約26,000台の管理・運用を徹底検証し改善する。 失敗からも学ぶ教育方針を実践

郡山市教育委員会

業種
学校・教育委員会
導入規模
1万台以上
OS
iPadOS

mobiconnectで実現したこと

  1. Point01

    『mobiAppsオンデマンド』で自由で主体的なアプリ選択

  2. Point02

    位置情報の取得による端末紛失時の対策

  3. Point03

    子どもたちの健康を考慮した端末運用

福島県郡山市では、市内76校の小・中学校に約26,000台配備されているiPadのうち約23,000台に『mobiconnect』を導入することで、教育委員会の一括管理・運用の効率化を実現しています。教育現場の最前線にいる教員に負担をかけず、子どもたちが学習しやすい環境を構築することを目指しています。

Wi-FiモデルとLTEモデルのiPadを併用した柔軟な教育活動

文部科学省のGIGAスクール構想がスタートする以前より、ICT教育に力を入れてきたという郡山市。

郡山市として、ICT機器を活用した子どもたちにわかる授業づくりを進めて欲しいという願いが込められていたといいます。当初はデスクトップを置いたパソコン教室を各学校に設置しましたが、令和元年度から端末としてiPadの整備を開始し、GIGAスクール構想を機に、1人1台端末として、持ち運びができて授業の中で柔軟に活用ができるiPadに統一して配置を進めることにしました。

「たくさんの教科書や文房具を持って子どもたちがパソコン教室に移動するより、iPadを普段と同じ学習環境で活用する方が子どもたちにも先生方にとってもより効率的で学習しやすいと思います。」(橘内氏)

左:郡山市教育研修センター主査 太田陽介氏(以下、太田氏)
右:郡山市教育委員会研修センター担当指導主事 橘内伸行氏(以下、橘内氏)

数あるタブレット端末の中でも、ネットワークに依存せずに済み、直観的なUIで先生も子どもたちも使いやすいという理由でiPadを選びました。郡山市ではWi-FiモデルのiPadを導入していますが、特徴的なのは、各学校に1学年分のLTEモデルのiPadを導入していることです。

「持ち帰り学習をする際に、ネットワークがないご家庭もいらっしゃいます。また、校外での学習でWi-Fiが届かない場合などに、LTEモデル端末を使用することで柔軟に授業に取り組むことができます。また、学校の長寿命化工事に伴う仮設校舎の教室にWi-Fi環境がない場合などには、他の学校からLTEモデルの端末を集めて使用するなどといった対応をすることもあります。」(橘内氏)

このような運用を実現するために、郡山市がいち早く設定していたのがICTヘルプデスクでした。

「郡山市では、GIGAスクールが始まる以前からヘルプデスクを設置していました。その延長で、今年の4月からGIGAスクール運営支援センターを開所して、平日はICTヘルパー2名で対応しています。市内76校のうち41校にICT支援員を配置していますが、それでも今年の6月だけで700件以上の問合せがきています。問合せ先がないと学校の現場は混乱してしまうので、ICTに関連する不具合や問合せはここで一括して受けています。」(太田氏)

国からの補助金も出ていますが、郡山市では物理的な端末機器の費用以外の部分でも予算取りをしっかりと行い、子どもたちの教育に力を入れることができているのだといいます。

廃校を利用した郡山市教育研修センター。GIGAスクール運営支援センターも併設

『mobiAppsオンデマンド』で子どもたち自身が自由にアプリを選べるように

現在は、各学校から導入したいアプリなどがあった場合、教育委員会ですべてテスト検証を行ったうえで導入の判断をしています。無料であっても大量の広告が表示されるものは避けたいため、同じようなアプリがあった場合には教育委員会で選定したアプリを指定。橘内氏は、この運用を間もなく変更しようと試みています。

「これまで色んな要望を受けながらアプリの選定を指定していましたが、ある程度固まってきたので、先生方や子どもたちの考えで必要なアプリを『mobiAppsオンデマンド』からダウンロードしてもらうように切り替えたいと思っています。」(橘内氏)

『mobiAppsオンデマンド』は、利用可能なアプリ一覧を作成しカタログ化することができる機能です。管理者(教育委員会)が有償/無償アプリを一括購入し、遠隔で一斉に端末に配布、または回収することが可能ですが、子どもたち自身がどのアプリが必要なのかを主体的に考え選択することができるので、多くの学校現場で導入されています。

求める機能要望に応える国産MDM『mobiconnect』

郡山市で利用している全iPad端末に『mobiconnect』を導入したのは、国産製品で日本語の管理画面とサポートが安心だったからだと太田氏は言います。

「管理画面を触っていたら突然説明が英語になった、となると学校で混乱がでるかもしれませんので、国産企業の製品で選んでいました。また、日本国内でサポートしていただいてるのでレスポンスが早いのも助かります。」

「とくにmobiconnectを導入していてよかったと感じる点は、プロファイルを勝手に削除できないように設定できることや、位置情報の取得です。」(橘内氏)

iPadを導入すると、持ち運びができることから利便性が高まる半面、置き忘れや持ち帰りなどにより台数が足りないということがよく起こります。そんな時、まずは位置情報を取得しておおよその場所を確認することができます。mobiconnectは郡山市が求めていた細かい機能面でフィットしていたといいます。

「これから迎える夏休みにおいて、iPadを家庭へ持ち帰らせて活用してもらうための運用も検討しています。」(橘内氏)

今回、郡山市では小学校の場合夜9時から翌朝6時まで、中学校では夜10時から翌朝6時までインターネットに接続できないよう設定することにしました。

「子どもたちの健康面への配慮や充電等の管理・運用面を十分考慮し、各学校の先生方にも安心して持ち帰りを行ってもらえるよう配慮しています。今後も、今回の持ち帰りの成果や課題を踏まえて、よりよい運用を目指していきたいと思います。」(橘内氏)

多くの自治体では、端末の管理・運用、権限設定に関する課題が浮上していますが、郡山市では教育委員会が各学校の先生方の意見に耳を傾け、安心して活用してもらうためのバックアップ体制を取っています。一見、教育委員会による集中管理に見えますが、学校の要望に応じて柔軟に個別対応をしているのも郡山市の特徴と言えます。

「郡山市の方針としては、子どもたちにとって失敗から学ぶことも多いはずで、子どもたちが安心して失敗できる環境づくりを行っていきたいと思っています。」(橘内氏)

郡山市では今後、オンライン学習ドリルを活用した学び直しや先取り学習等の個別最適化された学習環境の整備、学習履歴の活用も進めていくことを予定しています。

( 取材日:2022年7月 )