導入事例
mobiconnectを活用しているお客様の声をご紹介します。
利用目的や環境は多種多様、お客様のデバイス活用には新たな発見があります。

教職員へのヒアリングを経てiPadを導入。 教科書の数行から、子どもたちが世界を広げている

つくばみらい市教育委員会
- 業種
- 学校・教育委員会
- 導入規模
- 1,000台以上
- OS
- iPadOS
mobiconnectで実現したこと
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Point01
児童・生徒と教職員が使う約5000台(現在は約5700台)のiPadを一括管理
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Point02
現場の「こんなアプリを使いたい」という要望にも柔軟に対応できている
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Point03
インヴェンティットをはじめ業者のサポートを受け、日々の課題も抱え込むことなく解決!
目次:
- 「秋葉原駅」まで約40分。利便性の高さに人の流入が進む
- 各社のタブレット端末をテストし、選ばれたのはiPad
- 学びは教科書の先にも。得られた知識の共有も容易になった
- 全ての端末で、できること、できないことを決めるのがMDM
- iPadには個性や魅力を育むツールになってほしい
茨城県南部のつくばみらい市。つくばエクスプレス(TX)の開通に伴う一帯の開発などを理由に、県内でもトップクラスの人口増加率を記録する人気の自治体です。そんな中、同市教育委員会はGIGAスクール構想に基づいて子どもに1人1台のiPadを貸与し、仕様を統一したり、アプリケーションを追加・削除したりするために「mobiconnect(モビコネクト)」を導入。端末の管理や授業での活用方法について、教育指導課係長の鈴木了平さんと指導主事の平賀和明さんに伺います。
「秋葉原駅」まで約40分。利便性の高さに人の流入が進む
TXによって東京や千葉への通勤・通学が便利になり、沿線駅周辺の開発が進むつくばみらい市。人口増加率が茨城県内でトップ3、全国でも50位以内に入るなど、高く注目されています。比例して子どもの数も増え、ますます活気づく「つくばみらい市教育委員会」の概要から教えていただきました。

平賀 氏
― 人口増加に伴う新設校の設置や人口減少地区の統廃合などを進めた結果、今年度は小学校9校、中学校4校の計13校を管轄しています。児童と生徒の数はそれぞれ約3500人と1400人で、計5000人ほどが在籍中です。また、同じく所管にある図書館は、市役所の伊奈庁舎近くにある本館をはじめ、分館として2つのコミュニティセンター内に設置しています。今年の10月には総合教育支援センターを開設し、教育相談や不登校児童生徒への対応も強化しています。

鈴木 氏
― 当市の人口は2023年10月1日時点で5万1284人であり、TX「みらい平駅」の周辺を中心としたエリアで増加傾向です。同じく9月に発表された「全国自治体 人口増減率ランキング2023」では、全国1896団体のうち、人口増加率で49位(茨城県内では3位)に入っています。 TXの「みらい平駅」から「秋葉原駅」までは区間快速で約40分と、東京や千葉方面へのアクセスが便利になったことが大きな理由だと思います。また、コロナ禍でリモートワークが普及したことも関係しているようです。
平賀 氏
― 現在は第2次つくばみらい市総合計画に基づき「“あれも、これも”本気の子育てのまち」の実現に向けた学校教育に取り組んでいます。その中で、教育大綱は「Realize your dream~世界へ羽ばたけ」を基本理念とし、子ども一人一人の夢に寄り添い、かなえられるよう全力で応援しながら、新しい時代を見据えた教育を推進させています。
鈴木 氏
― 当市の取り組みでは、学校教育改革プランの「みらい型カリキュラム・マネジメント」も特徴的でしょう。5時間授業を小学校では週3回、中学校では週2回に増やし、児童・生徒と教職員の負担を平準化させ、学びの質を確保できるよう図っています。また、下校時刻が早まれば、子どもたちの安全・安心にもつながると考えています。
加えて、「みらい型部活動改革」も独自に進めている最中です。部活動の時間を5時間授業時は120分、6時間授業時は50分とし、同じく下校時刻を早めてゆとりや安全性を重視しています。また、練習にメリハリが出て効率化できる上に、顧問の教職員も今まで以上に授業の準備や、子どもたちに向き合う時間を作れます。さらに地域の有志が部活に携わる機会を増やし、教職員の負担軽減も図っています。
各社のタブレット端末をテストし、選ばれたのはiPad
学びを通して児童・生徒の夢を応援する中、文部科学省のGIGAスクール構想に基づいてICT教育の在り方を検討することに。そして子どもたちへのタブレット端末の貸与を決め、現場の先生方の意見を踏まえてiPadを選択しました。
平賀 氏
ー 文科省のGIGAスクール構想に準じ、当市も子どもたちに1人1台のタブレット端末を貸与することにしました。2020年度から準備を進め、ネットワーク環境も整えていきましたね。 そして複数の端末を比較・検討する中、現場の教職員の意見も聞きました。その中で、もっとも操作性などで好評だったのがiPadだったため、採用を決めました。

近隣の教育委員会とも意見交換を重ねて慎重に検討し、子どもたちと教職員用に合わせて4983台を導入しました。やがて人口増加に伴い児童・生徒数も増え、現在は5718台を配備しています。
なお2021年度からの活用を想定し、余裕を持って3カ月前には端末を受け取りました。いずれも順調に進みましたね。

学びは教科書の先にも。得られた知識の共有も容易になった
iPadが知的好奇心を刺激することにより、今まで以上に教科書の向こうに広がる世界へと足を踏み入れるようになった子どもたち。調べたことを友人に共有するのも容易になり、さまざまな資質や能力を向上させています。教職員もプリント類の印刷が減るなど、負担とコストの削減にもつながっています。
平賀 氏
― 実際にiPadを配備する際や活用する中で、標準で搭載されている機能や、教職員やICT支援員がインストールを希望しているアプリケーションについて、削除や追加を実施しています。端末の販売業者とも協議しながら、取捨選択していきましたね。
結果的に今年度は、子どもたちの学習状況をリアルタイムに把握できる授業支援用アプリ「MetaMoji Classroom」を採用しました。児童・生徒全員の学習状況を先生の手元でリアルタイムにモニタリング可能で、子どもたちから「◯」「?」で理解度を先生に知らせたり、先生が各自の画面に入って個別にアドバイスしたりできます。

鈴木 氏
― iPadは個別最適と協働的な学びの一体的な充実を図るため、主に授業で活用されています。従来の学習方法とICT教育とのベストミックスを目指し、今も試行錯誤を続けています。 従来のカリキュラムをベースに、大きな可能性を秘めたiPadでの学びを重ね合わせることで、各教科の見方や働き方をふんだんに生かした学習が始まっています。すでに子どもたちのさまざまな資質や能力が向上していると報告されています。
平賀 氏
― 例えば、国語の教科書に作者のプロフィールが数行しか書かれていなくても「これって何だろう」と興味を持った子は自ら端末を通じてインターネット上の膨大な情報に触れ、理解を深めることができます。こうした、「知的好奇心が爆発的に高まる」「子どもの世界が広がる」といった学びが各現場で見受けられます。また、調べた内容を友人や教職員と共有することも容易になりました。
鈴木 氏
― 理科の授業でダーウィンの「進化論」を学び、進化のストーリーを調べてアプリで4コマ漫画を描いて、発表したグループもあったと聞きました。
平賀 氏
― 指導方法が紙と鉛筆の従来の学びからiPad等を使用した学びとのベストミックスを図る指導へと変わりつつあります。教職員が作るワークシート、いわゆるプリント類も紙で印刷される回数が減り、現在はクラウド上で作成し、配布されていますね。
鈴木 氏
―
同じく紙からの脱却で考えると、学校から保護者への連絡において「スクリレ」というツールを導入しました。伝達事項をスマートフォンなどに配信し、紙の“お手紙”や“お便り”からのデジタル化を進めていますね。コスト面の削減も図れています。 併せて、教職員の業務も効率化しています。例えば「Metamoji Classroom」では、児童や生徒への配布物や、子どもたちからの提出物もiPad内でのやり取りで完結します。こうして授業のための準備や、振り返りに係る労力が軽減されていると聞きます。デジタルに慣れた教職員ほど、仕事がスムーズに進むようですね。
平賀 氏
― さらにMetamoji Classroomを利用すると、教職員が子ども一人一人の学習理解度をリアルタイムに把握でき、サポートが必要な児童生徒に個別にアドバイスできます。この点も強みだと感じています。
全ての端末で「できること」「できないこと」を決めるのがMDM
可能性を広げてくれるiPadですが、使い方のルールを決めなければ子どもたちに害をおよぼす可能性もあります。「できること」「できないこと」や使えるアプリなどを各自の端末に設定することになりますが、もちろん1台ずつ手作業で進めるわけにはいきません。そこで導入したのが、一括で、且つ遠隔で全てのiPadを管理できる「mobiconnect」です。
平賀 氏
ー 家庭へiPadを持ち帰って活用する中で、iPad等の使い方については、「タブレット使用のルール」という手紙を配布し、目的やモラルについて、保護者も含めて考えてもらっています。カメラ機能もあるため、人や家を撮影する際には必ず許可を得るよう、イラスト付きで説明したりしています。

鈴木 氏
― さらにクラウド型セキュリティを導入し、ネット検索時のフィルタリングを設けています。それでも抜け・漏れがあるので、別途ブラックリストを作成し、アクセスできないよう制限しています。また、深夜に利用できないように設定しています。
子どもも保護者もつい忘れがちですが、iPadは貸与されているものです。大切にしてほしいので、扱い方の周知も欠かせませんでした。
最初に約5000台を導入した際、文部科学省が端末を一元管理するためのサービスを紹介してくれました。iPadでは「mobiconnect」が案内されていたため、こうして利用している次第です。 今でこそ、このMDM(モバイルデバイス管理)を日常的に利用していますが、導入当初は使用上のルールを決める「遠隔フィーチャーセット」、端末がルールを守っているのか調べる「監視ポリシー」、アプリ配信の操作など、何もかもが初めてでした。「IT用語ばかり…」「そもそもMDMって何だっけ…」と、かなり苦戦しましたね。
鈴木 氏
― 自分たちでできることを見つけつつ、iPadの販売業者にも質問しながら、毎日を乗り切っていました。中には他者に頼ることができず、息詰まってしまう教育委員会もあると聞いていたので、負担やリスクを抱え込み過ぎないよう意識しました。
そして現在は、各学校に計9人のICT支援員を派遣し「こんなアプリを入れたい」という意見などを吸い上げています。そして内容を精査した上で「mobiconnect」で配信しています。クラス単位でも端末やアプリの設定を決められるなど、とても重宝しています。
平賀 氏
― サービス提供者である「インヴェンティット」のスタッフとは、年次更新のヒアリングを受ける際に初めて会いました。質問に対する回答がとても丁寧なので、あの日から頼りっぱなしですね(笑)。
例えば端末にエラーが出たら、私たちだけで原因を見つけ、解決するのは無理があります。先日も不具合が生じたのでメールで問い合わせたところ、迅速に「こうすれば解決できますよ」と教えてくれました。
鈴木 氏
― 端末のトラブルは日常的であり、そのたびに助けてくれるので頼りになります。また、ICT教育に関する展示会などに足を運んでも、必ずと言っていいほど「インヴェンティット」の皆さんとお会いしますね。だから非常に親近感があります。
iPadには個性や魅力を育むツールになってほしい

世の中は目まぐるしく変化していますが、それでも教職員が子どもたちに向ける温かいまなざしは、いつの時代にも変わらないでほしいものです。その中でiPadには、児童や生徒の個性や魅力を育むツールなるよう願っていると続けます。
平賀 氏
― 世界が急速に変化し、子どもを取り巻く学校内外の環境も大きく変わっています。その中で、本当に多くの教職員が意欲的にデジタルを取り入れています。
また、情報モラルの視点から新たなインシデントやリスクが次々と明るみになり、教職員だけでなく児童や生徒も絶え間ないアップデートが求められているので、新たに発生する事案に適切に対応できるよう努めています。
鈴木 氏
― 年度ごとに児童・生徒数が増減するため年次更新も大変ですが、ICT支援員と意見交換し、余剰のiPadを他校に割り振るといった新たな試みも始めました。さらに、端末に個人情報が残らないようApple IDを再発行するなど、トライ&エラーを繰り返しながらルールを整えています。
平賀 氏
― MDMがあれば一定レベルでの管理・運用は可能でしょう。しかし、学校や学年単位のアプリのニーズや、端末トラブルといった細かい情報が私たちの元まで届きにくくなると思います。やはり、デジタルに精通した人材を現場に配置することで、運営もスムーズになる気がします。
鈴木 氏
― ニュースでも教職員の長時間労働が取り上げられますが、各自が多忙を極める中で、新たにデジタルの領域を学んでいるのが現実です。もちろん働き方の見直しも求められているため、教育委員会としてもっと効率よくサポートできるよう、体制の構築と継続に努めているところです。
平賀 氏
― 移り行く世の中でも変わらない、あるいは変えてはならないものと、変わっていくものを表す「不易と流行」という言葉があります。いつの時代にも変わることなく、人生を歩む子どもたちを思う教職員の普遍の真理が存在するよう願っています。その中でiPadには、児童や生徒、一人一人の個性や魅力を育むツールになってほしいと期待しています。
( 取材日:2023年10月)