導入事例
mobiconnectを活用しているお客様の声をご紹介します。
利用目的や環境は多種多様、お客様のデバイス活用には新たな発見があります。
子どもたちの探究学習を通じた自己の生き方の裏にある「自由度の高さ」
大分県豊後大野市立菅尾小学校
- 業種
- 学校・教育委員会
- 導入規模
- 1,000台以上
- OS
- iPadOS
mobiconnectで実現したこと
-
Point01
タブレット端末を自由度高くカスタマイズ
-
Point02
子どもたちへの安心・安全なアプリの準備
-
Point03
先生が子どもたちを適度に見守ることが可能に
目次:
- タブレット端末導入前の大きな不安
- mobiconnectの自由度の高さが、より良い学習環境をつくる
- 子どもたちの探究学習がより高度化し自律的に
- アプリを活かすのは結局「人」である
- ICT教育・教育DXのパイオニアになってほしい
大分県豊後大野市にある大分県豊後大野市立菅尾小学校。2021年に「mobiconnect(モビコネクト)」を導入し、地域課題の解決に向けた探究学習を推進。優しく見守れる豊かな学習環境と子どもたちも教師も安心して活用できるICT環境を構築しています。mobiconnectを選んだ理由や活用法について校長の衞藤浩先生と教務主任の釘宮泰代先生に伺います。
タブレット端末導入前の大きな不安
衞藤 先生
文科省が打ち出したGIGAスクール構想をきっかけに、全国の子どもたち一人ひとりにタブレット端末を配布すると同時に高速大容量ネットワークの構築を行い、教育委員会や学校が管理・運用するようになりました。豊後大野市でも2021年度から市内18校の全小学生にタブレット端末が配布されています。この段階で市の教育委員会がmobiconnectを導入しました。端末の一元管理は基本的に教育委員会が行っています。
活用にあたり、当初はICT環境整備に課題がありました。個人情報の保護はもちろんのこと、学校教育活動にふさわしくないサイトへのアクセス制限、端末の目的外使用ができない設定をはじめ、子どもたちが集中して学ぶための環境整備をする必要がありました。しかし、校内にはICTの知識に長けた教員がおらず、環境整備を短期間で進めていくことにとても不安を感じていました。
釘宮 先生
実際に子どもたちと向き合う担任側としては、タブレット端末の活用によってトラブルが発生した際の対応も想定しなければいけません。ICTスキルの高い子どもが規制をかいくぐって端末を自分の思い通りの設定に変更してしまうことだってあり得ます。具体的な対応が見えないことへの不安はありましたね。実際、校内のICT担当教員は荷が重かったと思います。普段の業務に加え、導入にあたっての環境整備という重要な業務をすることになり、不安も大きかったでしょう。
私たちのような40〜50代の教員にも戸惑いがありました。長年使ってきたのは黒板、鉛筆、消しゴムといういわば「チョーク&トーク」の授業スタイルが主流で、学校におけるICTの整備は十分とは言えませんでしたし、タブレット端末を触ったことがない教員もいました。子どもたちの前に私たちが使い方を習得しないといけないけれど、果たして大丈夫だろうかという懸念もありました。もちろん時代の流れとしてICT教育の重要性は理解していて、期待もありました。
mobiconnectの自由度の高さが、より良い学習環境をつくる
衞藤 先生
タブレット端末を使った授業を導入して3年近くになりますが、タブレットの中身をカスタマイズできる自由度の高さに驚いています。
釘宮 先生
アプリのインストールもアップデートも完全に教育委員会に一元管理されていて、現場の先生たちが端末を一定の範囲内でカスタマイズできる環境は、子どもたちにとっても非常に良い環境だと思います。
mobiconnectはインストールするアプリを学年ごとに管理することもできます。先日も6年生の児童に「●●のアプリをインストールしてほしい」とお願いして、端末に入れてもらいました。1年生と6年生だとICTに対する成熟度が違うため、こうしたカスタマイズができるのは我々教員にとっては本当にありがたいです。
一方で、もちろん失敗もありました。あるお絵かきアプリを入れたのですが、機能的・発達の段階的に子どもたちにふさわしいものではなかったことが、子どもたちが実際に使用してみて初めて分かったのです。ですからすぐに端末から削除することにしました。
衞藤 先生
ただ、こうした先生方の試行錯誤は悪いことではなく、むしろ良いことと捉えています。子どもたちのことを第一に考えて先生方が提案してくれたことだし、その姿勢はすばらしいと思います。
もし特定のアプリしか使えなかったら、こうした動きも生まれませんし、結果的にmobiconnectで良かったなと感じています。市教委との連携は言うまでもありません。
子どもたちの探究学習がより高度化し自律的に
釘宮 先生
タブレット端末を使う子どもたちの成長スピードには目を見張るものがあります。
タブレット端末を活用した授業として5・6年生を対象に、豊後大野ジオパークを活用した防災・減災の取り組みを探究学習で学び、それを基にデジタル防災マップを作りました。
子どもたちが取り組んだ探究学習を具体的にご紹介します。
まず、情報を集めるために検索機能を使って調べます。ウェブ会議ができるアプリを活用し、リモート環境で専門家にお話を聞きました。市役所に行って防災に関する市民アンケートも実施しました。自身で考えた質問内容をクラウド上のフォームに作成し、市民の皆さんに端末を操作してもらい、アンケートデータは表計算ソフトで整理し、分析を行いました。
デジタル防災マップの作成にはプログラミングソフトを活用しました。県内のIT企業の方に外部講師として学校に来ていただき、子どもたちに指導をしていただきました。その後の習熟具合はすごかったですね。試行錯誤しながらも、子どもたちのプログラミング技術がどんどん上がっていくんです。
子どもたちからは「プログラミングの楽しさや難しさを学ぶと同時に、自分の住んでいる地域の危険について学べた」「プログラミングの重要なコマンドや使い方を学んでどんどん作業が早くなり、うまく作れるようになった」「同じ班の人たちと写真を送り合ったり、音声を録音したりして、協力しながらプログラミングするのが楽しかった」といった感想が聞かれました。探究学習の取組を通して、子どもたちが学習課題を自分ごととして考えられるようになっただけでなく、社会参画への意識が高まった等の成果が見られました。
この探究学習の成果を5年生の3人が県主催のプレゼンコンテストで発表したところ、2年連続で優勝することができました。市教委からは学校表彰をいただきました。プレゼン資料もキーノートという資料作成ソフトを使って自分たちで作ったんです。ICTが発想や表現の範囲を拡大している印象を受けました。まさに「習うより慣れろ」ですね。タブレット端末の活用で子どもたちの成長スピードが上がりました。これはもう、私たち世代は到底及びません(笑)。
アプリを活かすのは結局「人」である
衞藤 先生
アプリを使いこなす環境を整えたのは先生方です。自分たちで選んでいないアプリしか使えなかったら、ここまでの成果は上げられなかったんじゃないかと思います。子どもたちが使うアプリは、子どもたちにとって安心・安全でなければいけません。安心・安全にするためには、まず先生方自身が使い方を理解しなければならない。
mobiAppsオンデマンド機能があったからこそ、先生方は使いたいアプリを教育委員会に提案できたんです。おかげで子どもたちは自由にのびのびとした環境でアプリを使いこなせました。先生が試行錯誤してアプリを使い、トライアンドエラーを繰り返してきたことが子どもたちの学びの成果に繋がっていると確信しています。それと同時に、汎用的なネットワーク環境下で自由に活用できるICT環境。
mobiconnectは表には現れませんが、まさに「縁の下の力持ち」という性格のMDMであると思います。
釘宮 先生
アプリは子どもたちが成長するためのツールのひとつなんだなと実感しました。アプリが何かを満たしてくれるわけじゃなく、あくまでも成長の可能性を広げていくための手段であって、道具に過ぎないんです。「検索機能やウェブ会議システムを使いましょう」ということは目的ではなく、「豊後大野ジオパークを通じて子どもたちが自分事として地域に貢献する防災を学ぶ」ことが目的であり、そのための手段としてアプリを使うもの、と考えています。
現在の子どもたちにとって、タブレット端末は鉛筆や消しゴムと同じレベルで必要不可欠なツールになっています。だからこそ、私たち教員が端末の有効な使い方や面白い使い方を追求し、子どもたちに提示していく必要があるんです。
衞藤 先生
タブレット端末を使いこなすのは結局、「人」です。使いこなす人によって学びの効果も全く変わってきます。
アプリに使われるのではなく、アプリを使いこなす人になってほしい。これは子どもたちだけでなく、私たち大人にも言えることです。この考えは教育委員会とも共有していて、タブレット端末を通じて先生が子どもたちを適度に見守る状態が理想的です。まさにインヴェンティットが掲げる「機械を通じて人と現場を相互に見守る世界」を目指しています。
ICT教育・教育DXのパイオニアになってほしい
衞藤 先生
インヴェンティットに要望があるとすれば、「教育現場にICT教育の現状をもっと広めてほしい」の一点だけです。教員も教育委員会もICTの専門家でないので、子どもや保護者への説明の際、使っている端末がどのように管理されていて、どのように見守られているかを100%伝えられているかといえば決してそうではない。
MDMメーカーからそのあたりのお話を直接聞いたほうが説得力もあるし、話を聞いた保護者も納得して安心してくれると思います。
釘宮 先生
先日、インヴェンティットのmobiconnect担当の社員と話したとき、「私たちとしてもこれはもう必然性を持ってやっていかないといけないところです」という言葉が出て、とても期待しているんです。アプリの使い方であれば私たち教員が覚えればいいのですが、アプリの管理やその仕組みについては私たちでは説明ができない。保護者も不安だと思いますが、実はもっと不安に感じているのは教員なんです。ある程度決まったルールの中で子どもたちと向き合わないといけないので、「自由」や「カスタマイズ」といった言葉に不安や抵抗を覚える教員はとても多い。
でも、mobiconnectはルールを保ちつつも、カスタマイズができるように設計して作られています。これは私たち教員にとって、とてもありがたい環境です。タブレット端末を使って新しい授業をやってみたくても、子どもたちをトラブルには巻き込めない。でも、ガチガチに固まったアプリ画面であそびが全くないのも子どもたちのために良くない。そんな考えの狭間で悩んでいる先生は全国にたくさんいるはずです。
少し前までは「学校に携帯電話は持ってきてはいけない」が当たり前でしたけど、今は「タブレット端末を持ってきてください」という時代ですからね。見守る側の先生と保護者の不安を取り除けるのは、管理の仕組みを作っているMDMメーカーが最も適していると思いますね。
さらに、アプリケーションの管理や不具合対応といった、教員が対応するべきではないと思われる「タブレット端末の管理のために取られてしまう時間」ではなく、教師の本来の業務である「子どもと向き合う時間、子どものために費やす時間」を十分に確保するという教育DXへの推進も、MDMメーカーには期待したいところです。
衞藤 先生
豊後大野市の人口規模なら、学校と教育委員会が上手に連携すれば、子どもたちの可能性を広げられると思います。タブレット端末を最大限活用すれば子どもたちも自ら学んで成長する機会も増えていくでしょう。インヴェンティットには端末を使うための不安を取り除くための啓発活動を進んで実践していただけたら、とても心強いですね。
(取材日:2024年4月)