諸刃の剣を MobiConnect でコントロール 生徒の「個性」と ICT の「メリット」を最大限に生かす環境へ

立命館守山中学校・高等学校

業種
学校・教育委員会
導入規模
1,000台以上
OS
iOS / iPadOS

mobiconnectで実現したこと

  1. Point01

    教員の目の届く範囲で失敗させる見守りが可能

  2. Point02

    「プロファイル削除防止」で1,500台の端末を安心・安全に運用できる

  3. Point03

    新しいアイディアやチャレンジに挑戦できる環境を実現

  • MobiConnect経由でiPad上のインハウスアプリを確実に運用
  • 生徒のApple ID不要。端末にいつの間にかアプリをインストール
  • 新しい学びの挑戦を支える、安心・安全な環境構築の実現に

2014年度よりiPadの一人1台体制を導入した立命館守山中学校・高等学校。同校では、従来から掲げる教育目標を多様な形で実現する手段としてICTを活用すると共に、iPad導入を機に「アダプティブラーニング(適応学習)」を取り入れた。生徒の理解度に合わせた問題を提供できるアダプティブラーニングのシステムを企業と共同で開発。タブレットとシステムの確実な運用を目指すべくMobiConnectを選択し、ICTのメリットを最大限生かせる環境で、生徒と共に新たな学びの創造に挑戦する。

iPad導入と共にスタート。企業と共同開発したアダプティブラーニングシステム

立命館守山中学校・高等学校(滋賀県守山市・以下、立命館守山)は2014年度より、新中学1年生、新高校1年生を対象にiPadの一人1台体制を導入した。国際社会で活躍できる能力や倫理観の育成など、これまで同校が掲げてきた教育目標を多様な形で実現するための手段としてICTを活用する。

加えて、中学校においては、生徒の理解度に合わせて問題を提供するアダプティブラーニング(適応学習)を新たな学びかたとして取り入れた。クラウドとSNSを用いた立命館守山独自のアダプティブラーニングシステム「RICS」(Ritsumeikan Intelligent Cyber Space)を企業と共同で開発し、iPad導入と共にその運用をスタートした。

立命館守山中学校の國領正博教諭はアダプティブラーニングについて「自然に学習リズムの中に定着している。生徒の学習に対する“迷い”が減り、何をすれば良いのか生徒が自信を持って学習を進められるようになった」と手応えを語る。

教師の予想を超えて、活用範囲がどんどん広がるiPad。

iPadの導入から2年が過ぎ、「生徒の使い方も随分落ち着いてきた」と國領教諭は振り返る。最初はiPadが嬉しくて、生徒はいろいろな使い方をしてしまうが、それも時間の問題。その後は、生徒の話し合いやアイデアから新たな使い方が生まれていくというのだ。

中学1年生では壁新聞を作成した際に、新聞の一部をくり抜いてiPadを埋め込み、デジタルサイネージとして利用した。文化祭では、生徒が作成したニュース番組やプロジェクションマッピングも披露した。ほかには、合唱コンクールの練習風景を撮影し、その振り返りをクラス全員で話し合ったり、部活動では昼休みを利用してiPadで試合の動画を見ることもある。ダンスの練習、英語のスピーキング練習にもiPadは欠かせない。「写真のデータ管理のためにクラウドストレージを使いたい」「スローモーション機能のあるカメラアプリを使いたい」といった要望も生徒側から挙がるようになってきた。

國領教諭は、「MDMで機能を制限して、生徒を脇道にそらせないというのも一つの方法かもしれない。しかし、それでは自分で何も学んでいない。失敗も含めて経験させる。そのためには、生徒の自由な使い方を認めつつ、教員の目の届く範囲で失敗させることが重要だ」と語る。

「予約配信機能」と「プロファイル削除防止」が決め手

立命館守山の独自システム「RICS」の配信・運用に欠かせないないのがMDMだ。同校では、システムの安定的な運用を目指しMobiConnectを選択した。その理由について、同校におけるiPadの管理・保守を請負う教育産業 株式会社 山口宗芳氏は、「インハウスアプリを導入する立命館守山にとって、段階的にシステムの配信が可能な“予約配信機能”は欠かせなかった」と語る。

一般的なMDMでは、リアルタイムでしか作業できない。しかし、大量の端末に確実にシステムを配信していくためには、細かく段階的に分けた配信作業を進めていく必要がある。MDMの特性として、ネットワークの不具合などが原因で必ずしも一度の配信で作業が完了するとは限らないからだ。そのため、MDMの運用を委託されている業者にとっては、細かく作業スケジュールが予約できる環境は、結果として効率化にもつながると山口氏は語る。

教育産業株式会社
ICTタブレット推進室
チーフアドバイザー
山口 宗芳 氏

またMobiConnectの「プロファイル削除防止」機能は、立命館守山の安心・安全なiPad運用の根幹を支えている。山口氏は「一般的なMDMの場合、ITの知識が豊富な生徒であれば、パスワードポリシーなどが設定されたプロファイルはいつでも削除でき、MDMの管理下から離脱できる状況にある」という。しかし、MobiConnectでは、独自の技術でプロファイルの削除を防止できる。山口氏は「中高合わせて1500台もの端末を管理する立命館守山にとって、安心・安全な環境を構築するためにはプロファイルの削除防止は必須だ」と語る。

生徒のApple ID不要。いつの間にかアプリをインストール

立命館守山のICT関連全般を担当する総務メディア教育部の伊藤久泰教諭は、アプリの配信や管理について、MobiConnectの新機能であるApple IDが不要なサイレントインストールを活用して進めていきたいと話す。

同校ではこれまでアプリのインストールについて、年に数回ほど特別期間を設け、その間のみ生徒のiPadにAppStoreを表示可能にし、生徒自身が必要なアプリをインストールしていた。しかし、伊藤教諭はこの方法について「ブラックリスト方式でゲームアプリなどをブロックしているが、それも限界がある。できるだけAppStoreを表示することなく必要なアプリのみをインストールしたいと考えていた」と語る。

MobiConncetでは2016年2月より、生徒のApple IDがなくてもiPad端末のシリアル番号と紐付き、アプリをサイレントインストールできる機能を実装した。これにより、生徒は一切AppStoreを触ることなく、いつの間にかアプリがインストールされた状態にすることが可能だ。さまざまなアイデアが現場で生まれる立命館守山では、「明日の授業でアプリを使いたい」「特定のクラスだけでこのアプリを使ってみたい」など教員側からの要望も多い。今後はこうしたリクエストにも迅速に対応できるだろうと伊藤教諭は話す。

また伊藤教諭はMobiConnectのサポート体制も評価した。「実際にサポート担当の方が本校まで足を運んでくれたこともあり、顔が分かる付き合いができた。いろいろ相談することができ、その後の運用もスムーズに進められている」と語っている。

重大な失敗は防ぎつつも、生徒の自由度を残す運用も可能

立命館守山中学校の犬飼龍馬教諭はMobiConnectについて、「生徒の管理能力を養う一方で、使い始めであることも考慮しなければならないため、安心・安全に端末が使える環境は重要だ」と語る。現場では、大半の生徒がiPadを学習的用途として活用した経験がなく、ICTが不得手な教員も多い。教育的に良いタイミングや場面でiPadの力を発揮していくためには、そうした人が安心・安全に使える環境であることが重要だというのだ。特に生徒に対しては、自己管理能力を養っていくのに時間もかかる。時には失敗も含めて生徒の使い方を見守る必要もあるだろう。セキュリティに関わるような重大な失敗は防ぎつつ,自由度を残す運用をMobiConnectで目指している。

iPadの導入を機に、生徒や教員間で新たなチャレンジが多く生まれている立命館守山。この環境を今後さらに発展させていきたい。犬飼教諭は「そのためには、学びを再定義していく必要がある」と語る。これまでは、学んだことをそのまま再現することが重要だった。しかし、これからは新しい学びを創り出す時代。
iPadはそんな新しい学びを支えるツールとして有効であるが、諸刃の剣でもある。使い方によっては、生徒にとって悪い方向に働く場合もあるだろう。
犬飼教諭は「放っておけば生徒に向いてしまいがちな刃をMobiConnectでコントロールし、生徒の“個性”もICTのメリットも最大限に生かせる環境を作りたい」と語る。

( 取材日:2016年4月 )