シナリオを修正しなければ、RPAは間違った手順のまま作業が進んでしまうので注意が必要です。

これまでのRPAツールといえば、シナリオ作成時にコードを書き込む作業が必要なため、高度なスキルや知識が求められ、初心者ではなかなか手を出すことができませんでした。
しかし最近では、プログラミングの工程がなくなり、人によるマウスやキーボードなどの操作を認識して自動化するRPAツールが登場しています。業務手順をそのままRPAに記憶させることができ、プログラミングの知識がなくても、手軽にシナリオを作成を行うことが可能となります。

2.RPAツールがシナリオに沿って業務を行う

RPAは、シナリオに基づき作業を実施するという特徴があるため、一度作業の指示を出すと、継続して作業を進めます。基本的に想定外のトラブルやエラーが生じない限り、24時間365日稼働できるため、業務効率化と残業時間の短縮を実現することができます。

もしイレギュラーなことが発生した場合には、人間が都度エラー対応を行い、シナリオを更新していくことでトラブル時でもスムーズな対応ができます。

RPAが注目される背景

 

RPAの導入が進んでいる背景には、おもに「人手不足」「働き方改革による生産性向上」などが挙げられます。

1.人手不足

昨今、国内では少子高齢化が進むにつれ、労働人口の現象により、深刻な人手不足が大きな課題となっています。中でもIT人材の人手不足は顕著となっており、2030年にはおよそ59万人のIT人材が減少すると言われています。RPAであれば、特別なプログラミング知識がない方でも作成することが可能なため、エンジニア不足のおける国内で注目を集めるツールとなっています。

2.働き方改革による生産性向上

厚生労働省が2019年か本格始動している「働き方改革」の施策では、労働人口の減少に伴い、少ない労働力でいかに生産性アップを実現できるかという点が目的とされています。業務を自動化し、これまで手作業でこなしてきた業務をRPAツールといったロボットに代替することで、より現場の生産性向上を目指しています。

また、このほかにもRPAは、昨今流行が続く新型コロナウイルス対策としての省人化につながる点においても導入が進む要因となっています。

RPAとAIの違い

 

自動化ツールと聞いて思い浮かべる言葉といえば、AIをイメージする方は少なくないでしょう。RPAとAIは、同じ自動化ツールですが、似て非なるものです。では、どのような点に違いがあるのでしょうか。

詳細
RPA ・人からの指示をもとにルーティン作業を行う
・指示された内容以外は、動けない
AI ・データを参照し、自主的に判断を行う
・ルーティン作業は行わない

RPAとAIの違いは、自律的に物事を判断できるか否かという点です。RPAは、指示された業務をミスなく正確かつスピーディに行えますが、指示を受けてない作業についてはできません。
その一方で、AIは自主学習機能があるため、通常とは異なるケースや予期せぬ変更があった際に、自身で業務の見直しや改善を行うことができます。

また、最近ではRPAとAIが連携されたツールも出ているため、さらに高度な自動化が可能となっており注目を集めています。

RPAの3つの導入メリット


次に、企業へRPAを導入するメリットについてみていきましょう。

自動化により業務効率化を図ることができる

RPAは、人間が行う動作をすべて定型化してインプットすることができます。とくにルーティンワークは、RPAの得意分野であり、人間よりも遥かに早いスピードで業務をこなしていきます。
そのため、企業へRPAを導入すると、これまで手作業で行っていた業務も自動化され、スピーディに処理することができるため、業務効率化を図ることが可能です。

実際に、RPAを導入した企業の事例では、年間の作業時間を約50〜80%まで削減できたというケースもあります。

ヒューマンエラーがなくなり業務品質の向上に

RPAは、あらかじめ設定したルールに沿って動くため、人間が行う作業で起きがちなヒューマンエラーを防止することができます。

加えて、RPAを導入することで、人間が作業内容をわざわざ確認する手間がなくなるため、業務品質の向上を図ることも可能です。これまでどうしても避けられなかったヒューマンエラーがゼロになるという点では、企業としては大きなメリットだと言えるでしょう。

人手不足の解消につながる

企業へRPAを導入することで、人手不足の解消にもつながります。これまで、単純な作業であっても従業員が行っていたことで、そのほかの業務に手が回らない……なんて問題を抱える企業も少なくないでしょう。
このような悩みも、単純作業をRPAにより自動化することで、その作業に割いていた人員をその他の業務に割り当てることができます。

また、従業員を雇用するとなると、それなりの採用・教育費が発生します。しかしRPAに置き換えることで、24時間365日働き続ける有能な人材を雇っているのとほぼ同じ状態になるため、人手不足の解消や人件費の削減につながるだけでなく、一人当たりの生産性向上も期待できるでしょう。

RPAの業界別の活用事例、効果例

 

RPAは、実際にどのような業界や現場で導入されているのでしょうか。ここでは、各業界における業務の活用例をご紹介します。

大手通信会社

RPAを大手通信会社に導入した結果、以下のような効果が出ています。

導入前の課題 導入後の効果
・顧客情報の変更には、システムを使用して複雑な作業を行う必要がある
・問合せ1件あたりの内容入力に20分ほど時間がかかる
・ミスが多発する
・複雑な業務も自動化することで、従業員の負担を軽減
・情報入力の自動化により、1件あたりの処理スピードを1分に短縮
・ミスの削減により、業務品質の改善に

生命保険会社

国内生命保険会社の導入前の課題と導入後の結果は、以下のとおりです。

導入前の課題 導入後の効果
・解約返戻金の算出等の事務処理時間が大幅にかかる
・膨大な処理件数により人手不足に
・事務処理業務に時間を取られ、その他の業務が圧迫状態に
・複雑な業務の自動化により、業務負担の軽減に
・業務が自動化されたことで人手不足を解消
・本来するべき業務に専念できる

そのほか、金融業、小売業、医療・病院での活用事例などもあり、業種を問わずRPAの導入が進められています。

RPAの一般的な導入方法、流れ

 

企業へRPAを導入する際は、どのような手順で進めるのが良いのでしょうか。ここでは、実際にRPAを導入するときの一般的な流れをご紹介します。

ステップ1 RPAで自動化したい業務の選定と業務量の洗い出し

RPA専門のチームを組み、現在の業務プロセスの中で、自動化できる業務を探し可視化を行います。業務プロセスの課題を選定したあとは、業務量の改善を検討していきます。

業務量算出法の代表とされるものは、以下の4つです。

・実績記入法
現在の各業務を従業員に記入してもらう方法。業務量を測定することの意味を理解してもらい、業務時間を記入してもらうことで信憑性のあるデータを収集できます。それぞれの業務内容を明確に定義することが重要です。

・実測法
作業や業務を観測し測定する方法で、製造業の繰り返しの多い作業やライン作業の観測に使用されます。

・推定比率法
部門責任者や現場の業務に関係する従業員が、1日にかかる全体の業務時間から逆算して、業務量を推定する手法です。

・合成法
さまざまな観測結果から、特定の業務にかかる業務量を予測して、平均値を算出します。

ステップ2 対応可能なRPAツールを比較・検討

上記の手法で業務プロセスの課題を洗い出したあとは、その業務をRPAで代替するために、対応可能なRPAツールをいくつか候補に挙げていきます。料金体系や機能、運用方法などは、RPAツールによっても様々な違いがあるため、じっくり比較検討していきましょう。

ステップ3 トライアルを実施

RPAツールを比較検討する上で、基本操作や実際にどのような使い勝手か知るためにトライアルを実施してみましょう。RPAツールの提供会社の中には、無料トライアルや体験会、webセミナーなどを開催しているところも多くあります。

ステップ4 トライアル結果分析と要件の調整

RPAツールのトライアル期間中は、実際に小粒の業務をロボットに任せて一連の流れを把握し、どの程度業務を効率化できたか、効果・効能を含め評価を行います。
分析結果をもとに、ロボット化する業務プロセスの整理を行い、導入準備を進めていきましょう。

ステップ5 RPAツールを本格導入

いよいよ、RPAツールの本格始動となります。

RPAツール導入において、失敗しない選び方

 

RPAツールを導入する際は、多くの種類があるため、どのツールを選ぶか迷ってしまう方も少なくないでしょう。ここでは、RPAツールの導入において、失敗しない選び方のポイントをお伝えします。

自動化したい作業が実現できるか

RPAは、”ルールが決められている単純作業”に加えて、”多品種少量の業務”に最も効果を発揮します。反対に、少品種大量の業務であれば、ITシステム導入で効率的に解決できるため、ロボットに任せる業務プロセスをしっかりと選定し、RPAツールを導入することで、自動化したい作業が実現できるか否かを確認することが重要です。

また、すべての業務を一気に自動化すると、組織の混乱が生じてしまうリスクがあるので、まずは、一部の業務をロボットに任せて、効果検証を繰り返して改善していくことをおススメします。

料金体系も事前にチェック!

RPAを導入する際に気になる項目の一つが料金についてではないでしょうか。一般的にRPAの費用は、年間にすると数十万円~数百万円まで幅広くあります。近年では、RPAのニーズが高まりをみせていることから、月額10万円ほどの料金で利用できるRPAツールも登場しています。

とはいえ、低価格という理由だけで導入してしまっては、ロボットの開発を外注に依頼ときや、ロボットの数を増やすときなど、あとから費用が発生して高くなるケースもあります。

そのため、RPAツールを導入する際は、ロボット数が増加した場合のラインセンス使用料といった料金体系や運用体系などを事前に確認した上で導入するようにしましょう。

まとめ

今回は、RPAの基礎から導入方法、おススメのツールなどについて解説してきました。

多くの企業では、人手不足や長時間労働の課題を解消するために、RPAツールの導入を検討する企業は増加しています。

現在RPAの導入を検討している方は、ツール選びを失敗しないためにも、まずは自社の課題や自動化したい業務を明確にすることが重要です。その上で複数のツールの無料トライアルなどを活用し、自社に合った最適なRPAツールを導入しましょう。

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