導入事例
mobiconnectを活用しているお客様の声をご紹介します。
利用目的や環境は多種多様、お客様のデバイス活用には新たな発見があります。
配送指示書もカーナビも通話機能もタブレットの中へ。 「バラバラに進んでいたデジタル化がまとまった」
株式会社共栄ロジックサービス
- 業種
- 運輸
- 導入規模
- 50台未満
- OS
- iPadOS
mobiconnectで実現したこと
-
Point01
タブレットの設定もアプリのインストールも紛失対策も任せられた
-
Point02
カーナビ、ドラレコ、配送指示書などが手元で操作・管理できるように
-
Point03
導入後も惜しみない対応で、今では「ピンチの際に連絡する先の一つ」に
目次:
- 絶縁体に用いる潤滑油を輸送する、日本有数の運送会社
- 業務が属人化する中、管理者不足が引き金に……
- 運転業務のデジタル化で生じた手間をタブレットで解消
- 不合理を無くし、トラブルを防ぐためには「一括管理が鍵になる」
- 業務効率化で自社の利益が伸び、取引先にも人的余力が生まれた
- 投資はスタートが肝心。管理や活用方法を託せるパートナー選びを
株式会社 共栄ロジックサービスは、三重県三重郡川越町に本拠地を置く石油運送会社です。代表の藤巻良介さんは全車両にドライブレコーダーを設置し、自社専用のAIで顧客情報を収集するなど、統括執行役員の山本さんと共に社内のデジタル化を進めてきました。そして、独自に効率化してきた各業務をまとめようと、従業員にタブレットを持たせることを選択。その一括管理のために「mobiconnect(モビコネクト)」を導入しました。
絶縁体に用いる潤滑油を輸送する、日本有数の運送会社
株式会社 共栄ロジックサービスのルーツは、戦前に創設された「藤巻建設」です。初めに、創業に至った当時の経緯や、建設業から運送業に方向転換された背景について伺いました。
藤巻 氏
ー 「藤巻建設」は祖父が立ち上げた会社です。
父の代になると「これからは石油の時代を迎えるだろう」との経営判断や、1959年の伊勢湾台風で会社が被害を受けた経緯もあり、建設業から運送業にシフトしたようです。こうした背景から現在の「共栄ロジックサービス」は、潤滑油およびガソリンをタンクローリーで輸送することを主要事業に掲げています。
中でも弊社の強みは、メインでお取引きさせて頂いているお客様の主力製品「トランス油(絶縁油)」を輸送させて頂いていることだと思います。この油は不純物を含んではなりません。検査時に耐圧検査を行い、ショートしたら出荷不可という高いクオリティで、しかも納入先は国内を代表する電機メーカーや電力会社です。当然ながら輸送に関する条件も厳しく、積込み・輸送・荷卸しにおいて非常に高い技術が必要です。その為、参入障壁も高く、私たちの特徴であり強みと言えます。
代表取締役 藤巻 良介 氏
また、かつて弊社のような石油輸送会社の業界には、たくさんのルールがありました。私たちの業界は狭い業界ではありますが、古いルールを変えようと試みたことが頑張っている会社というご評価を頂き、たくさん情報が集まる場になっていきました。
そのため業界の変わり者として受注が増えただけでなく、現在のようにケミカル・リファイナリー(石油化学製品の供給を目的とした製油所)や石油元売り会社の合併・統合が進む難しい時代でも、どうにか生き残れてこられたのではないでしょうか。
業務が属人化する中、管理者不足が引き金に…
ところが、会社が拡大を続ける中で管理者が不足。属人化していたアナログ業務の引き継ぎに加え、保有車両の増加に比例して仕事量も過多になり、ついに藤巻さんは決断をすることに…。
藤巻 氏
ー 前管理者の退職を機に、逆に「仕事の質を落とさないでみせる!」と頭を切り替えられたことが、業務のデジタル化や「mobiconnect(モビコネクト)」導入の原点になりました。
ところが、いざふたを開けてみると、手に負えないほどに業務が複雑化、属人化していたのです。
藤巻 氏
ー そもそも弊社では、私と弟で20台の車両を運行管理してきました。しかし、時代と共にISOの関連業務が増え、保有車両も増え、納入先での運送チェックも増えていきました。幹部陣も“パンク状態”でしたが、私には弟と2人で会社を回してきた自負があり「この仕事は業務過多ありき」という先入観を捨てられずにいました。まさに悪循環の根源ですよね。
エクセルのマクロを使った請求書の自動計算など、一部業務は効率化を進めていましたが、保有車両が35台を超えた頃から事務仕事も急増して追い付けなくなりました。そんな矢先、私が疲労でダウンしてしまいました。
エクセルのマクロを使った請求書の自動計算など、一部業務は効率化を進めていましたが、保有車両が35台を超えた頃から事務仕事も急増して追い付けなくなりました。そんな矢先、私が疲労でダウンしてしまいました。
それでも、印刷物の文字をデータ化するアプリの登場に再び気持ちが奮い立ちました。なぜなら、顧客様ではIT化が進んでいたものの、弊社にFAXで届く発注書は全て紙で、それをパソコンに再入力し直していたからです。つまり「デジタル→アナログ→デジタル」という流れを、このアプリで「デジタル→デジタル」にできると確信した時は、悩んでいた分本当に嬉しかったのを覚えています。
併せて、運送チェックの業務も負担軽減を図りました。各車両にドライブレコーダー(ドラレコ)やカメラ、センサーを設置すればリアルタイムに運転手の状況を把握できます。
運転業務のデジタル化で生じた手間をタブレットで解消
運行管理を中心に社内のデジタル化が進む一方、ドライバーには業務効率化に伴う新たな手間が生じていました。そこで藤巻さんはタブレットの導入を思い付き、さらに業者から端末の一括管理を勧められ、インヴェンティット株式会社に出合います。
藤巻 氏
ー 全ての車両にドラレコやカメラを搭載したことで、確かに運行管理や配送先でのチェックといった業務は負担が軽減されました。加えて、各ドライバーが今まで以上に安全で質の高い運転、荷役作業を心がけるようなりましたね。
対して運転席はカメラやセンサーの端末だらけになりました。運行状況を記録するデジタルタコメーター(デジタコ)も載せていたので、ドライバーは「運転以外にいくつもの端末を確認しなければならない」という業務が増えてしまいました。さらにメーカーも操作方法もバラバラだったので、当時、運転手は本当に苦労したと思います。
一方で、私には過去の経験から「ドライバーに長く居てもらう為には業務をシンプルにしなければならない」との強い思いがありました。こうして、「あらゆる操作や情報をタブレットに集約できないだろうか」との着想に至ります。私は学生時代Macに親しみ、子供達がmac OSに触れてアイデアを生む姿を目にしてきました。ですから「従業員用のタブレットはiPadにしよう」と決めていました。「映像データを多く含む業務のデータ化にもiPadは相性が良いのでは?」との考えもありました。
そしてAppleの日本法人様から計45台のiPadを購入しました。その際にAppleから「これだけの台数であれば一括管理をしたほうがいい」とアドバイスされ、紹介された業者を介して「インヴェンティット」様に出合いました。
不合理を無くし、トラブルを防ぐためには「一括管理が鍵になる」
こうして藤巻さんは各々で進んでいたデジタル化をiPadに集約させていきます。端末を車載機器と連携させ、カーナビ機能や配送指示書の受信機能も与えた他、トラブル防止のためにも「mobiconnect」による一括管理を選びました。
藤巻 氏
以前、運転手が普通車用のナビを使った為、狭い道に誘導され、あわや大惨事といったヒヤリハットを経験したことがありました。一方、配送先の地図を印刷して若手ドライバーに渡したら「スマートフォンで撮影したから大丈夫です」と返却される事が多くなりました。
「それなら納入先データを送信する為のトライバーさん向けのiPadに大型車仕様のカーナビ機能を持たせよう」と、現在は各自の端末に地図データ(荷受先台帳)を飛ばしています。また、お客さまから届くアナログの配送指示書も読み取ってデータ化し、それぞれのiPadに送信しています。高いコストをかけてリースしてきた複合機が不要になりました。
そして、何よりこれらの作業に労力を割いてきた担当者たちが、弊社にとって欠かせない営業・安全の活動に専念できるようになりました。私たちが本当に必要とする業務は「受注」「輸送」「納品」と極めてシンプルです。だから、繁雑な書類作成業務はデジタルに任せて「これからは、今一番大切なクオリティ向上の為の業務に注力しよう」と考えていました。そのアイデアを具体化する中で「インヴェンティット」とつながった訳です。
「mobiconnect」の導入に関しては、Appleから勧められた時点で一括管理を選ぶつもりでした。45台ものiPadを購入する以上、管理を怠ればトラブルにもつながります。自分でも一括管理の作業を進めてみましたが「Apple Business Managerを用いる」「そのためのソフトを導入する」「他にも諸手続きが必要」とかなり大変で「早く、この業務を手放さなければ」と思い知らされました。
そんな時に「インヴェンティット」と出合い、本当に何でも頼ってしまいましたね。特に担当の坂巻さんは、本来は彼女の領域ではない業務でも動いてくれ、しかも常に快い対応で大変感謝しています。
ちなみにiPad導入にあたり、社内で貸与している“ガラケー”の数を調べてみると、5台も紛失していることが分かりました。管理をシステム化せず、責任の所在があいまいだったことが原因ですよね。iPadはさらに高機能なので何でもできてしまうでしょう。紛失防止だけでなく、不要なインターネットトラブルを防ぐためにも「一括管理が鍵になる」と強く思いました。初期導入するアプリも、利用の可否を事前に決められますよね。
こうしてインヴェンティットのMDM導入を検討するに至った共栄ロジックグループですが、他社サービスの利用は検討されなかったのでしょうか。
藤巻 氏
ー 正直、他社と悩むこともありましたが「インヴェンティット」様のほうが心強く、とにかく「初心者に親切」だと感じました。また、当初はIT用語について“知っているふり”で商談に臨みましたが、今では気兼ねなく質問できます。こうした関係づくりが得意な会社だと思いました。
時には「mobiconnect」の機能や費用に関するシビアなやり取りもありますが、そんな時でも分からないことを素直に質問できる間柄というか、初心者のスタンスで臨める安心感があります。もちろん、担当の坂巻さんが優秀だからですが(笑)、おそらく社風だと思いました。
坂巻さんの魅力を続けると、可能な限り専門用語を使わず、私が理解できるよう英語やカタカナの言葉も置き換えて説明してくれます。一括管理とは直接関係の無い、仕事関連の質問もしやすいですね。例えば、携帯電話からiPadに切り替えるにあたり、クラウド型ビジネスチャットツールへの導入について相談したことがあります。「インヴェンティット」のサービスではありませんが、誰に何を聞けばいいのか分からず、わらにもすがる思いで彼女に連絡すると、情報を惜しみなく提供してくれてうれしかったですね。電話がつながった時の安堵感といったら何にも代えられません。
その後も含め、藤巻良介のエポックメイキングというか、坂巻さんの対応は画期的でした。イレギュラーな時こそ真価が問われるもので、私の危機的状況を「インヴェンティット」様が救ってくれましたね。「ピンチの際に連絡する先の一つ」になりました。
業務効率化で自社の利益が伸び、取引先にも人的余力が生まれた
藤巻さんのまさに“右腕”と言える山本さん。物流業界はまだアナログな環境にあり、最初にデジタル化の話を聞いた時は「他社との差別化のチャンスになる!」と感じたそうです。自社だけでなく、お客さまにも予期せぬ相乗効果が生まれたと続けます。
山本 氏
ー 業務のデジタル化は、業界全体が苦戦しているドライバーの確保においても十分に訴求できる要素です。加えて私たちには、ドライバーの時間外労働が超過すると罰則が伴う「物流2024年問題」が控えています。だからこそ、藤巻が言う「ルーティン革命のロボット化、データのデジタル化を大胆かつ徹底的に費用を掛けて進める事で、安全やミスを減らす為の業務に注力する」事が不可欠であり、従業員たちも同じ思いを持っていて、まさに「機が熟した」と考えています。
この取り組みが始まって約2年、現在はPDFの配送指示書を自社開発のロボットが自動でデータ化し、内容を各ドライバーのiPadに配信しています。より正確に言うと、ロボットが顧客のサイトを読み込み、「いつ」「どの配送先に」「どの製品をどれだけの量で」「どの車両が担当する」などといった必要な情報を集めているのです。
配送指示書のみならず、ゆくゆくは請求書や勤怠管理、給与明細などにも応用できると思います。まだテスト段階で具体的な成果が出るのはこれからですが、それでもすでに多くの手間が省けていると実感しています。
この先、従業員の拘束時間が減るのは確実だと思います。配送指示書は夕方に届き、その後2、3時間かけて翌日の配車を決めるのが通例で、今まではドライバーも事務所スタッフもそのためだけに待機、残業する必要がありました。しかし今後はiPadに情報を飛ばせます。あらゆる仕事が定時で終わり、翌日の業務内容は自宅で確認できるようになると思います。
実際、面白い成果も生まれています。弊社の主要顧客である会社様は、大手石油会社から運輸会社および運搬する製品の選定を引き受けているのですが、関連業務のデジタル化を進めた私たちが受注代行を担うようになりました。弊社は売上が伸び、先方も従業員2名が他の仕事に注力できるようになるなど、予期せぬ相乗効果に驚いています。
私自身はアナログ人間で長く紙で仕事をしていたため、最初は「デジタルって大丈夫?」と不安でした。でも、藤巻と一緒に現在の形を築くと、業務の負担が和らいで本当に楽になりました。
弊社がデジタル化に踏み出せた“第一歩”を思い返すと、やはり管理者の退職でしょうか。ただでさえ慌ただしい中、結果的に私ともう一人の担当者と2人で3人分の業務を担うことになり、どうしても無理があると分かっていました。そこで、藤巻の下「費用を掛けて合理化しよう。今の仕事は可能な限りロボットに任せ、他にできることを探そう」という考え方に変わりました。これが一番の後押しになりました。
iPadが配布され、タブレットに慣れている若いスタッフは「うちの会社は思い切りましたね」という反応です。一方でベテラン勢がどう順応してくれるのか、やや不安ですね。この世代はタッチペン操作のほうが向いている気がするので試してみたいです。
そして社内の担当者に話を聞くと「mobiconnect」の導入後も、何でも「インヴェンティット」に相談できているようです。現在は運営支援代行の年間契約を結び、MDM(モバイルデバイス管理)の全てを託していて、連絡をすれば弊社の望み通りに応じてくれるので心強いです。
投資はスタートが肝心。管理や活用方法を託せるパートナー選びを
「物流の2024年問題」が迫る中、アナログ業務による従業員の拘束時間に悩む同業者はもちろん、他業界の方々にもデジタル化や一括管理の魅力を知ってほしいと山本さん。「どの業者と組むのか。投資は最初が肝心」と話します。
山本 氏
ー「物流の2024年問題」を迎えると、弊社を取り巻く状況は今よりも厳しくなると思います。そのための対策が藤巻の先行投資であり、この地域で活躍する同業者も私たちの改革に興味を持っているようなので、丁寧にメリットを説いて仲間を増やしていきたいですね。ロボットや一括管理に関する質問や、事務所や車両の見学にも協力したいです。
加えて先ほども話しましたが、人材不足でドライバーの確保が厳しい中、デジタルを活用した弊社の「不合理を無くす」という姿勢を求職者の皆さんにアピールしていきたいです。
MDMを導入したことで現状の労働環境が改善しただけでなく、今後の展望も明るいと語る山本さん。最後に、アナログ業務からの脱却を試みる方々にメッセージをいただきました。
山本 氏
ー 投資は最初が肝心」と伝えたいです。「どの業者に相談するのか」という選択によって、全く異なる結果が出てくると思います。ぜひ、スタートの方法を誤らないでほしいですね。実際に弊社はiPadを導入しましたが、端末を買って終わりではなく、「いかに管理し、どう利用するのか」がもっとも重要でした。その際にMDMは不可欠であり、何でも頼れる「インヴェンティット」様に出会えて良かったです。
やはりMDMは企業の規模を問わず必須だと思います。現にロボットやタブレットはさまざまな仕事を助けてくれるようになりました。今後は弊社でも、例えば配送先を誤ったらロボットが車両のコンピューターを制御して、潤滑油やガソリンを卸せなくできるかもしれません。
あとは書類が紙のままだと、従業員の高齢化が進んだ時に小さな文字が読めず苦労しそうです。対してタブレットは画面をズームできるので、まさに業務のユニバーサルデザイン化だと思います。そのペアであるMDMも、今後ますます広まっていくと思います。
( 取材日:2023年4月 )