MDMの運用は教育委員会内で完結! トライアンドエラーでさらなる改善を図る

伊丹市教育委員会

業種
学校・教育委員会
導入規模
1万台以上
OS
iPadOS

mobiconnectで実現したこと

  1. Point01

    運用を外部委託せず、伊丹市教育委員会内で完結できている

  2. Point02

    学校ごとでアプリ選択が可能とできるシステムが構築できた

  3. Point03

    システムによる端末管理がリアルタイムで可能となる

兵庫県伊丹市では、市内すべての小中学校と特別支援学校の合計26校に約15,000台のiPadを導入、『mobiconnect』による運用を実施しています。伊丹市教育委員会では、運用の外部委託を最低限に抑え、ほとんどの対応を内部で実践しています。

何も知らないところから手探りで導入スタート

伊丹市教育委員会では、タブレット端末の設定管理とアプリの管理、学校でのICT環境の整備を担っています。

片岡 氏
ー 『教育のICT化に向けた環境整備5か年計画』に基づいて、段階的にタブレット端末導入の準備を進めていました。しかし『GIGAスクール構想』がコロナ禍で前倒しされたことに伴って、伊丹市でもタブレット端末の導入を前倒しすることとなりました。そこで、児童生徒全員に1人1台のタブレット端末を配布するため、教育委員会でイニシアチブを取って導入を行いました。

伊丹市教育委員会 学校教育部 総合教育センター
片岡 栄二郎 氏

令和2年8月に小学6年生と中学3年生から先行して導入、12月にはすべての学年で1人1台のタブレット端末導入が完了したとのことです。導入に際しては、伊丹市では兵庫県主導の共同調達に従い『iPad』と『mobiconnect』という組み合わせでスタートしました。

長谷 氏
ー 当初は、MDMについてまったく知らないところからのスタートでした。専門家が教育委員会内にいたわけではないので、タブレット端末の設定から学校への配布まですべて手探り。導入はうまく進められましたが、担当者の負担は非常に大きかったと思います。導入時にトライアンドエラーを繰り返したことで、経験を通して仕組みを理解できたのは、大きな学びでしたね

伊丹市教育委員会 学校教育部 総合教育センター
長谷 慎一 氏

現在は、各種問い合わせの窓口のみ外部委託しており、問い合わせのあった内容は伊丹市教育委員会事務局で対応しているとのことです。

苦労した初年度の年次更新を踏まえてプロジェクトを進める

教育委員会内ですべて対応することとなった背景には、導入1年目のタブレット端末に係る年次更新があげられると皆さんが口をそろえます。

長谷 氏
― 1年目の年次更新では、タブレット端末初期化後のフィルタリングの設定に懸念があり、想定外の動作を起こす可能性が確認されました。そのため工場出荷状態にするのを見送り、アプリを全消去して再インストール、個人データ削除という手間のかかかる方針で進めました。

この方法をとることで所有者の情報は削除できたものの、1台にかかる時間が莫大になったといいます。

長谷 氏
― 年次更新をするタブレット端末も、当初の想定では最高学年のみでした。しかし実際始めてみると、端末利用のルールがきっちり周知できていなかったこともあり、すべての端末を初期化してほしいと要望を出す学校もありました。そのようなことが重なり、当初予定していた1ヶ月の作業予定は2ヶ月みっちりかかってしまいました

片岡 氏
― タブレット端末の導入は、準備がそれほど整っていない状況から一気に進めましたが、予定の期間内におさまりました。年次更新もその流れで大丈夫だと思って進めましたが、見立ての甘い部分があったのは否めません。

「端末の更新がいつ終わるか先が見えず、苦しい思いをしていました。」という経験を踏まえ、2年目以降は年次更新の半年前からプロジェクトを進めたとのことです。

福永 氏
― 設定をどうすればよいか研究し、年次更新のフローを立てました。並行してタブレット利用のルールを統一して各学校へ周知し、当初3名だったICT支援員が7名に増えたこともあり、3週間で完了しました。その経験から外部へ委託しなくても運用できるという自信になり、現在も内部での運用を継続しています。

年次更新については、mobiconnectのサポートも大きかったといいます。

福永 氏
ー 自分たちだけで解決できないところは、業者を交えたフォローやサポートといった対話があったのは非常にありがたかったです。わからないことを質問して教えてもらいながら進めると、理解が深まりノウハウとして蓄積できる。運用を外部に委託せずにサポートを受けながら1年通してやってみたことで、使いこなせていなかった機能が使えるようになったのはよかった点ですし、非常に勉強になりました。

伊丹市教育委員会 学校教育部 総合教育センター
福永 康彦 氏

使用アプリは教育現場の意見を最大限に取り入れる

タブレットで利用するアプリに関して、伊丹市では学校現場からの意見を積極的に取り入れて導入しています。

福永 氏
― すべての学校で共通して使うもの以外でも、希望があれば導入を検討します。利用条件や内容を精査して、基準を満たすものであればダウンロードできるようにしています。

ダウンロードできるアプリは『mobiAppsオンデマンド』に登録して一括管理し、カタログ機能で学校ごとにチョイス・カスタマイズできるようにしているそうです。

福永 氏
― 標準アプリはありますが、学校・学年・学級・子どもが必要に応じてアプリをインストールし、活用できるようにしています。 できるだけ個人に合わせた使い方ができるように運用していますが、要望された通りにアプリを増やすと機能や内容の重複が予想されるので、アプリの整理や精査は必要だと考えています。

資産管理面でもMDMのメリットを得られた

『mobiconnect』の利用によって、資産管理面でもメリットを感じているといいます。

福永 氏
― 15,000台の端末を目視で台帳管理すると考えると、かなり大変だと容易に想像できる。これをシステム上で管理できるのは、当初想定していた以上に効果的だと感じています。 たとえば、学校ごとにどういった端末があってどのような使われ方をしているか、目視で確認するとなると、かなりの労力がかかります。これをシステム上でリアルタイムに確認・管理できるのは非常にありがたい。

MDMによって資産管理が楽になったことで、新たに見えてきた課題もあるそうです。

片岡 氏
― システムによって自動的に端末の管理ができるため、システム任せにしすぎて現状把握しようとする意識が少し薄れると感じています。システム上ではこうなっているけれど、実際に現物を確認するとデータと違う可能性もゼロではない。システム上の管理状況と実態との紐付けがきっちりなされているか、ものの管理がおろそかにならない仕組み作りといった水際の管理は必要です。

『mobiconnect』担当者と共に課題解決へ

これまでさまざまな問題点をクリアしてきた伊丹市教育委員会ですが、まだまだ課題はあるといいます。

長谷 氏
― 一つの問題が解決しても、新たな問題は次々と出てくる。その都度、インヴェンティットの担当者さまに聞いて的確なサポートを得られるのは、非常にありがたいです。たとえば、伊丹市で使用しているのはWi-Fiモデルのみのため、Wi-Fiが途切れたら遠隔管理ができないといった物理的な問題も発生します。そういったことも、担当者にフィードバックすれば一緒に解決方法を考えてもらえるというのは、大きなメリットとなっています。

今後の運用に関しても、まだまだ検討する点はあります。端末の利用は、導入当初からBluetoothやAirDrop、アプリのインストールなどに制限を設けているものの、持ち帰り前提で、ある程度自由に使えるようにしています。このあたりの設定をどうしていくか、今後モラル教育をどう進めていくのかも含めて方針を決めることが必要となるでしょう。

伊丹市では、教育のDX化に取り組む中で全体の整備や方向性に合わせて、今後の運用方法も随時刷新していくとしています。

( 取材日:2023年7月 )